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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

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★第5話 モルド神父の不在 その2 お使いと街周辺の地理

引き続きモルド神父が不在中の話。

今回は教会の周囲や街の内外の様子についての説明。


評価やブックマークをしてくれた方々がいることに気がつきました。ありがとうございます。


半端に更新したり、何か思いつき次第に遡って読み直しては、過去の文章や設定をまだまだ直しながら書いているので、矛盾や「あれ?先に読んだ内容と繋がらないぞ」と思われるようなことが多々あるかと思いますが、何卒お許しくださいませ。本当に申し訳ございません。


2024年3月6日追記↓

2024年3月より、作品にいただいたファンアートの中でも、ご本人様からご許可をいただけたものを作品冒頭や本編に順次載せております。

今回はぬこじゃむ様(TwitterID=@nukojam)より、物語序盤の舞台となる教会や王都周辺の地図を載せさせていただきました。本当にありがとうございます!


地理説明に関しては恐らく読んでいて「長いし分かりにくいわ!」となるかと思いますので、始まったら少しワープすると地図が載っています……(´;ω;`)スミマセンッ

 翌日、神父達は昨日の早朝に出発したから特に問題も無く終われば、早ければ今日中には帰るはずだと考えて僕はモルド神父達の帰りを待ちながら、いつも通り畑仕事をこなしていた。


「ジグ、ちょっとお使いを頼みたいのだけれど良いかしら?」


 するとアマリアを連れたシスター・ヒルダに声をかけられた。


 ヒルダは白髪を後ろで結い上げ小さな丸い眼鏡をかけている、最年長のシスターで年齢は六十代後半。

 とても優しく皆のおばあちゃん的な存在だが、怒ると怖い。噂ではモルド神父も頭が上がらないとか。


 現在は年齢的なこともあって各地を回る仕事は引退し、孤児院の副院長として主に子供達の世話や教育、シスター見習いと神父見習いへの指導も担当している。

 モルド神父が不在の今は、カディル神父がまだ若いこともあって彼女が皆を束ねている。


「うん、いいけど。僕は何をしたら良いの?」


「農作業に使う(くわ)が先ほど壊れてしまったの。これを街の職人のところへ持って行って、修理してもらってちょうだい。

 あと、足りない食材をいくつか買ってきてほしいわ。修理は長い時間はかからないはずだから、その間に買い物を済ませて修理が終わったら受け取って帰ってきてね。

 ジグはお使いが初めてだから、今回はアマリアに付き添ってもらうわ」


 僕が了承して尋ねると、ヒルダはそう言って壊れた鍬を僕に、必要な食材のメモと代金が入った(かご)をアマリアに渡す。


「わからないことがあれば聞くようにしてね。アマリアも街で気をつける事を歩きながらでも教えてあげて」


 ちなみにこの世界の通貨はゴルと呼ばれる単位で、1ゴルが1円くらいだ。

 子供のうちは神父やシスターに連れられて、教会や畑の南にある森へ薪拾いや採集に行くことはあっても、なかなか街の方に行くことは無いが、見習いになると徐々にそういったことをするようになる。


「はーい。じゃあ行ってきます」


 そう言って僕とアマリアは、畑を出て街の南門へ向かう。



 この街はこの国の首都で正方形の城壁で囲まれている。街の名前はリッツソリス、国はセントリングというそうだ。

 前に一度、モルド神父に国内全てではないが街の周辺と、その先の辺りまでの地図を見せてもらった事がある。地図に興味を持つ子供が珍しかったのか、親切に詳しく教えてくれた。



 街の北には大陸の北部を横断する、東西にとても長く大きい山脈があり、その北の大山脈からは城壁の北西の角に向かってソリス川が流れてきている。

 ソリス川はそこから東へ曲がって街の北城壁に沿うように進み、北東の角で南へほぼ直角に曲がり、東城壁に沿って真っ直ぐ南へ流れていく。

 城壁の南東の角を過ぎた辺りで、それまで真っ直ぐ南に向かっていた流れは南東へ逸れて、そのまま下流へ流れていく。


 城壁には東西南北に門があり、川が近くを流れる北と東の門の外には橋が架かっている。北の橋付近の川と城壁の間には船着場(ふなつきば)があり、水運(すいうん)の玄関口になっている。

 北の橋を渡ると山脈との間には大きな岩山があり石材の採掘場所になっていて、更に山脈の方へ北上すると鉱山がある。


 東門の橋を渡ると東へ真っ直ぐ伸びた街道が有り、その先に大きなイスフォレの森があるが、教会の南にある森にはモンスターがほぼいないのに対して、こちらは森がだいぶ大きいためか奥へ進むにつれて弱いモンスターが出るので、森の入口付近にはモンスター等への警戒のための監視塔が建っている。

 ちなみに東の街道をしばらく進み、途中から街道を外れて北上した先にはたしか、今回モルド神父達が向かったイスフォレの村があったはずだ。


 西門の外には真っ直ぐ西へと街道が延びており、西街道の北側には大規模な牧場がある。ここでは軍馬や首都周辺で必要な家畜を一手に担っている。


 牧場の西には街道と山脈の間に沿って広がる、イスフォレの森よりも東西に長いトスウェの森があり、森と牧場の間には街道の見張りが出来るように監視塔がある。

 トスウェの森は街道が通っておらず村も無いため、鬱蒼(うっそう)としており探しにくいせいでよく盗賊が潜んでおり、西街道を行き来する者を襲うことがあるのと、更に遠く街道の先の山の向こうには、昔から敵対している国があるため、監視塔はその両方を警戒しているそうだ。


 そして牧場の北には岩山や、山脈から流れてきたソリス川がちょうど北門方向へ曲がり始める地点があり、そこには水門が設置され水路が南へ真っ直ぐ延びていて、水路は牧場を通り西街道の途中に架けられた橋の下を通って、南側の広大な農地へ必要な水を送っている。


 西街道の南側に広がる農地は国内最大のもので、街の外側の南西部一帯は全て農地である。この農地の北西端には小規模のトスウェ、南端には中規模のスウサという集落があるが、これは畑が広大で作業する人々が街から毎日移動するのは大変なためだ。

 この広大な農地の北西部をトスウェの農民が、北東部を街の農民が、南半分をスウサの農民の7割ほどで管理している。


 そして南北に長い長方形の広大な農地を潤せるよう、牧場の方から延びている水路が背骨のように、農地の真ん中を南北に貫いている。

 この水路は農地の南端辺りで東に曲がり、孤児院の畑の辺りから南東へ逸れていったソリス川へと繋がるまで、長く東へ延びている。


 この水路の水量は水門で調節も出来るが通常は幅4、5メートル、水深は1メートルほどで、小さな舟でなら人や物資を運べるようになっているだけでなく、有事の際には首都を守る堀の役目も果たす。


 南門からは真っ直ぐ南へと街道が延び、南門のすぐ外の東側には丘が有ってその上には教会や孤児院が、それらの更に東で丘を下った先には僕たちが作業している畑が、建物や畑の南には小さなトイスの森がある。


 トイスの森の南西端の街道沿いにはトイスという集落があり、その南には広い農地がある。この農地は街の南西側の農地の半分ほどではあるがなかなか広く、街からは距離があって通うのも大変であるため、北側をトイス集落の農民が、南半分は街道を渡って来るスウサ集落の農民の3割ほどが管理している。


 トイス側の農地の南にはスウサの砦が築かれており、南門からは徒歩で半日ほどの距離になる。街道を挟んでスウサの集落と砦は向かい合っている。

 何かあれば比較的人数の多いスウサの農民を守れるように、監視塔ではなく砦になっているようだ。

 その何かをもたらしそうなのは、これまた南街道の遥か向こう。草原と山と森を越えた先に、資源や食料の豊富なこちらの国を狙っている獣人の国があり、それに対する備えらしい。


 そんなことを思い出しながら、現在の教会の成り立ちについての話も思い出す。


 教会や孤児院は街の城壁の外、小高い丘の上にある。城壁の南東の辺りだ。かなり昔には丘の上に出城(でじろ)のようなものがあったらしいが、いつしか必要無くなったので解体し建て直して、当時は他に行き場所の無かった孤児のための孤児院にしたらしい。


 当時からシスターや神父が各地へ祈りのため、壁の内外を行き来することが多かった教会は、毎回街へ戻るたび門番に身分の提示や持ち物の確認をされるのにも不便を感じていた。


 そして孤児の面倒を見るのにも孤児院に近い方が都合が良く、南の森で採集が出来ることや丘を下った東側には川もあり、南の街道沿いの便利な立地であったこと。

 孤児院の西側には出城を解体した時に出た資材がまだ多く残っており、再活用して教会が安く建てられそうだったこと。

 少し丘を下れば東側を流れる川と丘の間には荒れ地があって、耕して川から水を引けば畑にできて自給自足もしやすい事から、その機に孤児院の隣に移転したそうだ。


 移転当時は城壁の外にいても、比較的安全な時代だったんだね……。

 魔王軍との戦争中なら考えられなかっただろう。

 でもそうして移動したからこそ今の自給自足というか、貧しいながらも教会や孤児院だけである程度、自立した生活が出来ていることには感謝しなきゃ。

 当時の責任者さん、ありがとう!


挿絵(By みてみん)


 あれこれ考え事をしていたが、そろそろ頭を切り替えてお使いのことを考える。


「初めてのお使いで嬉しそうね」


 これまでは無かった仕事に少しワクワクしながら孤児院と教会を通り過ぎ、丘を下り街道に出て南門へ向かっていると、そう言ってアマリアがこちらを見ながら微笑んでいる。


「街に行くのは初めてだからね。どんな所かワクワクするよ」


 たしかにワクワクしている僕も、笑みを浮かべて答える。


「楽しみな気持ちはわかるけれど、今日は門番や職人や商人とのやり取りは私がするから、ジグはよく見ていてしっかり覚えてね。

 それと分からないことは聞いて、私から絶対に離れないように。言うことを聞けないなら、次からはお使いを頼まないからね」


 アマリアは籠を持った左手を腰にあて、右手を軽く握って人差し指だけを立てながら僕に言う。


「僕がまだしたことの無い、街の人達とのやり取りをよく見て覚えるのは分かるんだけど、僕はもうそんなに小さな子供じゃないのに、何か危ないことでもあるの?」


 僕は早速気になった事を尋ねた。


「南門から真っ直ぐお城に通じる道は幅も大きくて、外からの街道と繋がっていて人も馬車もたくさん行き来するから、結構危ないのよ。

 それに街ではたまにひったくりなんかも起こるし。

 まぁ私たちは教会のシスターや神父の服を着ていて、あまりお金を持ってないのが泥棒にも分かるでしょうから、滅多に狙われないとは思うけど……」


 そう説明してから、アマリアはニヤッとこちらを見て続ける。


「それに初めての場所でキョロキョロしたりウロウロし過ぎて、ジグが迷子になって泣いちゃっても可哀想だもんね」


 アマリアは、ふふふんと笑うと僕をからかった。


「そ、そんなことしないし泣かないよっ!?

 でもまぁ初めての場所だから、アマリアにくっついて大人しくしてるよ」


 僕は反論しつつ、初めて向かう場所で精神も肉体に引っ張られていることから、従う意思を示した。


 これでも中身はアマリアより大人……のはずなんだぞ。

 いや、まぁ異世界に来て初めての場所で魔法の道具や、不思議なものがあったら思わず夢中になって、はぐれてしまう可能性は否定できないんだけどさ……。


「そう? なら大丈夫ね」


 アマリアはそれはもう満足そうな顔でこちらを見ている。もしかしたら前にモルド神父の事でからかったことへの仕返しだろうか。


 そうこうしているうちに南門に着いた。

 門番にどういう用件か、どこから来たのかを伝えて荷物検査や、隠し持った物が無いかボディーチェックを受ける。

 一応、アマリアの確認は女の人が奥から出てきてやっていた。この辺りの気遣いは女性には助かるのかな、などと考えているうちに門でのやり取りは終わった。


 ちなみに門番と顔馴染みならば多少は甘くなるが、それは壁外で畑仕事等をしていて毎日のように壁の内外を行き来し、戻ってくる時にも持って行った道具以外は手ぶらで帰ってくる人に限る。

 森や畑で採取や収穫をして荷物が有れば、もちろん確認される。


 一瞬、門にだけ結界を張れば良いのにと思ったが、結界は祈った本人から同心円状に広がるので、そうなると本当に門の所だけが効果範囲になり意味がないと気づいた。街や内部の人に害意を持っている敵が来ても、門や門番に害意が無いと素通り出来ちゃうよ……。


 街の中を守るために門に結界を張るのなら、街の中央から東西南北の門まで届く結界を張らねばならず、それはかなり大変そうだ。

 いや、大変というか人間業(にんげんわざ)じゃない。教会と孤児院をドーム状に包む、モルド神父の結界を思い出しながらそう考えていたら、アマリアの呼ぶ声がした。


「さぁ、終わったから行くわよ。ボーッとしてないでしっかり付いて来てね」


「うんっ」


 僕は頷いてアマリアに駆け寄り、門の向こうへと進んでいった。

ヒルダが初登場。教会が一番大変な時期に苦労をしてきた方です。成人後に神父になったモルド神父に色々と教えもしました。


考えていたら楽しくなってしまい、思った以上に長くなった結果、地理的な事を書いていたら街の中まで行けませんでした。


一応ノートに書いて、それを見ながら書き込んだのですが、分かりにくかったらごめんなさい。

実際に読みながら書いてもらえましたら、多少はわかりやすいかもしれませんが、それでもダメだったら更にごめんなさいorz

何処かに地図でも載せられたら…と一瞬考えましたが、自分は字も汚く絵心も無いので、無理な話でした。今後全て関わってくるかも不明なので、今はサラッと流していただく方向で…。

(↑数年後に地図を描いていただいて、ここに載せられることをまだ知らない作者……( ̄▽ ̄;))


今回の説明したのは一部を除いて、街から徒歩で一日以内の範囲です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アマリアが可愛いです! 彼女はヒロインの一人なのかな? それと世界観や教会、神父やシスターの背景を随分と凝って書いてますね。 普通のなろう作品では、あまりこの辺は掘り下げないので興味深いで…
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