超越するものと腹違いの兄弟の結婚事情
さてこの前は初のお父様であるゼウス様にお目通りをしたわけだが早々デカい騒ぎが起こることはない。その証拠に今日も今日とて俺は優雅に釣りを・・・
「大変だぞ!メタ!」
・・・・そうして現れたのは同じくティタン神族とゼウス様との間に生まれて似た境遇を持つヘルメスだった。
「どうしたんだよヘルメス。また兄妹でも生まれたの?」
たいていの騒ぎはゼウス様が子を産んでそれにヘラ様がちょっかいを掛けるというものなんだが・・・
「いや、今回はヘラ様は被害者だ。お前の母親のテティス様に育てられたヘパイストスが椅子を献上したんだがそれにヘラ様が拘束されてヘパイストスが母親と認めさせたんだが椅子の拘束を外す条件としてアプロディテ様と結婚したんだ。」
・・・と思ったら育ての母が同じ人がまさかの脅迫事件を起こしていました。
まあ予想はしてたよ?お母様も天然で地雷踏みまくってたし俺が机作ったときも複雑そうな表情浮かべてたしね。でもまさか爆発したとたんこんなことをしでかすとは・・・
「っていうかそれゼウス様も許可したの?」
「あぁ、もうオリュンポス中大騒ぎさ。」
まぁそうなるよな・・・弟分が生意気を言うけどヘパイストス様は結構不細工だ。
それが神々の中でもトップクラスの女神アフロディテ様と結婚するんだからもう嫉妬や驚きにあふれてるだろう。
一応結婚生活覗いてみるか・・・
ヘルメスが去った後俺は神の能力の遠視で覗いてみたが・・・
「どうかな?二人のために特別に作ったベッドなんだ。」
「・・・・私今日はだるくて・・・ぐっすり眠りたいわ。」
「そ、そう・・・」
ダメだこりゃ・・・
そもそもこの結婚はヘパイストス様にとっても予想外だったんだろう。拘束して母親と認めさせるつもりがつい無理難題だと思っていたことを吹っ掛けたらすんなりとOKしたのだ。驚きも隠せないだろう。けれど分不相応な褒美をもらっても持て余すだけだ。
案の定見た目にコンプレックスのあるヘパイストス様が他の神みたいにぐいぐい行けるわけがなく気を使うあまりアプロディテ様との営みは失敗する。当然いきなりの結婚でアプロディテ様もストレスが溜まる。美の神のプライドもあるからヘパイストス様も受け入れられるわけがない。
「謝りに行こう・・・」
「え?君のせいじゃないのにか?」
一応兄貴分だしね・・・
そうして俺はアプロディテ様のところに行った。
「今回はウチの兄貴がすみません。あれでもヘラ様への想いがあったからこその行動なんです。それでも迷惑をかけたのは事実。この魚料理をお受け取りください。」
「あら、なかなかわきまえてるのね。別に貴方には怒ってないわよ。でもあなたの母親の博愛主義ははみ外れてるわね。あんな思い込みの激しいのを育てられるんだから。」
まぁ、あれでも結構丁寧に技術を教えてくれるんですよ。
「全くだな、おかげで弟分が見てないところで詫びいれをしに行かないといけないんだから。」
あ、アレス様。
「それじゃあお邪魔しました。」
「あらお邪魔じゃないのに・・・」
俺は静かにその場を後にした・・・
そうしてメタが去った後。
「メタの奴結構家族想いなところがあるんだな。釣りにしか興味のない魚くさい奴かと思ってたぜ。」
アレスがあざけるように言う。
「あら、そうかしら。母親を受け継いでて結構な美男子よ。まぁ兄貴分があれじゃ性格はヘタレでしょうけど・・・」
そうして二人は逢瀬を楽しむことになったのだった・・・
そうしてしばらくたったころ・・・
俺は二人のことも気にせず釣りに熱中していた。
「おーい!大変だ!」
またもやヘルメスが走ってやってきた・・・
「今度はどうしたんだよ・・・」
「アレス様とアプロディテ様が浮気してたんだけどヘパイストス様がそれに怒って二人を網に閉じ込めちゃったんだよ!」
え・・・?あの時は誰も見てなかったはず・・・
「・・・ちなみに何でヘパイストスは知ってたの?」
「ヘリオス様が知らせたって。」
ヘリオス様あぁぁ!空気読んでください!!
確かに太陽の馬車で世界を一周するヘリオス様なら逢瀬を見てても不思議じゃない・・・しかもヘリオス様はいつもヘパイストス様に馬車の部品やらなにやら修理してもらってるから恩義から報告しても不思議じゃない・・・
「せっかく謝ったのに早くもぱぁになった・・・」
「まぁ、結局ポセイドン様が仲裁に入ってアレス様が賠償金を払ってヘパイストス様が受け取ると言った感じで収まったけどね。」
でもそれで許すとは思えないけど・・・
そして案の定俺はこの思い込みの激しい兄貴分のせいでとんでもないことに巻き込まれる・・・




