表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

午前のお茶

「ご説明いただきありがとうございます。おかげで全体像がつかめました。」

ユキの話が途切れたタイミングを見計らって、俺は素直に感想を口にする。

「それはよかったです。一気に話してしまったので、また分からなくなったら聞いてください。」

集中して話して疲れたのか、ユキは大きく息を吐くと、

「ちょと一休みしましょうか。」

お茶をお持ちしますね、と言いおいて部屋から出ていった。


一人になったのを幸いと俺も立って大きく伸びをする。

実際、初日にこれだけまとまった話が聞けることが普通だとは思えない。

(少なくとも出だしは順調か…)

せっかく立ったので肩と腰も回し、ついでに先ほどから気になっていたものをじっくりと見ることにした。


俺の席の真ん前、ユキの席の後方の棚に鎮座しているそれは、高さ20cmほどの塗り置物で、工房キノヤの名前と王家のシンボルマークが描かれている。

正面から確認しようとしゃがみこんだ時、狙ったかのようにドアが開いた。


「お待たせしました。」

「ありがとうございます。」

俺は急いで立ち上がり、座っていた席に戻った。

ちょっとだけバツが悪いが、ユキがそんな俺の様子を気にした気配はない。

「うちの職員も、ちょうど午前のお茶の時間だったので、同じもので申し訳ないですが。」

そう言って、木製のカップを二つ置いた。


「いただきます。」

自分の席に置かれたカップを手に取る。

市井のものよりも心なしか色が淡く、木目が美しい。取手のないコロンとした形は、とてもよく見かけるごく一般的なデザインである。

お茶は赤く澄んでいて、酸味が強い。酸味の奥にほのかな甘さ、そして花のような香りがする。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ