表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/31

11 夕飯②

「あれ、シラネの分は?」


 宝来尊ほうらいみことは食卓の上に、料理が一人分しか無い事に気が付いた。


「わたくしは後ほど、下の階でいただきます」


 すると宝来尊の湯呑みにお茶を注ぎながら、シラネが当然のようにそう答える。


「いや、もし料理がまだ余ってるなら、ここで一緒に食べよーよ」


「ですが…」


「魔王命令」


 そんな宝来尊の笑顔をポカンと見つめていたシラネは、やがてクスッと微笑んだ。


「かしこまりました。ただ今用意致しますので、もう暫くお待ちください」


「大丈夫、いくらでも待つよ」


 そうして二人で食べたシラネの手料理は、それはもう絶品だった。特にこの肉料理なんて、食べた事のない美味しさだ。


「ところでシラネ。この肉って何の肉」


「はい。それは高級なデビルアリゲーター…」


「あーいや、いい!」


 慌てて宝来尊は、シラネの言葉を遮った。食材なんて関係ない。美味しければそれが全てだ!


 やがて全ての料理を平らげると、


「ごちそうさま」


 宝来尊は両手を合わせて頭を下げた。こんな事言ったのいつ振りだろうか。


「おそまつでごさいました」


 シラネも笑顔で会釈をすると、立ち上がって二人の食器を片付け始める。


「ああ、手伝うよ」


「いえ、ここはわたくしが。お風呂が沸いておりますので、ミコトさまはそちらにお入りください」


「お風呂、お風呂か」


 そう言えば、寝所には風呂とトイレが完備されていたな。


「着替えもご用意しております。差し支えなければ、お背中お流ししましょうか?」


 少し頬を染めながら、シラネが上目遣いで見上げてくる。宝来尊は、思わずゴクリと息を飲んだ。


「い…いやいい。大丈夫、ひとりで入れる」


 それからハッと我に返ると、逃げるように慌てて駆け出していった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ