超越するもの川辺でトラブルに巻き込まれる
今日は川魚と取ってご機嫌だった・・・
「さて今日は良いのが取れた。焼くのもいいし燻製もいいな・・・」
山に残らず下界にいるのは殺伐とした政治を逃れるだけでなくこういうのも趣味だからだ。
さて早速火を起こして魚を置いてっと・・・
「いやー!!助けて!!」
「毅然とした君が好きだ!愛おしい!」
すっごくかかわり合いたくない感じの事態が高速で俺の元に向かってきていた・・・
え?何でアポロン様が理知的な顔じゃなくてあんな情熱的な顔で追っかけまわしてるの?
しかも追いかけられてるのは川の神の娘のダプネだ、確かニンフとしてアルテミス様に仕えていたはずだけど・・・女嫌いにしてもアルテミスの兄のアポロン様をあそこまで毛嫌いするとは尋常じゃない・・・
「とにかくこのままだと俺のいるところに激突する・・・しかも最悪なことに二人とも俺のこと見えてないし・・・」
こうなったらやむをえない!!
「煙でいぶして動きを止めてやる!!」
俺は全力で葉っぱを仰いで風を引き起こした!
「うわっ!なんだ煙いぞ・・・ごほごほっ!!」
「しかも魚くさいわ・・・」
あ、魚いぶしてるの忘れてた・・・
とにかく二人は苦しくなったのか気絶してしまった・・・
「このまま、逃げてもいいんだけどこのあたりで追いかけっこを続けられたらまたいづれ出くわして魚を台無しにされかねない・・・」
原因は・・・なんか胸の中に矢が刺さってるそれが二人の恋の熱を上げたり冷ましたりしてるんだ・・・ってこれってエロス様の鉛の矢と金の矢?
「これって鉛が相手を嫌いになって金が相手を好きになるんだっけ・・・」
それで追いかけ回されてたのか・・・とりあえず抜いてアポロン様は恋の熱を冷ましてダプネは恋の炎を普通くらいにすれば・・・
このときはメタは気付いてなかったがエロスの矢は例えエロスであっても解けないのにメタはその解決方法をメタは一瞬で見つけ出した。まさに超越するもの、ゼウスを超えると歌われる鱗片が客観的に見ても分かった瞬間である・・・
そうして二人が目を覚ますと・・・
「うぐっ・・・ここは、そうだ。俺はなぜかダプネを追いかけて!」
「私もです・・・アルテミス様の兄君のあなたを何故か異様に避けて・・・」
二人は状況を整理して困惑する。
「やっと目が覚めたんですね。二人とも。」
そこに焚火を移動させたメタがやってきた。
「メタ・・・君が目を覚まさせてくれたのかい?」
「あぁ、はい。エロス様の矢が刺さってたので。元に戻しておきました。あのままだと自分の焚火に激突しそうでしたから・・・」
メタがアポロンに冷たい目を向ける。
「す、すまない。ダプネも、多分からかったエロスが俺に復讐したんだ。」
「いえ、こちらこそすみません・・・」
二人はメタに謝った。
「じゃあ俺はこれで。」
そうしてメタは去っていった・・・
「ダプネ、お詫びと言ってはなんだがこの木を君にプレゼントしよう。」
アポロンはそう言って地面に月桂樹を生やした。
「ありがとうございます・・・実は私本当に好きな人を見つけたのでその人に渡そうと思います。」
「そうなのかい。もしかしてメタかい?」
「はい・・・私たちを救ってくれたんですもの・・・贈り物をしなければ・・・」
そうしてダプネは・・・
「すみません!アルテミス様!私お礼をしなければいけないものがいますので少しの間暇を貰います!!」
「ちょっとダプネ!?」
アルテミスに暇の許可を出しに行って全速力で行ってしまった・・・
「あの男嫌いのダプネが一体誰と・・・ん?服に魚と磯の匂いが・・・もしかしてメタ・・・?」
服も洗わずに行ったせいで自分の主がその男にトラブルをもたらすとも知らずに・・・




