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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

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第74話 閑話 街の防衛と試される覚悟

黒骸王がアンデッドの軍勢を召喚した後、ジグやラジク達がいる街の中の様子。


やはり主人公視点じゃないと、どうにも話しが転がりにくくて今回は視点を戻しました(汗)

 教会から南門の兵舎に避難して、モルド神父に薬を8割ほど渡して見送ってから、かなりの時間が経過した。まだ安全宣言は出されず、戦いは続いているらしい。


 教会の皆は戦いに参加している人達のために、祈りを捧げている。僕とアマリアには魔力を温存して、万が一のために備えろという指示が出されているので、ただただ時間が過ぎるのを黙って待つしかなかった。


 すると窓の外、街の上空にうっすらと膜がかかっていくのが見えた。外城壁にまで結界でも張ったのだろうかと考えていると、兵舎の外が騒がしくなり地面からスケルトンが湧き出したのが見えた。

 兵舎の中の兵士達も、一気に慌ただしくなっている。


「え…?…ヒルダ!スケルトンが出てきてる。結界を張った方が良いかも!

 戦闘になるなら兵士に協力して僕とアマリアも戦うから、皆は結界を維持しつつ、怪我人が出たら手当てもお願い!」


「神父様は万が一と言っていたけど、備えておいて本当に良かったわね…。行きましょう」


「わかりました。2人とも、くれぐれも気をつけるのですよ」


 外に出ると既に兵士長のカルストが指揮を執り、スケルトンとの戦いが始まっていた。


「カルスト兵士長、僕達も協力します」


「ん?お前はあの時の…それにアマリア、キミも戦えるのか?」


「僕は戦闘訓練を受けてますし、アマリアは治癒術と浄化魔法が使えます。

 それに教会の皆も結界を張って、怪我人の受け入れ準備を始めています」


「皆の協力に感謝する。それに兵士だけでは、浄化が難しかったところだから非常に助かる。

 我々が前衛で戦おう。アマリア殿には護衛を2人付けるので、トドメの浄化をお願いしたい。それと、少年はどの程度戦える?」


「普通のスケルトンなら問題ありません。

 風と光の魔法と身体強化、属性身体強化と魔法剣あたりは使えます」


「…さすがにモルドが教えているだけはあるな。

 よし、では俺と共に最前線で戦ってもらおうか。それと少年、お前の名は?」


「ジグです。よろしくお願いします」


「ジグか、こちらこそ頼む」


 そうして僕とカルストは、兵士達が槍衾(やりぶすま)で敵の一角を突き崩した所に乗り込み、それぞれ火と光の魔法剣で次々と斬り浄化していく。

 兵士達が攻撃して身体がバラバラになりつつも、浄化がされていないスケルトンには、後方からアマリアの浄化魔法が撃ち込まれ、兵舎の周りを取り囲んでいたスケルトンは、みるみる減っていった。


 僕は一応アマリアに魔力の回復薬を渡してから、そのまま街の主に南側の掃討に移ると、血のように赤いスケルトンの姿が、チラホラと目に入るようになってきた。取り囲んでいた兵士達が、次々と吹っ飛ばされている。


 色違いなだけあって強いみたいだ。赤いんだし三倍の強さなのだろうか…。いや、わからないけどね。


「あれは他のスケルトンとは明らかに違うな。気をつけろよ」


「はい。あの様子だと一般の兵の被害が増えるだけですし、どの程度の相手なのか1度、僕達だけで相手をしてはどうですか?」


「自信ありげだな。油断は禁物だと思うが…」


「この騒ぎの元になった、とんでもない化け物を見た後なので、たしかに感覚が麻痺しているかもしれません。

 かといって魔法剣や浄化の出来ない人が、アレとこのまま戦っても危ないかなと…」


「それもそうだな。まぁただの油断ではなく、考えあってのことなら良いのだ。では、いくぞ!」


 そう言うとカルストは兵を引かせて、自ら斬り込んでいく。そして赤いスケルトンと数合斬り結ぶと、火の魔法剣で真っ二つにした。


 あれ、この人って兵士長の職にはあるけど、ちょっとした騎士くらいの強さはあるんじゃない…?

 なんでこんなところにいるんだろうって思うくらいには強いよ。

 そういえばモルド神父とも知り合いらしいし…ということは、魔王軍との戦争も生き抜いた人じゃん!そりゃ経験が違うし心強いね。


 進むにつれて赤いスケルトンの割合は増していき、その装備も強さも徐々に上昇していった。


「北門に近付くにつれて強くなってますね。どういうことなんでしょう?」


「報告によると北門の外にいる化け物が、自分を中心にして放った魔力で、このスケルトンの軍勢を呼び出したらしいからな。

 そいつに近い方が魔力の影響をより多く受けて、個体の強さの違いとなっているのだろう」


「そうなるとこれ以上は、魔法戦闘が出来る僕らはともかく、他の人達には厳しいんじゃ…?」


「そうだな、この辺りが潮時も知れん」


 僕とカルストがそんなやり取りをしていると、目の前にいた赤いスケルトンの集団に範囲魔法が撃ち込まれ、敵を消し飛ばした。

 そして街の北を掃討していたらしい、騎士の一団がやって来た。先頭を切るのは見慣れた師匠の姿だった。


「ジグ、こんなところでしかもカルスト殿と一緒とは、何をしているのだ?

 それにそちらにいるのはアマリア殿ではないか。てっきり兵舎に避難しているとばかり思っていたが?」


「師匠、僕達はちゃんと避難していましたよ、スケルトンが目の前に現れるまでは。

 でもあんなのが近くをウロウロしていたんじゃ、大人しくしていられるわけがないです。

 それにアンデッドの相手なら、ミリアさんに教えてもらった浄化魔法が使えますから、僕達だって協力出来ますしね」


「そういうことだラジク殿。ありがたいことに彼らの協力で、我々の被害も抑えつつ街の南側はほとんど片付けられた。

 北上するたびに敵の強さが増していくから、これ以上はさすがに兵士達には荷が重いと判断して、一旦戻ろうかと考えていたところだ」


「ふむ。東西の門の掃討も我々が済ませてきたし、今ので恐らく最後だろう。南門も問題ないなら、街の中は各門の兵士長に任せて良さそうだな。北門付近の一帯は騎士団長がいるから、恐らく片付いてるはずだし…」


 ラジクが今後について考えていると、北から伝令がやってきた。


「ラジク殿、黒骸王と交戦中の前衛が苦戦。

 街の掃討を終えた者は至急、救援に向かうようにとの命令です!」


「あれだけの猛者が揃っていても厳しいのか…わかった、すぐに俺も行こう。そういうわけだカルスト殿、2人を頼む」


 モルド神父達が救援を求めるほどに苦戦している…?

 伝令の声が頭の中で響いてグルグルと回る。胸が締め付けられるような痛みと、何かしなくてはという焦りが身体を満たして、喉がカラカラになっていく。


「…し…師匠!」


 僕は踵を返して立ち去ろうとするラジクに、思わず声をかける。


「ダメだ。避難しろと言ってお前達を置いていったということは、それだけ厳しい戦いだとわかっていたからだ。

 それにモルド殿から、大人しくしているようにと言われなかったのか?」


「言われました。でも何もせずに待っていて、もし神父や師匠やミリアさんに、何かあったらと思うと、居ても立ってもいられないです」


「わ、私もです!街の中は安全になったのでしたら、せめて騎士様達の治療にだけでも参加させてください!」


 少し後ろで話を聞いていたアマリアも、ラジクに直訴する。


「お前達が我々を心配するように、我々だって戦場でお前達に何かあったらと思うからこそ、危険からは遠ざけたいのだ」


 珍しく何処か遠いところを見るような目で、ラジクは言う。


「師匠、僕はルナメキラの時のように、また守られるだけなのはご免です。

 あの時みたいにボロボロになった師匠の姿は見たくありませんし、すでに右腕を失った神父がこれ以上傷付くのも想像したくありません。それにいつも飄々としているミリアさんが、弱気になったり倒れるなんて嫌なんです。

 厳しい訓練にも耐えてきたのは、こういう時のためなんです。

 べつに死んでも守るとか、無駄だと分かっていても行くんじゃなく、大事な人達とこれからも生きていくために、戦いたいんです」


 隣にいるアマリアも、指輪とお守りを強く握り締めて頷く。


「それでも師匠が置いていくというのなら、もう連れていって欲しいとは言いません。

 僕は…僕達は勝手に動きますし、邪魔する人がいるなら…」


 僕達は姿勢を低く構えて、魔力を放出する。

 すると後ろから気配が殆どしないものの、誰かに攻撃されるのを感じた。

 僕は振り向きざまに右手で剣を抜きつつ、攻撃してくる相手の手首を左手で捕まえ、剣を首元に突きつける。


 僕の反応を見たアマリアも、驚きながらも後ろに向かって手の平をかざし魔力を集めている。

 遺跡では失敗した、光の攻撃魔法でも使うつもりなのかもしれないが、人に向けるのは大いに躊躇いがあるようで、その手は震え汗が滲んでいる。

 すると、そこにいたのはカルストだった。


「参った降参だ、放してくれ。アマリア、キミもその物騒な魔力を向けるのは勘弁してくれ」


「……」


 僕は警戒を解かず、そのまま黙ってカルストを見る。アマリアも手を下げずにそのままの姿勢だ。


「どの程度の覚悟と実力で言っているのか、確認するのに試しただけだ。もうしない」


「わかりました…」


「ラジク殿、これなら前衛は無理でも後衛で仕事にあたらせれば、役に立つのではないか?

 下手に置いていけば勝手に動いて死にかねんし、今は前線でも手が足りないだろう。彼らが参加する分、戦闘向きの治癒術士が前線に加われば、モルド達の負担も減るだろう。

 それにこれ以上、モタモタしてもいられまい?」


「確かにそうかもしれん、仕方がない、同行を認めよう。

 それにしても全く、2人揃って頑固というか無茶というか、一体誰に似たのだろうな?」


「僕達はモルド神父を見て育ちましたから」

「私達は神父様を見て育ちましたから」


 僕とアマリアが声を揃えて言うと、ラジクもカルストも納得したような表情をして、

「それもそうだった。なら仕方がないな」と言って笑った。

街の掃討の大半は、ラジク率いる遊撃隊によって迅速に行われ、南門付近の比較的弱いアンデッドの掃討は、ジグやアマリアの活躍もあって少ない被害で済みました。


最前線の苦戦を聞いた2人は居ても立ってもいられず、とうとう強硬手段に。

2人の想いを汲んだカルストは、ラジクの了承を得るに足るのかを試し、見事に応えた2人の後押しをしてくれました。


最終的には合流する予定ではあったのですが、やはり主人公がいないと書きにくい部分も多く、予定より早く前線へと向かうことにしました。申し訳ございませんorz

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