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第二十三話 磨けば輝くなら磨くよね

「わぁぁ、お母さん綺麗!お顔も手もスベスベで艶々。髪もサラサラでミーナとお揃い!」

「ミーナの爪も綺麗になったよ。花びらみたいにピンクで可愛らしい」

「でもミーナのお顔はお母さんみたいに綺麗にならなかった。なんでぇ~」


美しさと可愛さに磨きが掛かった美人親娘が目の前でキャッキャウフフしている。そう、文字通り磨きが掛かったのだ。磨いたのは僕。とても頑張ったと思う。

あと、ミーナさんのお肌の変化が少ないのは元々瑞々しいお肌だったからです。特に贔屓はしていないので不満そうに僕を見るのはやめてください。ミリアさんのお肌の変化が大きい理由については僕は完全に黙秘します。





僕は頑張ったのだ。


ミリアさんの髪を手ぐしで浚い

『ぁ…… あ、ぁ』


お肌プルップルという言葉を聞き逃していなかったミリアさんの両手を優しく包み込むように握り 

『フゥー、フゥー……  ァ』


『僕の世界の女性は爪を綺麗にお洒落してたりするんですよ』気を紛らわせるための雑談に食い付かれ両手の指先、爪を一本一本、撫で

『あ、あ、あ、あ、ンッ…… あ、あ、 ……ぁ』


上気した頬、潤んだ瞳で見つめられながら

『キミの世界では……ほ、他にはどんな…… ぁるんだぁ……?』

『色々聞いたことはありますけど僕、詳しくないんで……』

『全部……』

『え』

『全部ぅ…… してぇ……』


思いつくがままに全部した。

ヤバかった。

首筋と唇が特にヤバかった。

熱の籠もった吐息がヤバくて、ヤバかった。

七桜君のナオ君は完全にきかんぼうになっていた。




そして全てを終えたと思ったら様子を見に戻って来たミーナさんが『私は髪だけだったのにお母さんだけいっぱいして貰ってズルい』と言い出し、お二人で互いに『何処が綺麗になればもっと美しく可愛くみえるか』を探し合いはじめてしまった。


ミーナさんの前だから、と最初は堪えようとしていたミリアさんの我慢はすぐに決壊し、第二ラウンドが始まった。




ふにふにとお耳をつまみ 『お耳ィ…… らめぇ……』


スッと通った鼻梁を指でなぞり 『くぅ…… んっ』


手首を掴み、そのまま二の腕まで撫で上げた 『ヒッ ひぃ、イィィ……』


睫毛に触れるために瞳を閉じたミリアさんのお顔を至近距離でみつめたりもした。


結果的にはミーナさんが戻ってきてくれて良かったのかも知れない。ミリアさんと二人きりのままだったら、リアルらめぇの実績解除も熟してしまった僕は、きっと過ちをおかしていた。


全てを成し遂げた僕は仲良し親娘を観て心が穏やかに満たされるまで静かに椅子に佇むのみだ。決して立ち上がってはいけない。








「すまない、ナオ君。少し調子に乗ってしまったようだ」

「ごめんなさい」

「いえいえ、構いませんよ。喜んで頂けたならなによりです。それにお二人ともとてもお綺麗になられました」

「はじめに偉そうにキミに説教をしておきながら、みるみる変わっていく我が身を実感して我を忘れてしまったよ。本当に済まなかった」




しばらくして落ち着いたお二人が僕に謝ってきたけれど、謝られるようなことは何もない。

触れたのは基本的に普段から露出している部分だけだし、途中で僕の何かが目覚めてミーナさんのポカポカが他の何か(性的なもの)に変わるようなこともなかった。


僕が子供(童子)たちの王様(皇帝)でさえなければこれぐらいのことは全く問題じゃないのだ。

つまり、問題があるのは僕である。


『厄介な副作用』『完全に面白がられている』『こんなのセクハラじゃないか』等々、散々不満を漏らしていたのに、いざやってみると楽しくなっちゃって調子に乗って、危うく一線を越えてしまいそうになった僕にこそ、問題があるのだ。


「ミーナが途中で戻ってきてしまったので二人で片付けに行ってくるよ」


そう言ってお二人は出て行ってしまった。

本来なら僕もお手伝いすべきなのだろう。だけど、今はちょっと独りになりたかった。

この問題について、この心のモヤモヤについて、独りで考える時間が、少しだけ欲しかった。

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