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新たな旅立ち1

 光が牽く(ひく)と私の体に大きな変化が見えた

 アルタイルも同じようで驚いた顔をしている

 この感じから察するに、私達の力は二人で一つ、二人の力を合わせることで特別な力へと変化するみたい

 その力はあの時感じた白い少女に十分対抗しうる。そんな力強さを感じたわ

 私は「ありがとう」とアルタイルに感謝して立ち上がった

 そして鏡を見てお互いに驚きあう

 今まで少し伸びただけで変化のなかった角が二人とも大きくなっていて、魔力の流れが変わってる

 それは周囲の魔力をも完全に支配でき、どんな魔法でも今ならノーモーションで簡単に繰り出せそう

 それにアルタイルは勇者のスキルが飛躍的に向上していたわ

 点、線、円だけだったそのスキルは立体、四次元、多次元と私じゃよくわからない力に変質していた

 立体はまだわかるけど、四次元と多次元って何なのかしら? 点と線と円が二次元だとしたら立体は三次元、その上が四次元と多次元ってことよね?

 理屈は分かってもその効果は全然分からなかった

 アルタイルの方はなんとなくだけどその力の使い方が分かってるみたいで、何やら手のひらにその力を展開してしきりにうなづいている

「よし、ねぇアスティラ、これで僕らはその偽勇者、いや、白い少女ってやつに勝てるんじゃないかな?」

「ええ、これなら。あの少女の力は異常だったけど、そうね、この力も多分異常ね。私の方はいろいろとスキルを失ったみたいだけど、それらが全部統合されて一つになったわ」

「スキルの統合? 魔王様も言ってたけどそんなのできるの?」

「できる、というよりできちゃったって言うのが正しいのかも。私の本来の固有スキルは死の王って言う死ねば死ぬほど色々なスキルを手に入れれるっていうスキルだったの。だけど、今はそのスキルすら消えてしまったわ。で、唯一あるこのスキルは、善」

「善? それだけ? 何か他に分かることは?」

「それが、説明にも正しきを成せとしか書かれていないわ。これって一体どういうことなのかしら?」

「まぁ使ってみれば分かるんじゃないかな?」

「それもそうね」

 何が起こるかわからないので私達は周囲に全く生命がいない不毛の土地である大砂漠にまで転移して、そこでこの力の試し打ちをしてみることにした

 そのまま力を展開したんだけど、全く何の反応もなかった

「おかしいわね。ちゃんと発動はしてるのに何も起きないわ」

「使い方が間違ってるのかな? 敵に向けて発動しないと効果が無いとか」

「そっか、それなら、あ、ちょうどあそこに巨大ワームがいるみたいね」

 砂漠を大きくうねっているワームを見つけた私はそこまで走って力を発動した

 キューンという音と共にワームが…。あれ? 何事もなく砂の中を泳いでる

「駄目みたい」

「いや待って。ワームがこっちに来るよ!」

「どうしよう! 魔法以外使えないみたい! あの大きさのワームって確か魔法を無効化するのよね?」

「うん、ここは僕が」

 アルタイルが私を守るようにスッと前に出たけど、ワームは特に攻撃してくることもなくこちらに頭を向けてゆっくりと近づいてきた

「どうしたんだろう。なんで攻撃してこないのかな?」

「さ、さあ?」

 恐ろしく大きなワームはまるでこっちに懐いているかのような目を向けてる。そう、キラキラと輝く子犬のような目を

 もしかして…

「えっと、ワームさん?」

 巨大ワームはその巨体の先にある尻尾を子犬のように振った。やっぱり、これって懐いてるんじゃない?

「どう?」

「うん、やっぱり使役できそう」

「この世界ってそんな職業なかったよね?」

「ええ、魔獣使い? 魔物使いかしら? そんな職業はないわ」

 どうやらこの善と言う力は魔物を自らの従魔として使役できるようになるみたいね

 でも説明書きには正しきを成せとしか書かれてない

 普通魔物を使役できるようになるみたいなことを書いてるはずじゃない? これはまだまだ何か秘密がありそうなスキルね

「取りあえずこの子はどうしようかしら?」

「うーん、連れて帰ろうにも大きす…。え!? ちょっと見てよアスティラ!」

 アルタイルが急に大きな声をあげるのでワームの方を見ると、その姿がみるみる変わっていった

 まさか、進化してる!? ワームって言うのは成長していくと竜になると聞いたことがある。まさかそれが今起こってるの?

 なんだかみるみるワームが小さくなっていって、手足が生え、目がキラキラと輝く可愛い小竜に変化した

 え、ちょっと、さっきのミミズみたいな姿と大きく変わりすぎなんだけど! 可愛いんだけど!

 その可愛い小竜を連れて取り合えず家に帰ることにしたわ

 小竜もちゃんと言うことを聞いてついて来る。そのまま私の肩に乗って一緒に転移した

「名前を付けてあげないとね。綺麗な赤い瞳と赤い体毛…。ルビーでどうかしら?」

「キャウ!」

 小竜は可愛く鳴いて私に頬を摺り寄せた

 それにしてもあんなに大きなワームがこんなかわいい小竜になるなんて、進化って恐ろしい

 まぁ進化だけの影響じゃないかもしれないけどね。何せこの善という力はまったくの未知なんだもの

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