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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

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第66話 魔女の指導 その1 浄化とアマリアの盾魔法

休養もたっぷりとって、訓練が再開します。

 休日をのんびり過ごしてリフレッシュした後は、二度目のレストミリアの訓練の日だ。

 ラジク、モルド神父、レストミリアの3人で話し合った結果、僕には単純な戦闘以外の搦め手や、補助的な勉強も必要だということで、レストミリアの指導の時間を増やすことになったらしい。


 迎えに来た彼女は、自身もエルフの里に行っており、街に戻ってからのこの三日間ほどは身体を休めたり、溜まっていた仕事を片づけたりして過ごしていたので、久しぶりに行われるアマリアとの訓練に、多少興奮しているようだった。


「アマリア様、今日からの訓練なのですが」


「ジグから話は聞いていましたがミリア、私には戦闘訓練など出来ませんよ?」


「そ、そんな…!これだけを楽しみに私は、岳竜との厳しい戦いを乗り切ったのにっ」


「どこにやり甲斐を見出しているのですか!?」


 どうやら僕がいない間にアマリアは、レストミリアが自分を様付けして呼ぶことを受け入れたようだ。

 まぁ恐らくアマリアが何度訂正しても、レストミリアの方が癖になっていて、とうとう根負けしたのだろう。

 アマリアもレストミリアを呼び捨てにするのは抵抗があったはずだが、今はそれが出来る程度には打ち解けたらしい。

 2人のやり取りを見ていると、何だか互いの関係が自然な感じに思えて、これはこれで良いのかなと思う。


 練兵場に向かう道中でもレストミリアは必死に説得し、とりあえず身を守るための盾魔法と身体強化を覚えることを、アマリアに了承させた。


 街中で「いやっほぅっ!」と叫んで喜ぶのは勘弁して欲しいが、戦うかどうかは別にしても回復魔法に盾魔法、身体強化やその上の属性身体強化が出来るなら、自分を守ったり敵から逃げるにも有効なので、僕としても賛成だった。


 ミリアさんはそれらの習得が終われば、絶対に魔法剣や攻撃魔法も教えるつもりだとは思うけど、アマリアには多分お見通しなんだろうなぁ…。


 レストミリアの神眼は何でも見通せるようではあるけれど、アマリアが相手になると途端に察しが悪くなる。恐らく(あるじ)のことを覗きたい願望と、それは不忠だと思う忠誠心とのせめぎ合いで、さすがの神眼も曇るらしい。


「それじゃ今日はアマリア様が盾魔法、ジグは浄化魔法の訓練をしようか。

 それを覚えたら休憩を挟んで、後半はアマリア様が回復魔法、ジグは私と戦闘訓練だ」


 練兵場に着いたところでそう言ったレストミリアだったが、そこに何だかお怒りの様子な治癒術士が、ズンズンと歩いてきた。


「レストミリア様!仕事をほっぽり出して何をしているのですか!?

 アマリア様の訓練指導をしたいのは分かりますが、それは大森林への遠征の間に溜まっていた仕事を、全て片づけてからにしてくださいと、あれほど言ったではありませんか!

 この3日間で片付かなかったのですから、今日は諦めてくださいっ」


「ええぇっ!?アマリア様の成分が足りなくて、私はもう限界なのにぃっ!」


「ちょっとミリア、私の成分って何ですか!?」


「アマリア様からは神々しい光が溢れ出して、この世界の全てを照らしております。そしてそれは植物が日の光を浴びて成長するかのように、私の栄養となるものなのです!」


「私にはもう、ミリアが言っている意味がわかりません…」


「申し訳ありませんがアマリア様、そういうことですのでレストミリア様は連れて行きます」


「は、はい。というか何故、治癒術士様までもが私のことを様と…?」


「それはもう我々治癒術士の間では、お母上のマリア様は伝説となっていますし、私のように実際に知っている者達にとっては、憧れを通り越してもはや崇拝の対象なのです!」


 アマリアの質問に力強く答え、ウットリした顔で説明する治癒術士の表情は、まるでレストミリアがアマリアの話をする時のようだ。

 もしかすると治癒術士達は、レストミリアの影響もあってマリアとアマリア母子の、ファンクラブにでもなっているのだろうか。


「は、はぁ…?」


 アマリアは既に呆れ半分、諦め半分の表情だ。


「それにレストミリア様からも話を聞いておりますが、アマリア様も治癒術士としての才能が豊かだと伺っております。

 我々も聖女の再来を心待ちにしておりますので、今から楽しみでなりません」


「えっ、才能?聖女…?」


 思わぬ言葉に狼狽えて固まるアマリアだったが、ウットリしたままの治癒術士には見えていないようだ。


「それではアマリア様、レストミリア様は連れて行きますね。帰りに教会までお送り出来るよう、訓練が終わる頃には解放いたしますので」


 そう言って、うな垂れるレストミリアを引き摺る。レストミリアは僕が盾魔法を、アマリアが浄化魔法を、お互いに教え合うようにと言って去って行った。


「アマリア、とりあえず練習しようか」


「そ、そうね。お願いするわ」


 まだ固まっているアマリアに声をかけ、僕達はそれぞれの魔法を教え始めた。

 先に盾魔法について教えると、アマリアは結界を張っているだけあって、割とすんなり盾魔法を習得した。


『ライトシールド!』と唱えると、アマリアの周囲には僕の風の盾とは違って、淡く光る半透明なガラスのドームのようなものが現れた。

 盾魔法を張ったアマリアへ向かって、試しに手加減した魔力弾を放つと、光のドームは見事に攻撃を防いだ。


「わぁ、本当に防げるのね。ねぇジグ、もう少し強めにしてみて」


「良いけど、大丈夫なの?」


「防いだ魔法の威力が大きくなると、盾魔法に自分の魔力が持っていかれるんでしょう?

 今のは何も感じなかったから、まだ大丈夫よ」


 それなら大丈夫かなと思い、手加減無しで魔力弾を撃ってみると、アマリアの盾はそれも防いだ。限界が知りたいらしいアマリアは、更に強くするように言うので、僕は攻撃を徐々に強くしていったが、アマリアの盾は普通に放った風の刃まで耐えた。


「ふぅ、そろそろ危ない気がするわ。もう止めておきましょう」


 少し息の上がったアマリアが、満足そうにそう言う。


 生まれつき魔力が強いとは聞いていたけど、一切の戦闘経験も無しにここまで耐えるのだから、回復魔法を使い続けて成長したり魔力量が増えたら、僕なんて追い抜かれそうだね…。

 生まれって大事なんだなぁと改めて思った。


 その後は休憩を挟んでから、アマリアに浄化魔法を教えてもらう。

 浄化魔法は、水属性で単純に物体を浄化して清潔にするものと、光属性でアンデット系のモンスターや闇属性の相手に有効な攻撃魔法の、2つがあるらしい。

 水属性の方は浄化魔法と言うよりは、むしろ洗浄魔法と言うべきかもしれない。

 僕もアマリアも水属性は無いので、光属性の浄化魔法を覚えることにした。


『リル・クリアライト!』と唱えると、光の球が放たれた。


 浄化魔法は割と簡単で、光属性の塊を相手にぶつけるだけで良いらしく、難なくクリアーできた。

 その次は応用編で、浄化魔法を広範囲に使うものだった。


『エリア・プリフィクト!』と唱えると、自分を中心とした直径数メートルほどの光の柱が立った。


「やっぱり魔法の使い方に慣れてるだけあって、覚えるのが早いわね」


「うん、今回のは特に魔法名が分かってるし、魔力を込めて唱えれば発動するからね。

 それにしてもアマリア、これって対アンデッド用の攻撃魔法だと思うんだけど、戦闘訓練はしないんじゃなかったの?」


「えぇ、それもそうなんだけど…最初は何も知らなかったから、言われるがままに練習していたのよ。

 それにあなたの言う通り、魔法名を教えられたらあとは、魔力があるかどうかでしょう?」


「それもそうだね。極端な話、回復魔法だからって教えられて攻撃魔法を唱えれば、属性が合っていて魔力さえ込められれば撃てちゃうもんね…」


「私としてはね、剣を振り回したり身体を動かすような戦闘訓練は無理だけど、近付いてくるモンスターを離れたところから退治できるような魔法なら、覚えても良いかなって思ってるわ」


「それは何となくわかるよ。目の前にいると怖いけど、敵を遠くから狙えるなら、恐怖心や焦りは少なくて済むもんね」


「えぇ、それで神父様や皆を助けられるなら、覚えておいて損は無いと思うの」


「でも光属性って、遠距離攻撃魔法はどんなのがあるのか分からないよね。その辺りはミリアさんが来たら聞いてみようか」


 そうして残りの時間は、練兵場で怪我をした兵士達の治療をした。

 やがて、解放されたレストミリアが疲れ切った顔でやってきたが、アマリアを見た途端に元気を取り戻していた。本当に栄養補給でもしているのだろうか…。ちなみにそのレストミリアを見たアマリアはドン引きである。


 そして3人で教会に戻りながら、レストミリアに光属性の攻撃魔法について聞いた。


「うーん、そうだなぁ。基本的には回復魔法、浄化魔法、単純に相手の目をくらませるような光魔法が光属性らしい魔法だね。

 あとは日の光を集めたような攻撃魔法があるかな。光属性の攻撃魔法って浄化以外だと、火と似たものが多いんだよ。

 ただし身体強化で光属性を纏うと、風や雷を上回る速度で動けるし、魔法剣で光属性使うと浄化と燃焼を併せ持った剣になる。

 そういう戦いに関しては、護聖八騎の『閃剣(せんけん)』ヴォルグラント殿が有名だね」


「そうなんですね。勉強になります」


「私にはちょっと難しいかも…」


 そんなやり取りをしているうちに教会に着いた。レストミリアは相変わらず名残惜しそうにしているが、アマリアは挨拶を済ませると一直線に、モルド神父のところへ報告に向かった。

 寂しそうなレストミリアにちょっと同情しながらも、僕も挨拶をして教会に入った。

魔法剣や身体強化はある程度身に付いたのと、レストミリアの訓練がまだ1度しか行われていなかったこと、敵に真っ直ぐぶつかる以外の方法も身に付けるべきとの考えで、少しのあいだレストミリアの訓練が続くことになりました。


アマリアも懸命に努力し本人の資質も相まって、順調に成長しています。

レストミリアはようやくアマリアとの時間が戻ってきて、嬉しいご様子。


次回は少し街の外に行く予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] いよいよ大バトルが近づいていますが、その前のほのぼの回として凄く好きです。 特にレストミリアさんの残念さと、治療術士のファンクラブの話がもう! 当の本人にドン引きされても、愛を貫けるレスト…
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