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旅の始まり16

 無事この街の騒動は終結したけど、お父様とお母様がまだ帰ってこない

 心配になった私はアルタイルに街に残ってもらって一人で魔王都に行くことにした

「アスティラ、気を付けて」

「ええ、子供達をお願い」

 まだ完全に回復しきっていない子供達をアルタイルに任せると私は転移で魔王都に飛んだ

 ついたとたん魔王都が悲惨な状況になっているのが見えたけど、幸いにも人々は魔王城に逃げ込んだみたい

 籠城戦も想定された魔王城なら街よりも安全なはず

 街には多くの魔物と、黒い人族

 それと戦っているのは元十二勇士やこの街にいた冒険者、それから幹部の人達

 どうやら彼らで何とか侵攻を食い止めているみたいだけど、あまりにも魔物の数が多い

 それに黒い人族は明らかに元十二勇士よりも実力が上みたい

 それに、目には完全に光りが無く、頭に機械のようなものが埋め込まれてるのが見えた

「もしかして、完全に意思を奪ってるの?」

 胸騒ぎがしたけど、今はこいつらの侵攻から街を守らなくちゃ

「デュマスさん! 救援に来ました!」

「き、君は、俺たちを助けてくれた」

「アスティラです! それより状況を教えてください!」

「ああ、突如この街の前方に奴らは現れた。何の脈絡もなくな。しかもどの魔物も強化されて普通の冒険者じゃ手に負えん。防ぎきれずに犠牲者も出てしまった。エドとロウガも、訳の分からん化け物に取り込まれて…」

「取り込まれ…、それってもしかして!」

「何か知ってるのか?!」

「ええ、つい最近現れた異世界から召喚された化け物、どうやらもと人族のようで、他の人族を取り込むことでどんどん強くなっていく最悪の化け物です」

「それでか…。途中までは押し返せていたのに突然異常なほど強くなった。ちょうど戦っていた冒険者を二人ほど取り込んだあとからだ。それからは冒険者、そしてエドとロウガが次々と敗れ、喰われていった」

「そいつの処理は私に任せてください。デュマスさんは怪我人を城に運んでください」

「ああ、俺じゃもう役に立ちそうにない。一人でも多くの命を救おう」

 デュマスさんは元々百槍という十二勇士の一人だったけど、偽勇者の裏切りに会い、魔王様に助けられてこちらについてくれた人

 本来かなり強いけど、あの化け物相手じゃ分が悪い

「位置を教えてください」

「商店街の辺りだ。あそこには幹部がいるから恐らく食い止めているのだろう」

「分かりました! デュマスさん、気を付けて」

「すまない。本当なら俺が命を張ってでも守らなきゃならんのにな」

「いいんです。出来ることをやってください」

 デュマスさんと別れてすぐに商店街の方へ走ると、幹部のミュゼさん、ニナさんがあの化け物二体を相手に戦っているのが見えた

 二人ともボロボロで、ミュゼさんは右腕の肘から先がなくなっていた

 それでも守るため、彼女たちは必死に食い下がっていた

「下がってください! 一気に消滅させます!」

「アスティラちゃん! わかったわ。ニナ、引くわよ」

「うん」

 二人が私の後ろに下がったのを確認してから私は消滅の力を使った

 今日二回目

 すでに私の魔力や気力はつきかけていたけど、それでも私は戦わなくちゃいけない

 二体の化け物を消し去ると二人の方へ向き直った

「お父様とお母様は!?」

「お二人なら、魔王様と一緒に正面門で魔物を食い止めているはずです。あっちはここの比じゃないほどの魔物、それに今の見たこともない魔物がいたはずです」

「あれは、次元が、違っていた。私達じゃ、どうにもならない」

「そんな、お父様、お母様!」

 心臓の鼓動が速くなる

 すぐに二人の傷を癒してから私は急いで正面門へ走った

 

 正面門へ着くと、お父様とお母様が魔王様と一緒に戦っているのが見えた

 よかった、無事だったわ

 それにアルタイルのお父様のベガさんも無事みたい

 これだけの魔物を相手にたった四人で耐えきっているなんてすごい

「ホーリーノヴァルジェ!」

「エンドフレア!!」

「槍術極、砲月!」

 お母さまが回復の歌を歌い、魔王様が強大な極大魔法を放ち、ベガさんが槍で魔王様を狙う魔物を一掃する

 それに続いてお父様が残党を討った

 でも魔物の数が一向に減らず、段々と後ろに後退せざるを得ない状況に追い込まれてきていた

「お父様! お母様!」

「アスティラか!?」

「アスティラちゃん、どうしてここに!?」

「じつは…」

 二人に街でのいきさつを話すと、二人はかなり驚いていた

「そう、あの子達が。帰ったらいっぱい褒めてあげないとね」

「ああ、しかしまさか俺の街にも同じように侵攻してこようとは…。魔王様!」

「うむ、地形は変わるだろうが仕方ない」

 魔王様はお父様の合図にうなづくと、魔力を溜め始めた

「アスティラ、魔王様はこの魔法を準備する間完全に無防備になる。俺たちでお守りするんだ!」

「はいお父様!」

 魔王様を狙う魔物を、私達全員で守る

 それから約十分は経ったかしら?

「いけるぞ! 皆離れろ!」

 魔王様が溜まった魔力を力に変えて、次元魔法という魔王様しか使えない魔法を放った

 この魔法は次元の扉を開き、その狭間へと相手を閉じ込める魔王様の最終奥義魔法

 ピシッと空間にひびが入って次元の裂け目ができた

 そこから得体のしれない何かの巨大すぎる手が出てきて、その手を魔物に向かって振り下ろした

「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 世界中に響くかのような笑い声が裂けめから聞こえて、地面ごと魔物や化け物を裂けめに引きずり込んで、辺りは静かになった

「よし、ここはもう大丈夫そうだな。各自他所に向かい被害状況を確認。残党は見つけ次第討て!」

「「はっ!」」

 魔王様の命令に私達はすぐに行動を開始した

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