第1話 はじまり
初めて書きます。手探りで不慣れで拙いですが、自分の中に湧いてきた物を何かしらの形で残したいと思い、挑戦してみることにいたしました。
どうか生温かい目と心でご覧いただけたら幸いです。
僕は糸野紡、今年で30になる。アニメや漫画好きで、高卒の独身。彼女はいない歴=年齢だから勿論いない。
今更自分のことを好きになるような人もいないだろうし、過去に好きだった子に陰で馬鹿にされていたのもあって、ちょっとした女性不信だ。
仕事は工場作業員で、今週も眠たい夜勤をどうにか耐えきって車に乗り込み、眠気に抗って準備から後片付けまでするのは億劫なので、食事はコンビニで買って帰ろうかなどと思いながら車を走らせる。
今月はトラブルがあり納期が大変で残業も多く、疲れが溜まったせいか特に眠い。ウトウトしながらコンビニに向かっていた……はずだった。
何かがぶつかったような衝撃と音、直後にいきなりの浮遊感、そしてまた衝撃。覚えているのはそこまでだった。
どうやら橋を走行中に居眠り運転をして、そのまま柵を突き破って数十メートル下の浅い川に落下して死んだらしい。
らしいと言うのは大破した自分の車と、車内で死んでいる自分の姿を数メートル上から見下ろしていて確認できたからだ。結構グロいことになっている。モザイク必須。
幽霊やオカルトは有ったら面白いかもという程度にしか思っていなかったけれど、まさか自分が実際に体験をするとは思ってもみなかった。
眠っていたせいで恐怖もなく、即死して痛みも感じなかったせいか、マジかとは思うものの死んだという実感があまり無い。
「まぁ単独事故で、他人を巻き込まなかったのがせめてもの救いかなぁ……」
腕を組みこれからどうしたものか、死神でも迎えに来るのか、それとも神々しい光と天使に導かれて天に昇っていくのか、はたまた地縛霊にでもなるのかなどと目を瞑って考えていた。
すると今まで聞こえていた周囲の音が、突然聞こえなくなった。
「あら、いらっしゃい」
「えっ?」
目を開けると目の前が先ほどより明るく、十メートル四方くらいの広さの白い床に立っていた。
壁は無く周りは見渡す限りどこまでも青空が広がっていて、驚いてキョロキョロしながら声の主を探すと後方に、椅子に座り机の上で何やら書き物をしている女性がいた。
書き物が一段落したのか、手を止めてこちらを見る。腰くらいまである桜色の髪でメガネをかけているからか知的に見え、それでいて柔和そうな眼差しをこちらに向けた美人がいた。
「あの、ここはどこで貴女はどなたでしょうか? 自分が死んだっぽいところまでは、どうにか理解しているのですが……」
「私はルミアと申します。導きの神として、ここであなたの世界でお亡くなりになった方を次の世界へと、ご案内する仕事をしています」
こんな話を聞けば初めは疑うべきなのだろうけれど、死んでからもこうして意識が有ることや、現実的ではない空間にいるせいか信じる気になれた。
「ええと、ちなみにどんな世界に行けるのでしょうか。あまり危険な世界では結局、またすぐ死ぬことになると思うのですが」
質問するとルミアさん……いや、神様なのだからルミア様か。彼女は机の上の書類をパラパラとめくりながら、
「そうですねぇ……。よくゲームにあるような剣と魔法の世界や、今まで貴方がいたような科学文明の世界、魔王軍と人間が日々争っている荒廃した世界や、勇者によって魔王は倒されて平和になっている世界、人間も魔王もおらず野生動物しかいないような自然豊かな世界など様々ですね。
あっ、でも色々と事情がありまして、貴方に行ってもらう世界はこちらで決めてあります」
……あ、選ぶ権利は無いらしい。
「ここしばらく転生ブームでしょう? 皆さんの希望を聞いていたら、やはりチート能力を持って魔王を倒しに行くとか現代の知識で無双する! みたいな要望が多くて随分と偏ってしまって。
ですから最近はこちらで、予め決めるようになりまして~」
ルミア様は頬に手を当てながら申し訳なさそうに笑う。
それを聞いて、自分より先の方々は行き先が選べたらしいことを少し残念に思いながら、それでも一度死んだ後に、またこのようなチャンスがあるとは思っていなかったのでダメで元々だ、この話に乗ろうと思う。
「あぁ、安心してください。あちらでも言葉は今まで通り通じます。それに……例えばですがサンドウィッチやジャガイモなどの問題についても、それそのものは同じですが前者は土魔法のスペシャリストにして砂の魔女の名で知られ、料理研究でも大きな成果を残した女性が名前の由来ですし、後者はジャガポンという土地名産の芋が各地に広まってそう呼ばれていますから、よく見かけるような指摘を受ける心配もございません。
他にはハンバーグもホンバルグという料理人の名前が由来ですし、四面楚歌や杞憂みたいな故事成語についても翻訳の際に変換されて……」
「い、いえ、別にそこは心配してないですし、あまり触れない方が良い気もするんですけど……」
僕が考え込んでいるとルミア様にはそれが心細そうに見えたのか、大丈夫ですよと言って的外れなフォローをする。話の内容については分かるけれど、それは人それぞれ、神それぞれの考え方で良いと思う。
「と、とりあえず折角の機会ですから、異世界にはありがたく行かせてもらおうかと思います。でも一応、他にもいくつか聞きたいことがあるのですが……質問しても良いですか?」
「えぇ、どうぞ」
「まず、生まれ変わり先がどのような世界なのかということと、自分はどのような扱いになるのでしょう?
記憶も無く別人として生まれ変わるのか、意識はそのままに生まれ直すのか、この姿や中身のままになるのか気になります。あとは今と同じ一般人なのか身分が変わるのか、特殊な能力などは持てるのかとか」
とりあえず思いついた事を聞いてみた。
するとルミア様は手元の資料を見ながら答えた。
「行き先はモンスターや神、精霊や魔族などは普通に存在するような世界ですが、魔王は勇者によって既に倒されていて今はいません。
モンスターと戦うために魔法が存在しますが、現代の地球のような火器は今のところありませんね。
転生なので赤子からの生まれ変わりになりますが、貴方の記憶は消すことも、今のままでいることも出来ますよ。そこはサービスで選べます」
行き先の説明をしてくれたルミア様は、微笑みながら自信ありげに親指をグッと立てて微笑む。お姉さん系の知的美人かと思いきや、意外とお茶目なようだ。
「それと能力や身分については基本的に一般人ですが、モンスターと戦ったり訓練することで成長はします。
一般人でも魔力を持つ世界なので、どの程度になるかは努力や才能次第ですね」
なるほど。思っていたより酷いところではないかもしれない。なんなら割と王道なのではなかろうか。
少なくとも今までと同じような世界でやり直すよりは心躍るし、野生動物しかいない世界に行って一人で開拓しろとか、勇者になって魔王を倒してくれと言われるよりは、よほど気が楽だ。
「わかりました。ではその世界で記憶はそのままでお願いします。完全に別人だと生まれ変わりの実感も無いし、この自分が消えるようでちょっと怖いので」
僕は希望を述べ、頭を掻きながら曖昧に笑う。
すると白い床が光り、目の前に魔法陣が浮かび上がった。
「はい、ではそちらの中に入ってください。お送りします」
そう言いながら椅子から立ち上がると、ルミア様は魔法陣のそばに立ち両手を挙げた。
それを見た僕は、本当に神様なんだなぁと思いながらその中に入る。
「では、貴方の新しい人生に幸多からんことを」
ルミア様がそう言うと魔法陣が更に輝きを増したが、その時ふと思いついた。
もし次の世界でも死んだらどうなるのだろう? 向こうで神様に質問するなんて機会はないかもしれない。なら出来れば今のうちに知っておきたい。
「あ、ルミア様。そういえば……」と僕が言うのと、
ルミア様が「では、いってらっしゃい」と言うのは少し自分が早いながらもほぼ同時で、待ってほしいと思い焦ってルミア様に手を伸ばし、僕の指先が彼女に触れた瞬間、目の前が真っ白な光に包まれた。
どの程度の長さで良いのかもよく分からないので、まずはこれくらいから…。
想像してたよりも楽しいですが、不慣れなせいか疲れます(笑)
しばらくは思いつくままに書いてみて、そのうち色々と直したり調整していきたいです。
2022年2月1日追記↓
本日より各話に「いいね」機能が実装されました。もし読み終えた後に拙作を面白いとか、続きを期待してるなど好意的に捉えていただけましたら、そのままスクロールして画面下部の「いいね」ボタンを押していただけたらと思います。
それと2022年に入ってから感想や評価を停止しております。途中の前書きや後書きでお願いしているところもありますが、現在は部の区切りがついた時や稀に思い出したように一定期間だけ開放しておりますので、ご理解とご協力をお願いいたします<(_ _)>
(そしてもしも開放しているのに遭遇したら、モチベーション維持のためにも高評価をお願いいたしますw(*´∇`人))




