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旅の始まり14

 街に戻って湧き水を手にいれたことを報告

 あのかわいい神獣のラヴレンドラは別れ際にスリスリと頭をこすりつけてきたことが忘れられないわ

 ホントに可愛かった

 最後にまた来てねって言ってたし、転移でいつでも会えるね


「はい確かに。依頼の湧き水の納品を確認いたしました」

 街のギルドの受付さんに湧き水を受け渡してから帰ろうとすると、男の人が私達を呼び留めた

「お待ちくださいアルタイル様、アスティラ様」

 そうやって呼ばれるってことは私達の顔を知っていて、なおかつ私達を公爵家だと知っている人

 振り向くと見たことないおじさんが立ってた

「ふぅ、お引止めして申し訳ありません。わたくしはメイソンと申します」

「メイソン…。あ! 辺境伯さん?」

「はい、そうでございます」

 ニコリと笑うナイスミドル

 この街の民に慕われているメイソン辺境伯ね

「えっと、もしかしてまだ何か問題がありました? あ、困っていることがあるなら遠慮なく言ってください」

「いえ、現状問題はございません。実はお二人には今回のお祭りを楽しんでいただきたいのです」

「祭り?」

「はい、湧き水をオアシスに注ぐ儀式の際、この街は盛大な祭りにて賑わうのです。もしよろしければ、湧き水を取ってきていただいたお二人にも参加していただきたくてですね」

「そうなんですか、でも私達」

「いいじゃないかアスティラ、たまにはね」

「アルタイルがそういうなら」

「本当ですか!? いやぁ今年は盛大な祭りになりそうです」


 お祭りか、それなら子供達も連れてくればよかったかな

 でも危険があったから連れてはいけない

 あの子達には戦いとは無縁の平和な暮らしをしてほしいもの

 その日は取っていた宿に泊まった

 明日からそのお祭りが開催されるみたいで、私達はその祭りの特等席に招かれたわ

 これは別に私達が公爵ってことだからじゃなくて、湧き水を取って来た人は毎年特等席に招待されるみたい

 

 そして次の日、早朝に起きた私達はすぐにメイソン辺境伯邸へ向かった

 朝一番で来てくださいって言われてたからね

 メイソン邸につくとすぐにメイドさんたちが出迎えてくれて、あれよあれよという間に儀式用衣装に着替えさせられた

 私達はアラビアンな衣装を着て開始時刻まで部屋でくつろいだ

 一時間くらいたったかしら? メイソンさんに呼ばれて私達は部屋を出た

「お待たせしました。ではこちらへ」

 メイソンさんについて行くとユニコーンとペガサスが牽く馬車に乗って祭りの中心、オアシスのある広場へと連れていかれた

 その広場の奥に湧き水を取って来た人が座る席が用意されていて、そこに座ると広場にいる全員から注目されて少し恥ずかしいわ

「今年も無事湧き水は用意され、オアシスに注ぐことができます。取ってきてくださった冒険者の方たちに感謝と拍手を」

 パチパチと大きな拍手と歓声が響いて祭り開催の挨拶が終わった

 そこからはもうどんちゃん騒ぎで、お酒を飲んだ街の人達は楽しそうに笑い合い、伝統的な踊りやらふるまわれる豪華な料理に目でも口でも楽しめた

 さらに出し物はなんと漫才のようなものがあって、なんでも十数年前にふらっと現れた旅芸人の一座にいた二人組が披露して、この街で人気に火がついたらしい

 この街ではそんな芸人たちが何人かいるみたいで、いつか世界中にこの笑いを広げたいみたい

 うんうん、平和的で素敵な夢

 それにしても結構完成されたネタだったわね

 その旅芸人にいた漫才師、もしかして

「楽しかったねアスティラ」

「うん、すごく」

 時間が過ぎるのはあっという間で、もう太陽は沈み始めて黄昏時

 私この夕焼け小焼けな黄昏と、朝日の昇る薄明時が好き

 世界の始まりと終わりを表す時間

 薄明時、私はいつもその時間に目が覚めると、きっといい日になると信じて、願ってその日を始めるわ

 

 そんなこんなで祭りも終わって無事オアシスに魔力の宿った湧き水が注がれた

 これでまた一年間このオアシスは安泰ね

 そうそう、祭りの終わり時になってからなんだけど、なんと神獣ラヴレンドラがオアシスの奥底から顔を出した

 広場は大いに盛り上がったわ

 なにせラヴレンドラがこのオアシスに現れるのはこの祭りが最初に行われた時以来だもの

 あの可愛い顔を見れて私も幸せ

 ラヴレンドラも楽しそうだし、街の人達も死ぬまでに一度見れるか見れないかの神獣の顔を見れて喜んでた

 

 楽しすぎて疲れた結果、私達はすぐ眠れた

 宿のベットがすごくフカフカだったのも要員ね

 そして翌朝

 すがすがしい朝に体の調子もいい

 アルタイルを起こしてからメイソンさんに挨拶に行くことにした

 なんか、朝こうやってアルタイルを起こすともう新婚生活をしているみたいで少し気恥ずかしいわね

 

「昨日はありがとうございました。おかげでラヴレンドラまでも顔を出してくれて、非常に良い祭りとなりました」

 メイソンさんにお礼を言われ、お土産までもらった

 お土産はこの街にしか咲かない花から作られた香水

 これはお母様にいいお土産ができたわ

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