気狂いの狂宴
結局のところ、王国も帝国もその領土は陸地のみであることが判明した。
まだ海洋技術?航海技術が乏しく、海に出ても生還率がかなり低く、海の向こうに進出してまで~の考えに至ってないようで、比較的両国の関係は・・・無いに等しい。
なので、無人島はどこの領土でもないって結論に落ち着いた。
「見つけて住み着いたもん勝ちでいいんですか?」
「その認識で構わない。そうだな?宰相よ」
「・・・はい・・・」
「王様、その辺りも後日詰めるということで、宰相さんを休ませてあげませんか?」
「宰相よ・・・ショウに感謝するのだぞ?」連れていけ!
再度近衛騎士にドナドナされていきました
「して、ショウよ。他にも色々面白いものがあるのであろう?」
「これ以上は厄介事と面倒しか思い浮かばないので、今回はこれで勘弁してください」
「つまらんのぉ・・・」
「またしばらくしたら品物の搬入や設置にきますから、その時を楽しみにしてください。それと、王様を呼ぶ前にそちらのお二人と口約束ですが報酬の話をしたので、お二人を借りてもいいですか?詳細については後ほどお二人の口から聞いてください」
「そうか、かまわんぞ。では此度の献上品感謝する。下がって良いぞ」
別室にて諜報員の・・・
ヤシチさんとギン・・・おギンさん?
「硬っ苦しいのはなしでも構いませんか?」
「いやぁ~王侯貴族と話するのつっかれるんだよなぁ~なぁ?」
「それはあんただけでしょ!」
「・・・」
「それで、二人はどのような職務についてるんですか?」
「俺らは忍者だな」
へ?にんじゃ?
「私はくノ一よ」
( ゜д゜)
切り替えて・・・
「それで、先程の報酬のはなしなんですが、何か希望はありますか?」
「そうだなぁ・・・武器なんだが、王国では売ってないんだよな・・・注文生産してもらったんだけど、うまくニュアンスが伝わらなかったらしくてな?望むものではなかったんだよ」
「それは、どのような武器ですか?」
「カタナという剣でな?」
ど定番きました
「それはこんな武器ですか?」
「そうそう、片刃で反りがあってそんな感じの・・・」
「種類はよくわからないですが、長さで名前が違いますよね?忍者刀とか太刀とか脇差とか大太刀?」
「なんでもってんだよ!」
「あ、報酬はこの中から一本選んでくださいね?」
「何者だいアンタ?」
「ギンさんは希望ありますか?」
「・・・そうだねぇ・・・逆にアンタなら何をくれるんだい?」
試されてますか・・・?
「そうですね・・・こんなのはどうですか?」
◇◆◇
「これらは苦無と言う投擲武器です。苦無はそのまま手に持って近接武器として使うことも可能です。それとこちらにはとある魔法が付与されてまして・・・」
部屋の隅にあった木人(的?)に向かって投げると小気味良い音で刺さる。
「『戻れ』と言えばこう・・・手元に戻ってきます」
「「・・・」」
「一本あれば何度でも投げて戻して、投げて戻して・・・が可能となり、荷物が減ります」
「俺もそれ欲しいな・・・」
「アンタはカタナがあるでしょ!」
「ギンさんもカタナ選んでもいいですよ?苦無はお二人に一本ずつ追加で差し上げますよ」
「でも私にはカタナを振るう筋力が足りて無いからねぇ」
「それならこれなんてどうですか?」
見てくれは一本の忍者刀だが、上と下に握り手があり、小太刀二刀流・・・
「これなら手数でカバーできますし、不意打ちも可能ですね」
「・・・いいねそれ、最初は一刀で戦って、途中で二刀にして斬りつけるとか」
「戦術は大事ですよね?ヤシチさんも決まったようですね。それらを先程の報酬としたいと思いますので、これからも頑張ってください」
「「有り難く」」
「ただ、これじゃぁ俺らが貰いすぎだ、俺たちからも何か渡せるものがあればいいんだが・・・」
おっと?それならちょっとわがまま言ってみようかな?
「それなら、通るかどうかわかりませんけど、お願いがあります。それは・・・」
「・・・ちょっと俺らだけで判断はできないな」
「でも、王国のこととか考えたらこれは有用な案件だと思うの。明日にでも宰相達と相談してみるわ」
これがうまくいけば・・・
「それでは、連絡はアイザックさんに通してもらえれば比較的早く連絡がつくと思うので、よろしくお願いします。ボクは今から食堂に製氷機等の設置に行きますので、先程の武器の不具合や面白そうな希望があれば教えてください」
食堂に着くと、厨房の近くに製氷機を設置し、普段の調理等に使う水はどうしてるのか聞くと、週替わりの当番制で、数人が上の階の水瓶に貯めてるそうだ。容量はかなりあるらしいが、一定量まで減ると当番に連絡が入り、補充するシステムらしい。当番は一人でなく四~五人で対応してるらしい。水は命の生命線だからね。
その水道の管を増設してもらい、製氷機に接続して、排水や使い方の説明と魔石の交換サイクル等をレクチャーして、何か不具合があったら武器屋のアイザックを訪ねるよう託けた。
次は王様用の冷蔵庫だな・・・製氷機は別件だから、不敬罪じゃ無いよね?冷蔵庫の設置は王様が一番最初だし・・・
◇◆◇
さて、王様の冷蔵庫はどこに設置したらいいんだろう・・・五〇〇L位のサイズだったら私室でも良いんだろうけど・・・相談する人がいないんだよね・・・相談に適した人三人とも牢屋だし・・・と悩んでいると
「そこの貴方!ここで何をしてるのですか?このフロアは王族専用ですよ!」
振り向くと金髪縦ロールの少し年上?な女の子がこちらを指差していました
思わずその場で膝を付き
「申し訳ありません。本日献上品をお持ちしましたものですが、設置場所がわからず、王様を探しておりました」
王様を直接探してることに大層驚かれてましたが
「父の居場所を直接探すなど不敬にあたります。宰相や執事はどこですか!?」
「宰相様と執事と侍女長の三名は王様の不評をかい、現在明朝まで牢で謹慎中と伺ってます」
( ゜д゜)
父?王女様のそんな顔・・・やば、確実に不敬罪で処罰される!
「ん?ショウではないか、どうしたのだ?そこにいるのはエメローラではないか、なんだもう手を出したのか?ショウ」
王様・・・そんな怖いことサラッと言わないでくださいよ
「いえ、王様を探して道に迷ってたところをお声かけいただいてたところです」
「お父様!この平民をご存知なのですか?」
「ショウは平民だが・・・そうか、この姿ではそうにしか見えんな。エメローラ、話があるから後ほど部屋まで来るように」
王様はそう言い残して、ボクをつれて歩き出した
トラブル(テンプレ)慣れしてこの先の展開がバレバレなんだけど・・・
「ショウよ、この部屋に冷蔵庫を設置してもらえんか?詳しい説明は明日にでもセバスにレクチャーしてくれると助かる。それと」
「変身すればいいんですか?」
「なんじゃ、わかっておるではないか」
「・・・『焼結』!」
「解除するのはみたが、変身すると先程までの印象が強すぎて違和感しか感じないのぉ・・・「エメローラです」」
「入れ」
「失礼します。何の御用でsy・・・」
王様がいたずらの成功した子供のような顔をしてる・・・
「どうした?エメローラ。客に失礼であろう。挨拶をせぬか」
「し、失礼しました」
◇◆◇
あの後が大変だった。
王様は第三王女のエメローラ様を押し付けようとするし、エメローラ様も満更で無い様子だしで、精神が蝕まれて胃がキリキリと・・・結果王様の私室に冷蔵庫を設置し、向かって右側面の扉の絵がアイテムボックスということで中に缶ビールをいろんな種類で山のように納め、飲み終わった缶は武器屋のアイザックさんが引き取ると言うことも伝えておいた。
製氷機に関しては、一応の説明をしたが、結局は侍女さん達が担当するであろうことから、後日まとめてレクチャーするという約束で切り抜けた。
それ以外の魔道具に関しては、後日時期を見て徐々に追加していく方向で調整してもらうつもりだ。
エメローラ様関連で、あの姿の時の名前も確定してしまった。そう[ショウ・アズマ]だ。二足の草鞋は勘弁して欲しいので、なるべく使いたくはないが・・・最悪帝国に遊びに行くことも要検討だ。
さてそろそろギルドの方も片をつけたいんだが・・・行ってみるか
「すみません、傷害事件の件はどうなりましたか?Cランクのショウです」
進展したようで、ボクからも事情を聞きたいとの言伝があったそうだ。
衛兵の詰所で話を聞くそうなので、門近くの詰所に出向いたんだが、なにやら空気がおかしい。歓迎?嫌悪?侮蔑?様々な空気を感じながら入り口で名乗ると、奥に案内された。
「貴様がショウか。先日のモンスターを用いた暴行容疑の聴取を執り行う、はいれ!」
んん?暴行容疑?容疑者ですか?被害者でなく・・・
「あのー?暴行容疑って何ですか?ぼk「黙れ!この犯罪者が!」・・・?」
「貴様は不正な手段で冒険者ギルドを騙し、法外な報酬をせしめ、それを咎めようとしたベテラン冒険者を危険な森に誘き寄せて、兼ねてから準備していたレッドベアを使って、自らを咎めようとした善良な冒険者を死傷させた極悪人である!罪を悔いる気持ちがあれば我らとて人の子だ。だが、悔い改めないのであれば、法と正義の名の下貴様を断罪する!」
( ゜д゜)
∑(゜Д゜)
どーゆーことー?
とりあえずもう一機を操作して・・・
「すみません、貴方が何を言ってるのかわからないんですけど・・・そもそも誰ですか?」
「口の聞き方も知らぬ蛮族風情が!」
いえ、こちらからしたら貴方の方こそ蛮族ですが・・・名乗れよ・・・もしかしてこちらから・・・?
「先日の傷害事件の当事者でCランク冒険者のショウと言います。すみませんが貴方はどこのどなたでしょうか?」
◇◆◇
「貴様に名乗るななどないわ!」
どこの■ム兄さんですか
ケン〇ュウとかバイカ〇フーとか出てこないよね??
「いや、何で名乗らないんですか?それならぼくもここで話すことは何もありませんので帰らせてもらいます」
「貴様は罪人だ!帰れるわけがなかろう」
「どこをどうやって罪人認定されたんですか?」
「うるさい!さっさと盗んだ金品を出さんか!」
平行線・・・どころか・・・
「貴方は先程『法の名の下』とおっしゃいましたが、今の貴方の行いがこの国の『法』なのですか?」
「蛮族風情がこの国の『法』を口にするな!」
「訳も説明せず一方的に相手を貶める発言を繰り返す方がよっぽど蛮族ではありませんか?」
「貴様!」
腰に下げていた剣を鞘ごと外してボクの顔を殴打した。
簡単に避けれる速度だったが、あえて受けた。
装備に付与してあった自動回復が仕事をしようとしたが、キャンセルしておいた。
「・・・なぜ突然暴力を振るうんですか?」
「今のも避けれないようなガキがD、Cランク冒険者を死傷させるなんて、余程の卑怯な罠を使ったんだろうな。準備などしてなければ喜様のような蛮族は~」
いいかげん聞き飽きたな・・・
隣の部屋から十人以上の気配を感じ、追加でもう一機そちらにも飛ばしておく
「貴方が蛮族でないのなら、そろそろまともな言葉で喋ってもらえませんか?それとも言葉を忘れた蛮族以下ですか?」
「キ、キサマ!」
煽り耐性低すぎだろ・・・
「よ、よかろう。話してやろう・・・(説明中)・・・と言うことだ!わかったかこのクソガキ!」
加害者の気狂的な言い分のみを聞いてこちらを開くと認識し、何が正しいかも理解できなくなったってことか?
そんな奴らが街の衛兵を務めてるなんて、世も末だな。
これ、ギルマスとか仕事してんのかな?
あぁ・・・アイシャさんに会いたい・・・アイシャさんが無事なら他はどうでも良くなってきたな・・・
「理解したら奪った金品を出すんだ!それともまだ理解できんのか?
これだから蛮族の餓鬼は・・・」
情報収集。裏付け。正当防衛確認。バックアップOK。王都の人通りの多い場所にモニター設置完了。時系列を追って投影開始・・・三・・・二・・・一・・・スタート
「奪った金品?そこまで言うんならどんな金品が奪われたんですか?奪われた側が居るんですよね?正確な情報を教えてください。そうでなければ自分で狩りで獲得した金品と混ざってしまいますので」
「貴様如き餓鬼が狩りなどできる訳なかろうが!今貴様が所持している金品全てだ!」
「じゃぁ、これもですか?」
それはどこにでもあるような掌サイズの小剣。しかしみる人が見ればその小剣が示す重大なことを知ることとなる。
「ハッ!そのようなゴミ要らぬわ!そんな程度のものではないわ!」
この人はあろうことかこの小剣をゴミと称し壁に叩きつけたのだ
ついには隣の部屋からも下品な笑い声が漏れ出した
「そろそろいいかな?」
「やっと出す気になったか?」
「いや、この国に絶望したってだけだ!」
☆を★に・・・