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職人衆

階段にはよく使い込まれた木製の手すりがついていた。つい癖で手すりを握ってしまう。

階段を上っている途中からガヤガヤとした雰囲気が漂いはじめ、最後の一段を上りきって二階の廊下に出ると、物、人、音が大渋滞を起こしていた。

同じ建物であっても、一階と二階とは別世界だ。

最初に案内された部屋は、建物の入口に近く作業場からは遠い。一階の廊下では、大きな音や人の声などはあまり聞こえなかった。しかし、二階は一階の静かさが嘘のような騒々しさである。

廊下の両脇に台車や箱が所狭しと並べられており、その狭い隙間をぬって、物を抱えた人が行き来をしている。

機械を動かす音、人の喧騒、物同士がぶつかる音などが、全方向から襲ってくる。大部屋小部屋に分かれているようだが、扉はついていないか、ついていてもフルオープンで、全く役目を果たしていなさそうだ。


「うるさくてすみません。」

なぜかユキが謝っている。

あまりの音に面食らったが、工房であるのでこれくらい活気があってもいいのかもしれない。

むしろ二階の音が一階にはあまり聞こえてこなかったのが不思議だ。

物をかき分けて廊下の奥へと進む。対面から誰か来ても、とてもすれ違えない狭さだが、働いている者は勝手がわかっているのか、誰も出てこなかった。

それでも、それぞれの部屋の前を通る時には、好奇心を含んだ視線を感じる。

階段横の館内図でも確認したが、各部屋のサイズはまちまちで、それぞれの部屋で機械が動き、何名かが作業をしている。


「どうぞこちらへ。」

ドワ枠の隣にかろうじて引っかかっているプレートに『加工係』の文字。

ユキに案内され、入室するとすぐに奥から威勢の良い声が響いた。

「おう!イロモノ屋!やっときたか!」


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