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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ぴちょん

作者: さち

ぴちょん…




ぴちょん…




何処かで水の垂れる音がしている。




私はベッドの上に縛られたように動けない。




真っ暗ないつもの部屋。黒い天井が目の前に広がる。




暗闇に少し慣れた目で周りを見ようとするけれど、セメントで固めたように首はピクリとも動かない。




「ヒュー…ヒュー…」




声を出して誰かを呼ぼうとしても声が上手く出ない。ただ風が鳴るだけ。




(どうして?何がなんだかわからない…)




混乱する頭を落ち着かせようと息を吸うが、上手く吸えない。








ギシッ…




ギシッ…




ゆっくり階段を上る音が聞こえてきた。








ヒタッ…




ヒタッ…




廊下を歩く音が近づいてくる。




(誰?こんな時間に一体誰が?)








父は単身赴任中。母は急な出張で今夜は私一人だった。






(怖い…誰なの?)






ぴちょん…






ぴちょん…






ぴちょん…






水の音が近くなる。








ヒタッ…ヒタッ…




足音が部屋の前で止まる。




(いやっ!怖い!!誰なの!?)




ギギッ…


微かに音を立てて部屋の扉が開く。


明るいライトの光に目が眩む。




「大丈夫ですか!?」


慌てて部屋に入って来たのは警察だった。




動けず声の出せない私は、安心したのかボロボロと涙を流し瞬きを繰り返す事しか出来なかった。












ぴちょん…という水の音の正体。


それは私の血液だった。




寝静まった家に忍び込んだ犯人は眠っていた私をさらに薬で眠らせ、声が出ないように喉を切った後で少しずつ出血するように首に管を刺していた。




ベッドの横に小さなバケツを置き、そこへ血が垂れるようにしていたらしい。




目的は不明。


警察の捜査のおかげで犯人は特定されたが、死んだ状態で見つかった。念の為、犯人の顔を確認する事になって写真を見たが全く知らない人だった。






犯人の部屋からはヴァンパイアに関する記述のある本や書類、それに類する写真などが見つかったそうだ。




私は何故狙われたのか?というか、何故私だったのか?犯人は何がしたかったのか?


何もわからないままモヤモヤと今日を過ごしている。








水道の『ぴちょん…』という音が怖くなったのは言うまでもない。

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