表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

もう大丈夫だよ

目が覚めると私はベッドの上に居る。ずっと眠っていたようだ。


起きてまず思ったのはなんでこんなおしゃれしたまま寝ていたのかだった。


次に思ったのは自分がもう嫌いじゃない事だった。


そして、海に素直に謝りに行こうと家を飛び出す。


運動不足過ぎて体が重い。動きにくい。それでも隣の海の家に行く。


家に行きインターフォンを鳴らすと海が出てきて驚いていた。


そして「起きたのか?」と言う。多分ずっと心配していたのだろう。


私は深く頷いて「私、海に酷いこと言った。本当にごめんね」と伝える。


そして「私、本当はこれからも海と仲良くしたいの」と言った。


海は太陽のように笑ってからこう言った。


「当たり前だろ?俺は玲奈の願い今までたくさん聞いてきただろう」


私は嬉しくて、だけど何故か切なくて微笑んだ。


そして「海、本当にありがとう」と言った。


その時海が「あれ?玲奈スカートのポケットから紙が見えている」と言った。


私は慌ててそれを出す。封筒を開けようと思いやめた。


帰ってから見ようかなと考えたからだ。海が「ラブレターか?」と聞いてくる。


私は「そんなわけないでしょ!」と言い「はさみとってきて」と言う。


海は取って来てくれる。そして封を切って手紙を取り出し読んでみる。


茜 玲奈へ


この手紙を読んでいるという事はもう玲奈は俺の事を忘れているだろうな。


それでも、最後まで読んでほしい。まず伝えたかった事を言う。


俺、玲奈が幸せになってほしいと心から思っている。


玲奈、よく一人で泣いていただろ?めっちゃ心配だった。


だけど、声かけなかった。かけない方がいいと思ったからな。


泣いている所を邪魔したら悪いだろうと思った。


後さ、お前の笑顔は本当に綺麗だったよ。例えるなら月明かりみたいだった。


これじゃ伝わらないか(笑)とにかく笑顔が似合っていたぜ。


ファッションセンスもめっちゃよかったと思うぜ。


俺さ、こういう気持ちになった事ないからよくわからないけどさ。


玲奈が笑っていれば楽しく生きていれば俺も幸せだと思える。


不思議だよな。俺って多分、全然役に立たなかっただろうけれど。


玲奈の役に立ちたいって思ったぜ。本当だからな!


玲奈の事だから疑っているだろうけれど。それが玲奈か(笑)


本当に玲奈って一緒にいると居心地よかったぜ。


まぁ楓真の方が居心地いいのだけどな(笑)怒ったか?怒っていいよ。


だって、わざとだから。玲奈の喜怒哀楽、動かしてやろうと思ってさ(笑)


ってさっきから俺、笑ってばっかだな。玲奈も怒ったり笑ったりしているか?


俺さ、今まで本当はなんともないって嘘ついていた本当にごめんな。


自分から皆の事、聞いておきながら。最低な事したと思っている。


だけど、反省していない。だって言いたくない事は言わなくてもいいから。


な?俺って自己中だろ?怒ってくれてかまわないぜ(笑)


さっきからわざと玲奈の事、煽っているからさ。


最後に一言。言わせてくれ、いつか絶対にまた会おう。月空公園の桜の木の下で。


お前が二十歳の十二月二十日に。


東海林 悠月より


何故か誰なのかもわからないのに目頭がぐっと熱くなる。


紙にぽたりと水滴が落ちる。涙が零れていたのだ。


なんでだろうか。悲しいわけじゃないのに胸が締め付けられる。


顔もわからない人だけれど手紙を何度も読み返してしまう。


よくわからないけれど思い出したい。私、何か忘れてしまっている気がする。


だけど、どんなに必死にがんばっても思い出せない。


涙が何故かまた溢れてくる。その時、二通目の手紙もあった。


急いで封を切って開ける。そこに書いていた内容はこれだった。


玲奈ちゃんへ


この手紙を開いた時あなたは現実にいるのだろうね。


あなたと過ごせた日々はとても綺麗で色づいていたよ。


玲奈ちゃんは僕に相談してくれた事もあったね。めっちゃ嬉しかった。


僕ね、今まで人に頼られた事なかった。いつも迷惑かけていた。


だから、ありがとうって言われた時、本当に嬉しかった。


僕の事を頼ってくれる子がいたのだって思うと涙がこぼれた。


人前ではいつも笑ってばかりいたというのにね。


一人になるといつも泣いてしまう。弱虫でごめんね。


僕はね。玲奈ちゃんに出会えて本当に感謝しているよ。


それから、玲奈ちゃんは決して心が醜くなんてないからね。素敵だからね。


悠月と一緒に二十歳になったら月空公園の桜の下でまっているね。


優也より


その瞬間、何かが溢れ出したように私はその場に泣き崩れてしまう。


海が慌てて駆け寄って来る。そして「光田たちからの嫌がらせか?」と聞いてくる。


私は慌てて首を横にふる。私は「大丈夫だよ。何故か涙が止まらないの」と言う。


本当にそうなのだ。悲しくもないのに胸に何かが溢れてくる。


不思議な気持ちが、本当に何もわからないのに…。


ただ一つだけ思う事。それは、私はもう大丈夫だよという事だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ