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 ロゼリーと愛称で呼ぶことが決まり、ふわふわわ夢見心地から帰ってきてやっと本題に入る運びになった。

 とはいえ、いきなり授業なことではなく、現状ロぜリアがどれほどの知識があるのか聞かなければならない。

 ここで気をつけたいのが下手すると変態っぽくなる事だ。さらりと自然に。

 昨晩から幾度となくシュミレーションにシュミレーションを重ねた成果見せる時だ。



「ろ、ロゼリー。まずは君の知識がどこまであって、そしてこれからどう言ったことが知りたいのか教えて欲しい」

「はい、わたくしも何が分からないのかそこから理解出来ていませんので、以前読んでみて理解できなかった指南書を持ってきました」

「指南書...」



 実物を見た方がわかりやすいだろうと家から何冊かとは持ってきている。

 そっと鞄から取り出し分からなかった頁を開く。

 いくつも文章が書き並んでいるがぴっと人差し指で理解できなかった文章、及び単語を指す。


「ここなんですが...」

「...?!」



 真っ赤になった形の良い耳が目に留まる。恋愛指南書と呼ばれたものは俗に言う恋愛小説のようなもので。さらにきっと年齢的に大人向けの、そういった表現が多くある内容だった。



「話の流れなどは理解出来るところも多いのですが専門用語なのでしょうか?単語が分からないものが多く、辞書を引いても恐らく違う意味の言葉になってしまうんです」

「ああ、…これ、は…」

「この蜜、とか、 杭とかどう言った意味なのでしょうか?熱を持つ、ということもよく分からないのですが…」



 無理だ!オレはこんな純粋な眼差しの彼女に本当の意味など伝えられない!

 純粋な瞳でこちらを見ているロゼリアには悪いがもっと初歩的なところから進めさせてもらいたい!



「この本はその、上級者向けのようなものでな。…ロゼリーは子供がどのように出来るか、知っているかい?」



 そう、まずはここからだろう。この様子、知らない可能性がある。もしそうだと、精神的に大変なことになりそうだ。1から彼女に全てを教える。

 そんなこと俺に出来るのだろうか?途中心臓壊れないか?



「子供ですか?えっと、大人の男女が閨を共にすると出来ると聞いております」

「閨を共にする。そうだ。間違っていない。では実際に何をするかわかるか?」

「何を…するか…?」



 こ、子供が出来るためにすること?夜を共にし朝を2人で迎えればできるのでは無いのかしら?

 いや、でもご近所のマーガレットさんのお宅は毎日一緒に寝ていても子供は一人しかいなかったわ。そうなると私のこの考えは違うことになる。

 じっと切実そうにこちらを見つめる緑柱石の瞳が何かを期待しているみたいで、私はなんとか正解を導き出したくて必死に頭を回転させる。



「そう、ですね。一緒に寝ているだけでは子供はできませんよね…。そういえば以前胸が膨らんできたときに、家に来てもらっているカトリーナに質問したことがあります」



 その時に大きくなるのは子供を育てるためだと言っていた。

 ぽよんと自分の胸を掴む。

 そう言えば領地に住んでいる奥方様より少し大きいこの胸に、不肖婚約者リベルトがなんとも言えない嫌悪が走る眼差しで見ていたことも知っている。

 だとすると、この胸をなにかに使うのだろうか?



「あの、質問です。お胸ってその閨で使いますか?」



 ここまで考えて分からなかったのでここは先生に素直に聞こうと顔を上げるが視線は一切合わなかった。

 否、合わせて貰えなかった。


 ソファーの背もたれに両手で捕まり俯いて絶対にこちらを見ないようにして完全拒否の姿勢だ。

 な、なぜ?

 もしかして不出来過ぎて嫌な気持ちにさせてしまったのでしょうか?



「ごめんなさい!きっとこんなに出来ないなんてとガッカリさせてしまったんですよね?せっかくお時間を取っていただき先生役を買ってくださったのに…」

「っちが!」

「でも、わたくし頑張ります!こんな機会あいつと結婚してしまえば二度と来ないでしょう。支配人様にはご迷惑をおかけし、さらに期待通りの生徒ではなかったと、不愉快にさせてしまったかとは思います。でも教えていただいたことは必ず忘れません!全てを学んであいつにギャフンと言わせたいのです!」



 ここで先生を辞めるなんて言わないでください、と必死になってお願いする。

 いつかは子爵家を権力を牛耳って自分のしたいことをすると決めているがそんなの何年先になるか分からない。

 その前に私を嫌っている子爵夫人と召使いのように私を利用する結婚相手と生活するのだ。絶望しかない。

 だからせめて今だけでも、自由に学びの場が欲しい。

 しかもこんなに美しい人達に囲まれながら時が過ごせるなんて、こんな機会今後二度と来ないかもしれない。少しでも長くこの空気味わっていたい…と、これは自分の欲望だわ。



「…やっぱりロゼリーは見た目とは違って激しいよね」

「激しい、ですか?確かに見た目とは違ってキツい性格だとは言われたことありますが」

「ううん、キツいって訳じゃなくて、なんて言うんだろう?むずかしいな…。心から素直というか、情熱的というか」



 言葉に表すのは本当にむずかしい。

 誰かに従う。権力の傘の下。目的をもたないず人の言いなりになるような人ばかり見てきたかもしれない。

 自分は公爵家子息という立場であり、権力的にこの上は王しかいない。


 ―公爵様が仰るのでしたら―


 そうやって、心で別のことを考えていても追従する。

 それが当たり前だったので、特に何も思わなかった。


 でも、今目の前にいる彼女はどうだろう。今の彼女の言葉を直訳するときっとこうだ。


 ―迷惑かけて嫌かもしれないけど、自分も頑張るから教えて欲しい―


 だ。


 こんな女性見たことがない。

 一目惚れした人物がこんなに激しいん感情を持っていて、それがなんと格好良いんだろう。


 鼓動が高まりすぎて彼女の言葉が聞こえない。呼吸が上手く出来ていないのか頭がぼんやりする。


 彼女が欲しい。どうしても欲しい。こんなに可愛くて綺麗で、格好良い人物他にはいない。

 俺のただ一つ、唯一の存在だ。


 どうやったら手に入る?

 薄れゆく意識の中困ったようにこちらを見つめるロゼリアに手を伸ばした。




いつもお読みいただきありがとうございます。

もし少しでも楽しいと感じられたらいいね、評価等よろしくお願いします。


あと本日気分転換に短編1本あげてます。気分転換によければどうぞ。頭空っぽできっとよめるやつです。


https://ncode.syosetu.com/n4815ho/


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