表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

02 ほどく

 僕は大学生だ。日中は授業。合間にファミレスのバイトに入っている。それなりに忙しい日々を送っているのだが、兄はそんなことお構いなしで僕に命令してくる。


「瞬! 次の商売思いついた。協力しろ!」

「ええ……」


 兄が用意したのは、何本ものイヤホンだった。


「イヤホンのコードが絡まって困ること、あるだろ?」

「まあ、うん」

「それをほどくサービスをするんだ」


 兄の計画はこうだ。「イヤホンのコードほどきサービス」のホームページを開設する。イヤホンを郵送で回収し、コードをほどいて送り返す。至ってシンプル。


「ホームページの開設費と維持費だろ、広告費だろ、郵送費だろ、サービス料だろ……五千円くらいに設定するか」

「高くない?」

「利益出ねぇだろうが!」


 そして、こう言うのだ。


「というわけで瞬、コードぐちゃぐちゃにしてくれ! ほどく練習するから!」

「はいはい……」


 僕は片っ端からコードをひねったり縛ったりして兄に手渡していった。


「くっ……あっ……イライラするぅ!」

「頑張ってよ兄さん、自分から始めたことでしょ?」


 兄のコードほどき術は日ごとに上達し、さほど時間をかけずともほどけるようになったのだが、問題は依頼である。


「なんでだ……今日も一件も来なかった……」

「やっぱりさー、五千円は高いよ五千円は」

「値下げしてみるか……三千円くらいでどうだ……」


 一週間経ち、二週間経ち、三週間経ち、とうとう一ヶ月。それでも依頼は来なかった。


「なんでだよ! 俺、すっげーほどくの上手なのに!」

「まあ、ほら……需要がさ……」

「セミナーではニッチな需要に応えるのがいいって言ってたのに! あのクソ講師! 嘘ついたな!」

「ところでセミナー代っていくら払ったの?」

「三十万円」

「うわぁ!」


 兄はバカだがここまでバカだとは思っていなかった。


「もういい、イヤホンからは撤退だ! ホームページも潰す!」


 おそろしかったが念のため聞いてみた。


「ところでさ……このホームページ作るのいくらで依頼したの?」

「五十万円」

「うひぃ!」


 兄は本当に大バカだった。

 やめるのはいいが、困ったのが練習用に買った大量のイヤホンだ。僕はとりあえず実家に送りつけたのだが、父からは「使ってるのワイヤレスイヤホンだから」と返事がきた。結局、燃えないゴミと化したそうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ