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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第2部 海の国編 (初任務・火焔馬・海の民・ハイワーシズ)

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第278話 海の国 その3 招待状

 大臣への襲撃があってから二日ほどが経った。


 その間にもハイワーシズ主導で犯人の尋問や、得られた情報を元に黒幕の捜査が進んでいて、僕たちは引き続き交代で大臣の護衛任務に従事(じゅうじ)していた。


「ケルガー様が尋問やその後の捜索の方にも参加してるから、クロエさんや先生は負担が増えて大変ですね」


「たしかにそうだけど、アルテミア様が不在の間もケルガー殿とずっと二交代でやってたし、海の上で船酔い患者を診ていた時よりはまだマシよ。

 それに今はあなた達もいるもの、随分と楽になったわ」


 僕が話しかけると一緒に護衛についているクロエは言葉通り、伸びをしながらリラックスした様子で答える。


 ちなみに今は大臣の食事中で僕らは部屋の外、中にはイリトゥエルとルミアが付いている。

 自分が食べられないのに他人の食事を見ながらの護衛は、ルミアにはさぞかし厳しい試練となっていることだろう。


「それにしてもようやくここまで来たのに、まさか会議が延長になるとは思いませんでした」


「今回の目的は両国の同盟だから、友好にヒビが入るような事はしっかりと調べて解決しないと、やっぱり話が纏まらないんじゃないかしら。

 まぁ、要望や条件なんかは互いに伝えてあるし、それを双方で吟味するのもある程度は済んでいるはずだから、後は行き違いが無いかの確認と同意のための話し合いが残ってるだけね」


「そうなんですか。じゃあそちらは案外早く終わりそうですね」


 そんな風に僕とクロエが話していると、廊下の向こうからメイド姿の人がやって来た。


「失礼いたします。こちらにジグ様はおられますか?」


「……えっ、僕?」


「えぇ。この子がそうですが、何かご用でしょうか?」


 突然の事に僕が驚いていると、クロエが丁寧な対応で代わりに用件を聞いてくれた。流石は治癒術士団の副長である。


「はい、私は第三王女であるカナレア様の使いで参りました。

 姫様は明日、ジグ様と昼食を共にしたいとの(おお)せでございます」


「……だ、だいさんおうじょ!?」


 メイドさんの言葉に驚愕したクロエは、先ほどまでの余裕な態度はどこへ行ったのか。僕と彼女を交互に見ながら狼狽(うろた)えている。


「あ、あの。僕は一介の冒険者ですし、今はウィルヘルム大臣の護衛としてここにいます。

 ですから大臣か依頼主の許可がなければ、そのお誘いを受けることは出来な……」


「だ、大丈夫ですっ! こちらはお誘いを大変喜ばしく思っておりますので、王女様には必ずお伺いしますとお伝えください!」


 僕が真面目に話していると、クロエがその口をガッチリ塞いで代わりに答えた。

 メイドさんはそれを聞くと改めて招待状を渡し、一礼して来た道を戻っていった。


「むぐぐ……」


「はぁ……はぁ……こ、こうしちゃいられない!」


 僕を解放したクロエは慌てた様子で部屋に入ると、少ししてから大臣の素っ頓狂な声が聞こえてきた。


「ほぁっ!? どど、どうしてカナレア様が冒険者などに興味を……」


「大臣、招待状には他の二人も共にと書いてありますっ」


「い、意味がわからん……ただちにアルテミア殿を呼べ!」


「は、はいぃっ!」


 部屋から転がるように出てきたクロエは慌てて走っていくと、しばらくして夜勤明けで少し眠そうなアルテミアがやって来た。


「どれどれ、ええと……あ-、まぁ予想はしてたから仕方ないわね。それにしても三人をご招待とは……ふふふっ」


 アルテミアは招待状を読みながら微笑むと、その場にいた僕とイリトゥエルとルミアを見る。


「明日はお昼を王女様とご一緒するのが、あなた方の仕事になるわね。招待の理由はわかるかしら?」


「カナレア様って事はもしかして、誘拐の件ですかね?」


 アルテミアの質問を聞いて僕が答えると、隣には両眼が「食」の字になっているルミアと、何やら青ざめているイリトゥエルがいた。


「えぇ、その時のお礼を改めてしたいらしいわ。

 あなたが冒険者になっているのも耳に入ってるみたいね。そこの二人も一緒に、服装もマナーも気にせず来るようにとの仰せよ」


 アルテミアはそう言いながら僕に招待状を見せる。

 するとそこには確かに、社交辞令ではなく気を遣わなくて良いというのと、僕の他にイリトゥエルとルミアを名指しで招待する旨が書かれていた。


「絶対ややこしいことになるし、私としてはこういう事があるなら、正装を用意してない冒険者を会わせるなど姫君に対して無礼です、と言って断るつもりだったけど……王女様の方が一枚上手だったわね」


「は、はあ……」


 やれやれといった表情でアルテミアはそう言うと、大臣の方を見る。


「そういうことですから彼らは明日、カナレア様の元へと向かわせます」


「し、しかしアルテミア殿……」


「大臣の懸念は分かります。しかし今ハイワーシズ王族の誘いを断れば、それこそ厄介なことになりかねません。

 ですが何か無礼があってはいけませんから、その辺りは礼儀に通じているイリトゥエル様にお願いし……イリトゥエル様、大丈夫ですか?」


「は、はいっ! お任せください……」


 大臣は完全に浮き足立っていたが、アルテミアの意見を聞くと頷いて納得した。

 一方で話を振られたイリトゥエルは何やら考え込んでいて、その表情はだいぶ険しかったが、アルテミアの言葉に気づくと慌てて思考を切り替えているようだった。


「では引き続き護衛をお願いね。

 ……それとクロエとジグは護衛どころじゃなくなっている、そこの二人にそれぞれ付いた方が良さそうね」


 苦笑いしながら言うアルテミアの視線の先には、明日の食事に思いを()せているルミアと、切り替えた思考がまた逆戻りしているイリトゥエルがいた。


「「……はい」」


 それを見た僕とクロエは頷くと、心ここにあらずな二人を連れて、それぞれ部屋の中と外の守りについた。

刺客を送り込んだ犯人はまだ捜索中。

延期になった外交会議ですが、事務レベルのやり取りは継続中。


貴族でもある大臣は毎晩のように、ハイワーシズの貴族との晩餐会があるのでアルテミアが夜勤。

3人はクロエと共に昼間の護衛をしてましたが、ここでジグの到着を知ったカナレアからのお誘いが。


王族との食事に胸躍らせているのはルミアだけで、ジグは慣れない場に不安を抱き、イリトゥエルはジグの首飾りを贈った人物との急な対面に、内心ではかなり動揺しています。


そんなわけで次回は、かなり久し振りにカナレアが登場予定です。これだけ間隔をおいて登場する人物は作中でも初めてですので、書き方に気をつけねばなりませんね( ̄▽ ̄;)

(誘拐の辺りを読み返してから書こ……)

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつか登場するだろうなぁと思っていた姫君がここで登場ですね。 とても懐かしい方ですねぇ。 でも彼女の贈った首飾りは本当にずっと彼らの冒険を支えていたのである意味ずっとそばにいた存在なのかも…
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