第41話 魔石収集 その3 スウサの大草原と三本の角
スウサの大草原に到着した3人。
まずは拠点作りをしてから、狩りに行きます。
相変わらず内容やサブタイトルなど、細々と修正しております。
内容の大幅な修正をした場合は、前書きや後書きで修正箇所をお知らせしようと思っておりますが、それ以外の細かい部分の修正に関しましては、ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
結界とテントを張り荷物を降ろして昼食を摂った後、僕たちは狩りを始めた。
あまり弱いモンスターだと魔石自体を持っていないので、イスフォレの森でいつも狩っているモンスターより、今日は強いものを相手にしなくてはならない。
スウサの大草原には草食だけど気性が荒く、この辺りでは割と戦闘力の高い、トライホーンというモンスターが数多くいた。
トライホーンは外皮が硬く防御に優れ、三本の角が生えた巨大なサイのようなモンスターだった。
その巨体で突進を繰り返して敵を踏み潰したり突き殺し、魔力があれば生え換わるため角を発射することもあるそうだ。
今日は数を多く狩らなくてはならないので、長期戦を考えて魔力は温存するように、そして素材のためには角のある状態で倒すようにと言われた。
なかなか大変そうである。
『ウインド・カッター!』
僕は突進してくるトライホーンに風の刃を放つが、硬い角や外皮には魔法が通らなかった。
「なら、こうだっ! ……くぅぅ、痛ぁ……」
横から体に剣を突き立てもしたが、剣先は数ミリ刺さる程度だった。
うーん、トライホーン硬すぎ!
どうしたら良いのかと考えつつ神父とラジクの方を見ると、二人はあっさりと倒していた。
モルド神父は突進をギリギリで避けて、トライホーンのガラ空きになった体に横から身体強化で左拳を叩き込み……いや、もう突き刺さってる。
あれは爆拳で外皮を砕いて、そのまま心臓を破壊しているのだろうか? 僕には到底、真似できそうにない。
ラジクも同じく突進を回避して、側面から剣で心臓を一突きにしているようだ。
二人とも、よくあの硬い外皮を破壊できるものだ。
凄いのはわかるんだけど、弟子の手本になるような戦いを見せてはくれないのかな。
それとも、そこも自分の工夫で何とかしろってことなのだろうか。
あんな全身鎧みたいなモンスター、一体どうしたら倒せるんだろう?
池や湖があるなら誘い込んで溺れさせるのも良さそうだけど、全身鎧の人間じゃあるまいし、モンスターだと普通に脱出しそうだしなぁ……。
というかそもそも、この辺には大きな水場が無いや。
時間をかけず倒すのなら致命傷を与えるために、やっぱり心臓や頭部に攻撃を叩き込まないといけない。
うーん、全身鎧の敵を倒す方法かぁ。
あっ! レイピアみたいな刺突武器でモンスターの目を狙うのはアリかもしれない。
レイピアは無いけど魔法剣なら、目に刺さってしまえば後は深く突き刺すのは難しくないと思う。
僕は魔法剣を構えて、突進してくるトライホーンの目を狙って剣を突き刺そうとしたが、顔を攻撃されるのを察知したトライホーンは角を飛ばしてきた。
「!!」
危うく角が突き刺さりそうになるのを、咄嗟に地面を蹴り全身を捻ってどうにか避けた。
「い、今のはマジで危なかった……」
冷や汗でビッショリになりながら、僕はトライホーンと一旦距離を取った。
どうも前世で読んだ恐竜図鑑に載っていた、トリケラトプスのイメージが拭えないから、角が飛んでくると聞いて知ってはいても警戒が緩んでしまう。
どちらにしても角は危ないから二人と同じように回避して、相手の死角から攻撃して倒す方が良さそうだ。
でもあの二人のように外皮は突破できない。
いや、突破自体は恐らく可能だけど、魔力消費が増えて後が続かなくなる。目以外の弱点を突かなきゃ。
そうしてトライホーンの攻撃を回避しながら体を観察していると、外皮の継ぎ目を攻撃することを思いついた。
そうだよ! ある程度自由に体を動かすのなら、いくら硬い外皮を持っていても関節部分には柔らかい所がないと動けないじゃん。
自分、気づくの遅っ!
そこに気づけばあとは割と簡単だった。
トライホーンの突進をジャンプして避け、そのまま首元の継ぎ目に深々と風の魔法剣を突き立てて倒すことに成功した。
これなら短時間の身体強化と魔法剣の使用で倒せるので、燃費も良さそうだ。
それから三頭ほど倒した頃、神父とラジクが休憩にしようとこちらに向かってきた。
二人はまだまだ狩り続けられると思うけど、恐らく僕への配慮なのだろう。ありがたく休ませてもらうことにした。
「何も教えられずに一人で倒したのか? 凄いじゃないかっ」
「うむ。自分で考え工夫し、それを実践して倒したのだ。ずいぶん成長したな」
ラジクは背中をバシバシ叩きながら、モルド神父はウンウンと頷きながら、僕の狩りの成果を褒めてくれた。
休憩を終えた僕らは一旦、狩ったモンスターの素材や魔石を荷馬車に積み、傷まないうちに肉をとり分け下拵えして、今夜の食糧を確保してから狩りを再開した。
しばらく狩っていると南の山の方角から、色んな種類のモンスターがこちらに向かってきた。
異変を感じたらしいモルド神父とラジクは僕のところにやって来て警戒するが、モンスターは僕らには目もくれず、そのまま通り過ぎて行く。
「一体どうしたんでしょうね? 必死というか、何かから逃げているような感じですけど」
「山の方で何かあったのかもしれん。警戒を怠るな」
「……んん? モルド殿、あれはもしやグレートホーンでは?」
そう言ってラジクが嬉しそうに指差した方向には、他のモンスターを蹴散らしながらこちらに向かってくる、巨大なモンスターの姿が見えた。
その見た目は、ただでさえ大きなトライホーンを更に成長させたようなモンスターだが、色々と違う点もある。
硬くても比較的平坦だった外皮にはトゲがびっしりと生え、頭には三本の角を捻って束ねたような、螺旋状の長く大きな角が一本生えていた。
そしてトライホーンはピコピコと左右に揺れる、短いただの尻尾を持っていたが、グレートホーンの尻尾は長く先端はコブになっていて、そのコブからは外皮にあるよりも長いトゲが生えていた。
僕が今まで見てきたモンスターの中でも断トツに大きい。
嬉しそうにしているのを見れば、どの程度なのかは分からないけれど師匠好みの強いモンスターなのだろう。
「ふむ、こちらに向かって来るのなら倒さねばなるまい」
モルド神父も口元をニヤッとさせながら、やる気満々な様子だ。
二人がやる気満々なら僕の出番は無さそうだし、後学のためにもじっくり見物していようかと思ったが、二人には即刻却下された。
「俺たちが狩ってしまっては、お前の経験にならんではないか。少し惜しいが弟子の成長のためだ、ここはお前に譲ってやる」
「ラジク殿の言う通りだ。我々が補佐するので、あれはお前が倒すのだ」
今日、僕はペシャンコになって死ぬかもしれない。
迫り来るグレートホーンを見ながらそう思った。
楽しい旅行気分は移動中だけでした。
大草原では新たなモンスターに苦戦しながらも、自ら考え工夫し、どうにか倒せました。
そのまま順調にいくかと思いきや、何やら巨大なモンスターが接近。
自分の手には負えなさそうだし、やる気のありそうな2人の人外にここは任せようとしたところ却下され、迫り来る巨体にジグは涙目です。




