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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

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★第84話 巡回の旅路 その2 トスウェ訪問と弓術訓練

2024年3月6日追記↓

2024年3月より、作品にいただいたファンアートの中でも、ご本人様からご許可をいただけたものを作品冒頭や本編に順次載せております。


今回は弓術訓練ということで、ぬこじゃむ様(TwitterID=@nukojam)よりアルテミアのイラストです。本当にありがとうございます!

 教会を出発し街を抜け、僕たちは西の街道をトスウェに向かって進んでいる。

 今回は、ほぼ毎日どこかの村に立ち寄る事になるのと、倒したモンスターの魔石や素材も周辺の村で処理することから、野営の道具以外の荷物は少なめだった。


「僕としてはスウサの時のような荷馬車の旅も、のんびりしていて良かったんですけどね」


「あぁ、あれは俺としてもなかなか良かった。

 しかし今回は、身軽さ重視だから仕方あるまい。

 途中で船に乗ることを考えても、荷馬車では行けんだろう?」


「あら、ラジク殿も荷馬車の旅が良いなら、ダリブバール以降は借りるのもアリよ。

 大森林で野営するにも荷馬車があれば女性陣としては安心だし、返すのは街に戻った後にでも、商談で来ているダリブバールの商人に頼めば良いもの」


「旅も後半になれば疲れが出てくるだろうから、私としてはアマリア様が足を痛めないように、荷馬車を借りるのには賛成するよ」


「ミ、ミリア、私だってそれくらい歩けます!…たぶんですけど」


「ふむ、実際に歩けるかどうかは別としても、男の我々とは違って、女性3人は着替えのことなどを考えても、荷馬車があれば便利かもしれんな」


 そんなやり取りをしたり、黒骸王戦の後のあちこちの変化について話をしていると、やがてトスウェの集落と監視塔が見えてきた。


「じゃあ私は長のところに行ってくるから、モルド殿は結界をお願い。治癒術が使える3人は、必要な人に回復魔法をかけてあげて。

 ラジク殿には、監視塔の視察をお願いするわ」


 アルテミアが指示を出すと皆はそれに従って動き始める。年齢としては僕やアマリアに次いで若いが護聖八騎であることと、今回はアルテミアの任務に他の皆が同行する形なので、リーダーは彼女なのだ。

 別に他の3人がダメだという事ではないが、アマリア優先の2人や、基本的には脱力しているラジクと比べても、アルテミアは性格的にも真面目なので、一番向いてると思う。


 僕は集落の人たちを診て回ったが、主に農作業に従事しているせいか怪我や病気というよりは、腰痛や関節痛などが多かった。

 モルド神父も結界を張り終え、ラジクも問題なく合流すると、アルテミアが戻ってきた。


「アルテミア殿、監視塔の兵士の報告だが、たまに単独の盗賊が出る以外は、特に大きな問題は無いようだ」


「ありがとうラジク殿。長に聞いてもこの辺りはトスウェの盗賊団の壊滅以降は、割と安全になっているようね。

 でも北の森や南の草原にはモンスターも出るし、特に街道沿いに長く広がるトスウェの森は、盗賊にとっても良い隠れ家になるから、今後も継続して見回りが必要ってところかしら…。

 さて、問題も無かったことだし、次は草原に向かいましょうか」


 アルテミアは報告書に何やら書き込むとそう言って、僕たちは移動を再開した。

 トスウェの集落の南東には、リッツソリスやスウサとのあいだに広大な農地が広がり、南西にはスウサの大草原よりも更に広い草原が、遙か遠くの山まで続いていた。

 街を出て街道を歩いていた時にも首の関節が心配になるほど、あちこちをキョロキョロしながら見ていたアマリアだったが、これほど広く何もない草原にも驚いた様子で目を輝かせていた。


「私はトイスにしか行ったことがないから、行きも帰りも南の街道しか知らないんだもの。何でも目新しくて新鮮なのよ」

 嬉しそうだねと僕が言うと、アマリアは照れながらそう話していた。


 そうして左手に農地、右手に大草原を見ながらしばらく南下し、ちょうどトスウェとスウサの中間辺りで休憩をとり、狩りを始めることになった。


「じゃあ予定通りモンスターを狩ることにするわ。

 ここは冒険者になったばかりの人が来るようなところだから、ジグにとっては簡単かも知れないけど、アマリアにとっては良い練習場所になるはずよ」


「で、でも私は武器なんて扱えないのですが…」


「アマリア様にはここで魔力弾を教えますよ。

 この前の熱線魔法は少し難しかったですが、魔力弾なら単純に魔力を飛ばすだけですから」


「わ、わかったわミリア。頑張ってみます」


 そう言ったレストミリアとアマリアは、少し離れたところで魔力弾の練習をし始めた。


「ジグは私と弓術の訓練よ。ただし、エルフの弓ではなく普通の弓でやってもらうわ。

 はい、これが練習用の弓よ。あなたにあげるわ」


 アルテミアは僕の体格に合った弓を取り出してそう言う。


「ありがとうございます。でも、エルフの弓だと都合が悪いんですか?」


「えぇと、何て言ったら良いのかしら…。

 そうねぇ、今のあなたの弓の精度が10だとすると、エルフの弓がそのうちの8から9くらいを助けてくれてる状態なのね。

 でも普通の弓で訓練して、魔力を使わなくても命中させられるようになると、例えば元々の精度が7くらいまでになっていれば、エルフの弓の助けを上乗せすることによって、最終的な精度が跳ね上がるのよ」


「現状でもかなり命中精度が良いと思いますけど、そんなに変わるんですか?」


「まぁ説明が分かりにくかったわね。実際に見てみれば分かるわ」


 アルテミアはそう言うと少し遠くあった岩まで歩いていき、指先に集めた風の魔力で表面を削ると、大きさの異なる同心円を描き(まと)のようにし、最後に中心には直径1センチほどの穴を開け貫通させた。


「エルフの弓でアレを狙ってみて。岩が壊れると困るから、当たっても少し傷が入る程度の威力でね」


 僕はエルフの弓で狙って何度か矢を放つと、全て的の中心近くに当たるものの、命中した場所には少しばらつきがあった。


「うんうん、たしかに普通に戦ったり狩りをするなら、十分な精度よね。

 次は私が撃つわ。あなたは視力強化でよく見ていて」


 次にアルテミアが自分の弓で何度か撃つと、放たれた矢は全て岩に穿たれた穴に入っていき、先に地面に刺さった矢に次の矢が命中していった。


「この前の黒骸王の時には、的が大きかったから問題無かったわ。でもこれから先もそうとは限らない。せっかく貴重なものを持っているのだから、精度は上げられる限り上げておきなさい。

 そのために必要なことは、エルフの弓での鍛練よりも先に、普通の弓の扱いを極めることよ。

 それにこれは弓以外の魔法の精度にも影響するわ」


 そう言ってアルテミアは風の刃を放つと、威力の抑えられたそれは岩の表面に縦の細い線を刻んだ。


「あの線を狙って風の刃を撃ってごらんなさい。もちろん威力は抑えてね」


 僕は言われたように威力を抑えて何度か試してみるが、斜めになったりして、どうしても少しズレてしまう。

 そしてアルテミアに代わると、彼女は一発でピタリと同じところに命中させた。


 これには見ていたモルド神父やラジクも「おお…」と感心していた。2人にとってもアルテミアの魔法の精度は凄いものらしい。


「皆それぞれに命中させやすいイメージというものがあるけれど、あなたの場合はエルフの弓っていう、イメージのしやすいものをすでに持っているから、その感覚を身体に染みこませて、更に研ぎ澄ませていけば良いはずよ。

 これは弓だけのことじゃなく、魔法剣だって普通の剣の扱いを知っていなければ、実際の戦いで使いこなすのは難しいでしょう?」


「すみません。不勉強なうえに、道具に助けられていたのを自分の実力だと勘違いしていました…。

 そうですね、魔法剣もいきなり使えたのではなく、師匠との剣術訓練があったからこそ出来たことだと思います。

 ですから弓術訓練もエルフの弓を使う前に、普通の弓で頑張りますので、ご指導を宜しくお願いいたします」


 僕が弓の練習を始めると、隣ではモルド神父の作り出した岩壁にラジクが線を刻み、僕と同じように練習し始めた。

 戦闘経験が豊富な2人でもかなり難しいらしく、なかなか命中させられないようだった。

 その後も僕は弓の練習をし、隣の2人もムキになって魔法を放ち続けたが、結局ピッタリ当てることは出来ず、アルテミアの凄さが改めてわかった。


挿絵(By みてみん)



「ねぇ2人とも、そろそろ止めて狩りをしてちょうだい。私とミリアはジグとアマリアの指導があるんだから、その分も2人にお願いするわ」


「ぬぅ…ラジク殿、今日はこの辺りにしておこう」


「仕方がないか…。そうだモルド殿、村に着いたら弓を買って、明日から我々も同じように練習してはどうだろう?」


「おお、それは良い考えだ。そうと決まれば弓を買えるように、素材や魔石を集めるとしよう」


 2人は張り切って狩りに出掛けた。本来の目的よりも重要な動機が出来てしまっているけど、結果的にモンスターが減るなら良いのかな…。


 その後もしばらく練習していたが、なかなか安定して当てられずにいた。しかも弓の引きすぎで腕が痛い。回復魔法で腕を癒しつつ練習を継続させていたが、それでもあまり上達しなかった。


「ふふっ、結構手こずってるわね」


「む、難しいですね。それでも回復させながら出来るから、練習量としては普通の人よりも多いんでしょうけど…」


「試しに身体強化を使ってみるといいわ。それで命中させたら、その感覚を覚えておいて練習に生かすのよ」


 僕はアルテミアの言う通り、身体強化を使ってみる。すると弓を引いても体が安定して、精度が上がった。その後は何度も的に当てて体に覚えさせた。

 そうしてコツを掴んでから普通の状態で練習すると、命中率がかなり良くなっていた。

 何だか裏技のような上達の仕方だけど、魔力のある世界ならではだね…。


 その後、魔力弾の練習を終えたアマリア達が戻ってきた。


「魔力の扱いに慣れてきているだけあって、見事に使えるようになりましたね」


「初めてモンスターを倒したけれど、アンデッドの浄化と違って消えないから、ちょっと怖かったわ…」


 満足げなレストミリアとは対照的に、アマリアは少し顔色が悪かった。

 とは言え、今日の目的は果たせたようなので良かった。

 それから狩りをしていた二人も戻り少し休憩してから、僕たちはスウサの集落へと向かい日が暮れてから到着した。

 集落の長に任務について話し、素材や魔石を渡し結界を張ると、宿と夕食を用意して歓迎してくれた。


 翌日以降の予定や訓練について話す先生達の近くで、初めての遠出で疲れたアマリアはもちろん、慣れない訓練をして疲れた僕も、その日は食事を終えるとすぐに眠りについた。

初めて見るものが多いアマリアは、はしゃがず、騒がずにいるものの、内心では大喜び。

トスウェ周辺は平穏な様子で、訓練にうってつけでした。


アルテミアの腕前を見て、モルドとラジクは我々も!とムキになるものの、繊細さよりも力押しが得意な2人は手こずり気味。

それは脳筋2人に教育を受けたジグも一緒で、エルフの弓も使えない弓術訓練には結構苦戦。


逆に、これまで回復魔法などの経験があったアマリアの方は、魔力弾の実践にすんなりと成功。

しかし戦闘そのものに適性の低いアマリアは、モンスターを相手にするのはなかなか大変な様子でした。

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