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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

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第18話 モルド神父の呼び出し その1 お説教と戦後の変化

ようやく動き回れるようになってからのお話。

 それから安静にして眠ること更に二日。目が覚めるとすっかり快復していて、ようやくベッドから出る許可が下りた。

 僕が食堂で朝食を摂っていると、そこにアマリアがやって来た。


 そういえば、周りの制止も聞かずに無茶をしようとしてたらしいなぁ……。これは神父の代わりにアマリアに釘を刺さないとかな? などと思っていたら、アマリアの方からズンズンと早足に僕の目の前までやって来た。


「やぁ、アマ……」


「ようやく目が覚めたのね! ジグったら私が止める間もなく無茶をして! 魔族を相手に突っ込んでいくなんて一体何を考えているの!? 自分がどれほど危険な事をしたのか分かっているの?」


 僕が軽くお説教でもと考え口を開くと、それを掻き消すようにアマリアは両手を腰にあてて仁王立ちになり、向こうから雷を落としてきた。

 あまりの剣幕に僕は思わずビクッと驚いて「うひぃっ」と声を漏らしながら目を瞑り、それからも続くアマリアのお説教をしばらくの間、黙って聞き続けるしかなかった。


 アマリアから見れば、僕の方がよほど無茶な事をしていたらしい。

 あの時はそうするしか無いと思って行動したが、子供が魔族に向かっていく光景を客観的に見たとしたら、それもそうだと納得するしかなかった。


「シスター・ヒルダからは一度目が覚めたとは聞いていたけど、それまで何日もずっと眠ってて、もう起きないかと思ったんだから……。もう体は大丈夫なのよね?」


 一通りのお説教を終えたアマリアはようやく落ち着いてきたのか、最後は気遣わしげに聞いてきた。


「うん、すっかり元通り。もう大丈夫だよ」


 僕が笑って答えると、アマリアはようやく安心したようだった。


「このあと私は神父様のところへお見舞いに行くのだけれど、ジグも一緒にどう?」


 もう体調も良いし、それなら仕事をしなきゃとは思っていたけど、もちろんモルド神父の事も気になっている。

 というか、正直気になって仕事が手につく気がしない。行っても良いのかヒルダに確認した方が良いかな?


「ジグ、あなたはアマリアと共に兵舎にいるモルド神父の所へ行きなさい。目が覚めたら話があると言われていますから」


 僕がどうすべきか考えていると、食堂にやって来たヒルダが教えてくれた。


 その後、僕はアマリアと一緒に支度をして街の兵舎へと向かうことにした。

 外に出ると驚いたことに、教会や孤児院の周囲には騎士が一人と兵士が数人、警備として配置されていた。

 その騎士は僕より早く回復したらしいラジクで、兵士の中にも戦いの際に負傷したラジクを支えて、孤児院に連れてきた人の顔が見える。


「ラジク様、兵士の皆様。先日の襲撃の際には我々を守っていただき、誠に感謝しております。お怪我はもうよろしいのですか?」


 僕はラジク達に近付いていき、アマリアと共にお礼を述べ質問する。


「おぉ、目が覚めたのか少年。安心しろ、もう治っている。お前も無事で何よりだ。しかし素晴らしい働きだったな……本当に助かったぞ。

 その気があるなら成人後は騎士団に来い。有望な若手は歓迎するぞ」


 元気そうで良かったとは思うけど、急に騎士団に来いと言われても困る。どうにか話を逸らさねば。


「僕には勿体ないお言葉です。ところで、皆さんは何故教会に?」


「今回のようにモルド殿が不在のあいだに、無防備にしておくわけにもいくまい。それに今後は守備の兵を置くことになったので志願した我々が、こうしてその任に就いているのだ」


「志願……?」


 ラジクが質問に答えると、僕の疑問が無意識に声に出た。


「うむ。昔から各地の集落や村に神からの恩恵を授け、収穫量の増加や守りの結界で領内に貢献し、今回の王都防衛の際にも率先して我々に協力を願い出てくれたというのに、こちらは教会や孤児院に対しての理解が浅かったという話だ。

 主に、こちらで戦ったり治療を受けた騎士や街の衛兵、東門で教会や孤児院の者の働きを見た者たちから声が上がってな。

 志願した者たち全員を置くわけにもいかんから、志願した騎士の中で最も早く復帰した俺がここの担当になり、他にも志願した兵の中から任務に向いてそうな者たちを選んで、今こうしているのだ」


 僕が寝ているうちに、そんなことになっていたのか。でも皆の働きが認められたのは嬉しいし、無防備なまま突然の襲撃に怯えずに済むのもありがたい。ここは素直に喜ぼう。


「皆様のお気持ちに教会の者も孤児院の子供たちも、深く感謝いたします」


 そう言って僕とアマリアは二人で頭を下げ、それからモルド神父の元に向かう。

 南門ではこの前の戦いの話が知れ渡っていたのか、お使いの時ほどチェックが厳しくないように思えた。

 疑われていたような雰囲気が無くなっているというか、警戒心を無くすのとはまた別な感じで、なんとなく受け入れられたように思えて僕は更に嬉しくなった。


 兵舎に到着すると、モルド神父のいる医務室へと案内された。

 部屋に入ると、神父はまだベッドから出られないらしく、少し大きめの枕を背にしてベッドの上に座っていた。


 そして彼の体には昔から子供たちにゲンコツを落とし、ルナメキラを圧倒し、僕を守ってくれた頼もしい右腕は既に無い。

 その痛々しい姿に、取り返しのつかないものを失ってしまった喪失感(そうしつかん)に襲われる。


「……来たか。まずは二人とも無事で何よりだ。

 それとジグ、アマリア、今日はそれぞれに話がある」


 モルド神父はこちらを真っ直ぐに見つめながら、そう言って話し始めた。

自分の事を棚に上げて注意しようとしたジグはその前に、ある意味ではルナメキラの(いかづち)より怖い、アマリアのカミナリが落ちました。


戦いの後、周囲の環境には変化がありました。

失ったものも得たものも有りますが、それらをどう活かしていくかは、これからの行動次第です。


ラジクは教会の護衛担当になるため、治癒術士にかなり無理を言って急がせたのは内緒です。


次回はモルド神父からの話。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ジグもモルド神父も無事で良かった! ルナメキラの雷より怖い、アマリアのカミナリ! 確かにある意味そうかも(笑) 次回はモルド神父からのお話ですか、これは楽しみだ!!
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