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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

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第6話 モルド神父の不在 その3 街の内部と儀式場

ジグは初めて街の中へ。

引き続き地理の説明になっております。

わかりやすさを心掛けてはいますが、わかりにくかったらごめんなさい。

 南門を通り過ぎると、石畳の道が真っ直ぐ北へと続いていた。

 左側には街の簡単な地図が描かれた案内板が設置されていて、とても親切だ。でもセキュリティ的にはどうなんだろう、情報筒抜けじゃない? 大丈夫なのかな。


 まぁ、ただの仕事や旅なんかで初めて来た人が兵士や周りの人にいちいち尋ねるよりは、こういう物で勝手に確認出来る方が気が楽だし、兵士の手間も減るかもしれないけど。


 なんて思いながら案内板を見ていると、僕が遅れている事に気がついたアマリアが振り返る。


「もう足が止まっちゃってるじゃないの!……でもまぁ初めて来たんだし、せっかくだから街の中のことを説明しておこうかしら」


 これはお説教が始まるかと思ったが、初めての場所に興味が湧くのは仕方ないと思ってくれたのか、やれやれといった仕草をしながら街について教えてくれた。


 今、僕達が立っているのは南門を過ぎたばかりの、街の中央通りの入口だ。

 街はこの道以外にもう二本、大きな道が南北に通っていて街を四分割している。これら三本の道は街の南端から北へ、三分の二ほどの距離を貫くように通っている。


 案内板の奥には兵舎があり、更に西の大通りを挟んで武具や食料の保管庫と向かい合っている。

 ちなみにこの保管庫が街の南西端になる。兵舎と保管庫以外の街の南西部は、職人の工房や居住エリアになっているようだ。


 中央通りの右側にはたくさんの宿屋や商店があり、東の大通りを挟んでもう一軒の少し小さめの宿屋と、巨大な冒険者ギルドと向かい合っている。この小さな宿屋は街の南東端で、だいぶ昔に移転前の教会があった所らしい。


 宿屋や商店とギルド以外の街の南東部は、一般庶民の居住区と酒場や飲食店のエリアになっているようだ。

 こうして見ると、よそ者が泊まることの多い宿屋は兵舎やギルドがすぐ近くに配置されてる。一応は警戒しているのだろうか。

 とりあえずここまでがおおよそ街の南半分。



 街の中心には儀式場がある。ここは東西の街道から延びてきて街を南北に分ける大通りと、南の街道から延びてきた中央通りが十字に交わる場所だ。


 街を東西に貫く大通り沿いの北側は、まだ縦の三本の大通りによって四つのエリアに分けられていて、東西それぞれの門に近いエリアは木の実や果物の木が植えられた果樹園のような小さな森になっている。

 そして儀式場から見て中央通り沿いの北東と北西の方向には、様々な物が売られている商店のエリアがある。


 そういった割と庶民向けのエリアを抜けると街の北部は、幅はそれほど大きくないが東西に延びる道を挟んで貴族や富豪、軍や騎士団や治癒術士団、王族のいる地域に変わってくる。

 街の北西部には練兵場と、牧場が近いからか軍馬が管理されている建物があり、その北側には道を挟んで騎士団や軍や治癒術士団の各本部がある。そしてここが街の北西端だ。


 街の北東部には大商人の高級店や富豪の居住エリアがあり、道を挟んで北側には南西端に有ったのよりも巨大な、武具や食料の保管庫があるみたいだ。そしてこの保管庫が街の北東端。


 あとは街の北部のほぼ真ん中にあって、儀式場を過ぎて延びてきた中央通りがぶつかる所、王宮や貴族のエリアは四角く枠が描かれているだけで、詳細な中身はわからなくなっている。


 まぁ考えてみれば安全のためには当然かも。南門付近から真っ直ぐ数キロ先を遠目に見ても、壁があることが分かるくらいなので、外壁と同じくらい高い城壁で囲まれているのだろう。その周囲には大通りがあり、北城壁にぶつかって曲がれば北門へ至る。


 その王宮エリアの奥には道を挟んで兵舎があるらしく、こちらも南門の兵舎より大きいようだ。

 北門から入ると目の前に兵舎が存在するかたちになっていて、船着き場から来た人は驚きそうだけど、王宮が近いから仕方がないね。


 アマリアの説明をふむふむと聞きながら案内板を見て、この配置で儀式場で選別を受けるのって結構、見世物(みせもの)みたいだなぁとかあれこれ考えていたら、


「どう?大体分かったかしら」


「うん、たぶんわかったよ。街の中央の儀式場の周りに大抵の工房や店があるから、それ以外はあまり僕らには関係無さそうだね」


 僕が答えるとアマリアが頷く。


「じゃあ今度こそ行くわよ。キョロキョロもウロウロもせずに、しっかり付いてきて。まずは(くわ)を修理に出して、それからお買い物ね」


 そう言って歩き始めようとしたが、すぐに立ち止まりこちらを見る。


「また足が止まったり言うことを聞かなかったら、次は手を繋いで歩かないといけないからね?」


 アマリアはニヤッとしながらそんな事を言う。

 僕がアマリアをからかうのが好きなように、アマリアも僕をからかうのが好きなため、実に活き活きしておられる。


「はいっ! シスター・アマリアにしっかり付いていきます!」


 さすがに中身が転生していなくとも、十二歳の男の子が手を繋いで歩かなきゃならないのは恥ずかしいので、僕は背筋を伸ばし敬礼ポーズをとりながら答える。


 するとそれを見たアマリアは「よろしい」と言って、満足そうにウンウン頷いていた。



 そうして大通りをアマリアと並んで北へ向かってしばらく歩いていると、やがて儀式場が見えてきた。

 東西南北へ通じる大通りが交差する、そのまさに真ん中の広場には高さは50センチほど、直径5メートルほどの白い円形の台があり、そこには台と同じ白で様々な美しい彫刻が施された、2メートル四方くらいの立方体があった。


 そしてそれを土台にして直径3メートルほどの透明な球体が上に乗っていて、その中には大人の拳ほどの大きさの、金色の球が多数入っているのが見えた。

 土台の真ん中より少し上の辺りには、丸い虹色の宝石のような物体が埋め込まれており、そのすぐ下には丸い穴が空いていた。


 僕はこれと似たようなものを、前世で何度も見たことがあり、「えぇーっ!?」と思わず声が出た。

 隣でいきなりの大声にビクッとしたアマリアにもお構いなしに、僕は思わず儀式場へと駆け寄る。


「いやこれ……ちょっと形は違うけどガチャガチャじゃん! 異世界に来てまさかこんな物を見られるとは!

 いやー、懐かしいなぁ。まさかこれで選別するの? ……うわぁどうしよう、メッチャ引いてみたい!」


 そう言いつつ巨大なガチャガチャマシーンの周りをグルグルと回りながら、色々な角度から見ては一人ではしゃいでいると、誰かに手を握られた。


 振り返るとアマリアが笑顔でこちらを見ていたが、その笑顔は何やら引きつったものに思えた。そして僕の手をとったアマリアは、安全を確認しながら大通りを渡って商店の前まで連れて行き、ゆっくりと口を開いた。


「あれほど注意したのに、止める間もなく勝手な行動をしたわね……」


 とうとう笑顔も保てなくなってきたのか、頬をピクピクさせたアマリアの笑顔に、どんどんと怒りの色が滲んでくる……これはまずい。


「ジグったらもう! 前だけを見て周りも確認せずにこんな大通りを渡って! あなたもう少しで馬車に轢かれるところだったのよ!?」


 どうやら本当に危なかったらしい。こんなに怒ったアマリアは見たことが無い。僕は素直に謝ることにした。


「ごめんなさい、シスター・アマリア。久しぶ…いや、初めてこんなに珍しい物を見たものだからつい……」


 素直すぎてちょっと本音が出かかった。でも本当に悪いことをしたとは思っている。アマリアに心配をかけるつもりなど毛頭なかったのだ。


「どんなに嬉しくても楽しくても、怪我をしたり嫌な目に遭えば、それも台無しになっちゃうわよ!

 気になったものが有るのならまず私に言って、それから一緒に行けば良いじゃない。それくらいの我慢はもう出来るでしょうに」


 多少は怒りが収まってきたのか、アマリアは後半は(さと)すように言う。


「返す言葉もございません……」


 まさにそんな心境の僕は、うなだれてそう言った。


「で、もう儀式場は充分見たのかしら?」


 溜息をついたアマリアが尋ねる。


 この世界に転生して早十二年、前世の世界にしか無いと思っていた物を予期せず突然見たから夢中になってしまったが、落ち着いてしまえばどうということはない。


「もう充分、お腹一杯だよ……」


「そう、じゃあ食材を買いましょうか」


 僕がうな垂れて答えると、そう言ってアマリアは僕の手をとり店の方へと歩き出す。


「えっ、あ、ちょっと……シスター・アマリア!?」


 抗議の意思を込めて僕が言うと、アマリアはすかさず振り返る。笑顔だがとても悪い表情をしている。


「次に言うことを聞かなかったら、手を繋ぐと言ったわよね?」


「は、はひ……」


 この笑顔には逆らうべきじゃないと判断し、僕は大人しく頷いた。

まだ改訂が多いので、ぱっと見で分かりやすいように、サブタイトルを変更いたしました。すみません。


ギャンブルな選別ってどんなだろうと考えて、ガチャガチャになりました。

大人げないと思うかもしれませんが、現代のものなんて皆無の異世界で12年ぶりに、しかも特大サイズのガチャガチャを見たらテンション上がっちゃいます…よね?


アマリアは良いお姉さんですが、手を繋いで街の中を一緒に歩くよりは、モルド神父のゲンコツの方が良いと思うジグです。


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