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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第2部 海の国編 (初任務・火焔馬・海の民・ハイワーシズ)

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★第272話 ハイワーシズへ その3 弓術訓練と立ちはだかるもの

そういえば先日、PV総70万、ユニーク7万、ブックマークが700件を突破しておりました。

皆様、本当にありがとうございます!

今後も拙作にお付き合いいただけますよう頑張りますので、宜しくお願いいたします!<(_ _)>


2024年3月6日追記↓


2024年3月より、作品にいただいたファンアートの中でも、ご本人様からご許可をいただけたものを作品冒頭や本編に順次載せております。

今回は弓術訓練ということで、しー様(TwitterID=@sii_ponzu)より、イリトゥエルのイラストを載せさせていただきました。本当にありがとうございます!

 グランドセイルを出発して三日目。

 ハイワーシズへの道のりも半ばを過ぎていたが、まだ目的地は見えない。


 今日は新たに水属性を得たルミアが、同じ属性を持つアルテミアやプロディサウラから水魔法や、体術と水属性の合わせ方を学んでいるので手合わせは無しだ。


 僕はイリトゥエルに頼んで氷の(まと)を作ってもらい、進み続ける船の上から遠くにあるそれを狙って、二人で弓の練習をしていた。


挿絵(By みてみん)


「ジグは弓も本当に上手ですね、我々エルフと比べても遜色ないほどです。何かコツがあるのですか?」


 エルフの弓から放たれた魔力の矢が、氷の的を砕いたのを見て感心したイリトゥエルが言う。


「エルフと比べるのは流石に褒めすぎだよ。

 ん~、でもコツかぁ。基礎は先生に教わったけど、その前からやってるのはロックオン……じゃなかった。

 ええと、的に向かって矢が飛んでいくというか、吸い込まれるようにというか、狙った場所と(やじり)の先端が繋がっているイメージで打ってるよ。

 それをやると多少ズレても軌道を修正して、狙ったところに飛んでいってくれるんだ。もちろん普通の弓矢ならまだまだ下手だし、魔力の矢じゃないと無理だけどね」


 そう言って僕は用意してあった普通の弓矢を手に取ると、的を狙って撃つが、船も的も波に揺られて風もある今、そうそう簡単には当たらない。


「弓矢と風属性は相性が良いですから、ジグは無意識に風を使って調整しているのかも知れませんね。

 でもそうなると普通の矢にも風の魔力を、少し付与してやれば良いのでは?」


「おぉ、それもそうか」


 僕は弓を構えて言われた通りに放つと、今度は普通の弓と矢でも的に当たった。


「流石に貫通したり砕くのは無理だね。でも精度も威力もエルフの弓と魔力の矢には及ばないけど、消耗も抑えられるし単純に狩りをしたり普段使いにはこっちで充分かも。

  ありがとう。イリトゥエルのお陰でまた少しやれることが増えそうだよ」


「ふふっ、どういたしまして。お役に立てたなら良かったです」


 僕たちはそんな話をし、たまにルミアたちの方から響いてくる「おぉ~!」という歓声を聞きながら弓の練習を続けていると、見張りの兵士達がざわめき始めた。


「どうしたのかな?」


「ジグ、あれを……」


 イリトゥエルが指差したのは船の針路の先、ハイワーシズの艦隊の前線から上がっている赤三本の狼煙(のろし)だった。

 するとそれを確認した他の騎士たちも動き出し、海の民の移住者を乗せた他の船が進むのをやめ、遠くから銅鑼(どら)の鳴る音が聞こえてくる。


「恐らく大型モンスターの襲撃だ! 各員、戦闘配置について指示を待て!」


 ケオカマールが指揮を執り始めると、アルテミアとプロディサウラが彼の元に行き何やら話した後、プロディサウラは移住者の元へ移動を始め、アルテミアは僕たちを集めて指示を出す。


「私たちも助勢するわ。プロディサウラ殿は移住者たちの守りについたけれど、彼だけでは手が足りないからイリトゥエル様とルミアはそちらの守りに、ジグは私と一緒に前線に出るわよ」


「はいっ!」


「「……わかりました」」


 一瞬不満そうな表情を浮かべた二人だったが、確かに何かあればプロディサウラだけでは手が足りず、また回復や支援も出来る者が必要なのも理解できたようで、頷くとすぐに彼の後を追い掛けた。


「あなた達には少し、意地悪な指示だったかしら?」


「いえ、二人とも指示の意図は理解しているはずですし、僕たちは冒険者ですから依頼人に言われたら出来ることをやるだけです。

 それにクリムゼリスにも頼まれてますから、絶対に大丈夫でしょう。むしろあっちに出たならモンスターの方が可哀想ってもんです」


「ふふっ、それもそうね。じゃあ行くわよっ」


 僕はアルテミアと一緒に走り出すと、糸を伸ばし近くの船を経由しながら前線まで進んだ。

 するとそこにはたくさんの脚をウネウネさせている大きなモンスターがいて、既に数隻の船が大破していた。


「あれってイカ? それともタコかな? どちらにしても大っきいなぁ」


「あれはクラーケン……いえ、大きさからして更に上位種のギガントクラーケンね。たしか竜種や幻獣以外の海のモンスターでは、最大級のものよ」


 僕が索敵魔法も併用して、頭から脚の先まで30メートルはあろうかというモンスターを眺めていると、アルテミアが弓を引きながら説明してくれた。


嵐穿弓(らんせんきゅう)!』


 そして嵐の矢を放つと、ギガントクラーケンが味方の船に伸ばしていた脚を吹き飛ばす。


「ケオカマール殿から前線の指揮を任された、護聖八騎のアルテミアよ。被害の大きな船は今のうちに下がらせて、他はあれを遠巻きに囲んで攻撃させて」


「はっ!」


 近くにいたハイワーシズの騎士にそう告げると、アルテミアは更に矢を放ち、ギガントクラーケンが海面から出していた頭を射る。

 するとその矢はクラーケンの体を這い回る、大きな六角形の盾……ではなく、平たい体をした1メートルほどのモンスターに当たって弾かれた。


「あれがクラーケン種と共生関係にあるモンスターで、大きさからして恐らくアレも上位種ね。たしか名前はシルドシスーチェだったはずっ!」


 そう言いながらアルテミアが再び嵐の矢を放つと、シルドシスーチェというモンスターはそれを背負った殻で防ぐが、バキィッ!と音を立てて殻が砕けると、そそくさと姿をくらませた。


「今のをよく覚えておいて。シルドシスーチェの守りは堅くてクラーケンの胴体に攻撃を当てにくいけれど、奴らは殻が壊れると一旦姿を消して、殻を再生成したらまた戻ってくるわ。

 上位種だろうと下位種だろうと、クラーケンを仕留めるならシスーチェがいない間に倒すのが基本よ」


「わかりました」


 アルテミアが狩り方を教えてくれていると、周りの船から一斉に魔法が放たれる。

 それに対してギガントクラーケンは、たくさんの脚でそれを防ぐと、一度海に潜った。


「海のモンスターはコレがあるから厄介なのよね。

 と言うことでジグ。あなたの役目はアレを海面まで釣り上げて、味方の船に繋いで逃げられなくする事よ」


「へぇ~……っていやいや、流石に無理ですよ!」


「あらそう? でもジグはあのウルファルクも拘束したんだから、あの程度の相手ならきっと大丈夫よ。

 それにさっき自分でも『依頼人に言われたら、出来ることをやるだけです』って言ってたじゃない。

 頼りにしてるわよ、冒険者さん?」


 僕がクラーケンとアルテミアを交互に見ながら慌てていると、彼女は回復薬を数本取り出しながら言う。

 ……もしも時間が戻せるなら、余計なことを言おうとする自分を殴ってやりたいね!


「わかりました。やるだけやってみます……」


「よろしい。さぁ、コレを飲んだら仕事の時間よ」


 僕は渡された小瓶を受け取ると、それを次々に飲み干す。


「あっ、先生。一つお願いがあるんですけど」


「何かしら?」


 僕は口元を拭いながらそう言うと、アルテミアが聞き返す。


「釣り上げたらすぐに攻撃しないで、僕が合図するまで待ってください」


「ふぅん……まぁ、何か考えがあるなら良いわよ」


 僕の言葉を聞いたアルテミアは楽しげに微笑むと、快く承諾してくれた。


「よし、じゃあ……いきます!」


「えっ!? ち、ちょっと」


 僕はそう言って走り出すと、驚いているアルテミアを尻目に海へと飛び込んだ。

魔法の加減を少し意識し覚えたということで弓の方にも触れてみましたし、ルミアの方も新しい属性の使い方を勉強中。


そんな中、艦隊に立ちはだかる敵が出現。

こちらはイサプレアで大量に出現し、イリトゥエルが氷漬けにしたモンスターの上位種ですね。

本来はこれを海の民の置き土産としてイサプレアに出そうかと思ったのですが、色々あってここになりました。


というわけで次回は戦闘の模様です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり、仲間というものは良いものですね。 共に在り、互いの技を切磋琢磨し、時に相手の技の向上に対する助言をしてくれる。 まぁ、後はそれにより一歩進んだ「パートナー」になれればもっと良いので…
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