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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

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第42話 魔石収集 その4 草原の主と攻略法

とうとう草原の主との戦いですがジグは多少、浮き足立ってます。

 近付いてくるグレートホーンにどう対処して良いのかわからず、僕はまず風の盾を張って考える時間を得ようとした。


「馬鹿者! あのサイズのモンスターはこちらに体重をかけるだけで、凄まじい攻撃力になる。いくら盾を張ってもこのまま突進されてしまえば、一気に魔力を使い切るはめになるぞ!

 あのように巨大なモンスターの攻撃は、基本的に耐えるのではなく全て回避するのだ!」


「は、はいっ!」


 横から飛んできたモルド神父の大声にビクッとしながら、僕は身体強化で素早く動いてグレートホーンの突進を避ける。


「どりゃあぁぁっ!」


 そしてガラ空きになった横っ腹に剣を突き刺そうとしたが、そのままではトライホーンの時にほとんど刺さらなかったのを思い出して、風の魔法剣に切り替えて思い切り突き刺した。


 魔法剣が外皮を貫きザクッと刺さった瞬間、グレートホーンの体中に生えている短いトゲが、傷口の周囲だけが弾けるように射出(しゃしゅつ)された。


「うわっ!…………あ、あれ?」


 危険だと思ったときにはもう遅く、数本のトゲが回避する間もなく僕に向かってきて、まともに受けるはずだった。

 しかしトゲが体に達するかと思われた瞬間に首飾りが青く光り、キンッと音がしてトゲを防いだ。


「た、助かった……のか?」


 僕は驚きながらも慌てて剣を引き抜き、グレートホーンから一気に距離をとった。

 角が飛ぶのだから、トゲが飛んでも不思議はないのに迂闊(うかつ)だった。カナレア様に貰った首飾りが無ければ、結構な怪我をしていただろう。


 ……トライホーンの時といい、今日は身の危険を多く感じる。気を引き締めなくては。


「姫のおかげで早速命拾いしたな。初めて対峙する相手には、まずは警戒しながら様子見が一番だ。

 相手の速さや攻撃のバリエーションを見極め、(すき)や弱点を見つけてから慎重に攻撃するようにしろ」


 そこまでの様子を見ていたラジクが、僕に助言をしながら風の刃を放ち、グレートホーンの外皮を切り裂いた。


 するとその切り口の周囲からはまたもやトゲが放たれたが、今回は距離があるので回避は容易(たやす)い。

 遠距離攻撃で傷を負わせれば、トゲは大して怖くないようだ。


 僕は剣を構えて魔力を多めに注ぎ、それを振り抜いて風の刃を飛ばすと、今度は弾かれることなくラジクのと同じように外皮を切り裂いた。

 モルド神父も他の方向から小さな溶岩球を放っては、グレートホーンの外皮を削っていく。


 そうして三人で何度かずつ、魔法を叩き込んだ頃だった。

 グレートホーンが耳をつんざくような声で叫び、灰色がかっていた全身の色が茶色に変わっていった。

 それに(ともな)って外皮に生えていたトゲが短くなっていき、(つい)には無くなってしまった。

 しかし、その代わりのように()がされていた部分の外皮が元に戻り、全身の傷口を塞いだ。


「あれってもしかしなくても攻撃的な部分を削って、その分を防御に回したってことですかね?

 というか、まだ硬くなるんですかアイツは……」


「まぁ、そういうことだな。それにあの色は多分、土属性を(まと)っている。

 俺たちで言うところの属性身体強化ってやつだ、気をつけろよ」


 僕がウンザリして尋ねると、ラジクがグレートホーンの変化について教えてくれた。


「師匠、気をつけるも何も僕には全てが初めてですからね。気をつけるを通り越して、そろそろ緊張のし過ぎで漏らしそうですよ」


「ふむ……では実際に漏らしたなら、教会に戻ったあとにでもアマリアに頼んで、お前用のオムツを用意してもらわねばならなくなるな?」


「モルド神父!? それはさすがに恥ずかしいですし、アマリアのからかいに耐えられそうにないので頑張ります……」


 現状確認にはキッチリ答えてくれたがアドバイスはくれない師匠と、弱音を許さず僕が絶対に嫌がるであろうことを提案して、奮起(ふんき)させるモルド神父であった。


「くっそぉ……こうなったらやってやる!

『ウインド・カッター!』」


 そうして戦う決意を新たにした僕は、剣へと更に魔力を注ぎ込んで風の刃を放つ。

 するとそれはグレートホーンの茶色に変化した外皮に、ズバァンッ!と大きな音を立てて直撃したが、外皮は表面が少し欠けただけで攻撃はまともに通らなかった。


「嘘でしょ……」


 あんなに硬いんじゃ、あれを削りきる前にこっちの魔力が尽きる。本当にどうしよう……。


 グレートホーンに近付こうにも体のトゲが無くなった分、トゲのついた長い尻尾を振り回して、僕らの接近を(はば)んでいる。

 まずは柔軟に動いてる反面、その柔らかそうな尻尾を切断してしまわなければ、何をするにも邪魔だ。


「神父、師匠! まずは邪魔な尻尾を切り落としてから攻略します。奴の注意を引いて足止めしてください!」


「「了解した!」」


 戦闘好きの二人ではあるが、グレートホーンとの戦いに入ってからは、なんだか積極性に欠ける気がしていた。

 そしてお前が狩れと、自分たちは補佐すると言ってくれたので、こういう風に頼めば動いてくれるかなと思ったが、やはり予想した通りだったようだ。


 僕が自分で判断し、それを実践するためにどうしたら良いかを考えて、二人に指示を出せば良いのだ。

 あくまでも自分たちは補佐として動き、ダメージを与える役目については魔力や体力が続く限り、僕にやらせたいらしい。


 二人が注意を引いているあいだに僕は、風の魔法剣を構えて魔力を溜め込んでいく。

 外すのは論外として、攻撃を当てたとしても切断に失敗すれば、警戒されて次の機会は無いかもしれない。必ず一度で決めなくては。


「顔に少し強いのを当てて、足を止めてください!」


 そう叫ぶと僕はバチバチと音を立て始めた剣を構え、二人がグレートホーンの顔面に魔法を当てて(ひる)ませた隙に、一気に剣を振り抜いた。


『ミル・ウインド・カッター!』


 放たれた風の刃は真っ直ぐに尻尾へと向かい、カッ!と音を立てて尻尾の真ん中辺りに命中し、これを見事に切断した。

 すると尻尾を切断された痛みでこちらを振り返ったグレートホーンは、怒り狂って僕に標的を定め突進してきた。


「くっ!」


 あちらも身体強化をしているせいか動きが先程より速い。

 自分も身体強化を強め、辛うじて横に飛んで避けたが、回避した僕の方に顔を向けたグレートホーンは、その長い角をこちらに飛ばしてきた。

 まだ空中にいた僕には回避することが出来ない。

 どうにか剣の腹で受けたが、角の勢いによってそのまま吹き飛ばされた。


「ぐっ! うぅぅ……」


 そして地面に叩きつけられゴロゴロと転がった。草の深いところに落下したお陰で多少はマシだったが、それでも体中が痛む。

 首飾りが青く光って回復し始めたが、すぐには動けそうになかった。


 グレートホーンは角を飛ばしたあとはグルッと回り込み、そのまま倒れている僕を踏み潰そうと向かってきたが、モルド神父に阻まれていた。

 倒れたまま溶岩球が次々に放たれるのを見ていると、師匠が僕の所に駆け寄ってきて、怪我の状態を確かめる。


「本当に姫様には感謝だな……。俺もモルド殿も回復魔法を使えないから助かる。

 じきに動けるようになるとは思うが、とりあえずこれも飲んでおけ」


「す、すみません」


 心配そうな顔でラジクが回復薬をくれたので、僕はそれを受け取るとありがたく飲み干した。


「師匠、グレートホーンは外皮の再生や角を飛ばしたことで魔力は落ちているでしょう?

 ここから更にもう一度、角を再生させて魔力を減らしてから一気に勝負をつけたいと思います。

 ですが、それには奴の首元の外皮を()がさなくてはなりません。

 少し欠けさせる程度で良いので、お二人のどちらかにお願いします。そうすれば残った魔力を使って倒して見せます」


「ほう……。考えがあるのならもちろん協力しよう。

 モルド殿には話しておくから、回復して準備が整ったら合図しろ。

 それまでは奴の鼻っ面に攻撃を浴びせて、角を再生させておく。合図を確認したら、俺が首元の外皮を剥がしてやろう」


 そうしてラジクはモルド神父と合流し、計画を説明しつつグレートホーンの足止めをする。


 やがて僕は回復すると、魔力を手の平に集めて小さな竜巻を作った。教会でシャドウバードを倒した時にも使った風のドリルだ。

 更に魔力を注ぎ込み激しく渦を巻く竜巻を、小さく小さく圧縮していく。

 そうして手のひらサイズの竜巻が完成し、僕は二人に合図を送った。


「神父! 師匠! ……いっくぞぉぉぉっっ!」


 二人は僕が頼んだ通りに角を再生させていた。

 グレートホーンは魔力がこれ以上減るのを嫌がって、なかなか再生させなかったのだろう。


 顔面の至るところに溶岩球を受けたと思われる焦げ痕や、風の刃によってできたらしい切り傷があった。

 しつこく顔を攻撃されたので、仕方なく角を再生させ、以降は放たれる魔法を角で払ったり防いだりしていたようだ。


 合図を聞いた二人は、ラジクがすかさずジャンプしてグレートホーンの死角となる後頭部に剣を突き立て外皮を剥がす。

 同時にモルド神父が溶岩の壁でグレートホーンをガッチリと囲み、身動きがとれないようにした。


 剣を突き立てただけで致命傷になるなら楽なんだけど、大きすぎるからいくら刺しても骨や内臓には届かず、肉しか貫けないんだよね……。


「喰らえぇぇっ!『ウインド・ドリル!』」


 後頭部からラジクが飛び退()くのを確認し、僕はラジクの穿(うが)った後頭部の穴へと、極小の竜巻を投げつけた。

 ブワッと風が巻き起こり、細い竜巻は後頭部の穴を更に穿っていく。

 グレートホーンは暴れ回って竜巻から逃れようとするが、いまだ魔力を注ぎ込まれているモルド神父の溶岩壁は、それを許さない。


 血飛沫(ちしぶき)が舞い、辺りに断末魔(だんまつま)が響くと、竜巻はとうとうグレートホーンの首を落として地面にまで達し、やがて消えた。

ジグが訓練を始めてから相手をしたモンスターとしては、今までで一番苦労しました。大苦戦です。


今回、カナレア様の首飾りは何気に大活躍。


そろそろ回復魔法を教えたい&知りたいと思う3人の師弟ですが、あいにく教えてくれそうな近しい人はいません。

まだしばらくは、ラジクの自腹回復薬が活躍するのでしょうか…。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔石収集の話では次のアマリアの秘密の話も好きですがジグ君が、考えて工夫して戦って勝利を手にするこの話が一番気に入っています。 魔力が多くあっても、それを使いこなすには戦闘経験値が必要だと思…
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