3つの係
木材係は、材料となる木材の仕入れから管理までを行う。
仕入れた木材が加工するのに十分な状態で工房まで届いたのかのチェックも木材係の仕事である。木材係という名前であるが、彩色用の塗料や防腐剤も木材係が一括で買っている。
安くて良い木を求めて国中を飛び回っているため、工房にはいないことも多い。このため、受け入れた材料の確認や連絡係として、非常勤の数名が日替わりで対応している。
この建物の一階の半分は木材係の倉庫である。
加工係は職人衆と呼ばれているようだ。人数は一番多い。2階が彼らの作業場である。
加工係の中でも、オーダーの一点物を作る班と、量産物を作る班に分かれている。ある程度の技量がないと難しいものは任せてもらえない。スキルが上がれば扱うものもより難しい、高価なものになっていく。
自分の仕事としてプライドを持つ者が多いが、反面、他の係と意見の相違から言い争いになることもある。
最後に彩色係。
彩色と防腐では扱う薬材や作業のポイントが違うため、作業者は固定的だ。
薬材によっては危険なものもあるため、できるだけ熟練者に作業させたい。作業者を変えたくない、というユキの意向もあるようだ。
彩色と防腐では作業部屋も分かれており、実情は別の係のようである。
さらに、最終的にできあがった品物の確認や売価の決定も彩色係で行なっている。
ユキは
「ようは都合の良い何でも屋です。」
と苦笑していたが、実際、気苦労も多いのだろう。