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旅の始まり10

 砦町に戻るとすぐにお姉さんが迎えてくれた

「大丈夫かお前たち!」

 部下の手前だからかキリッと目を吊り上げている

 でもどことなく心配そうな顔になってるわね

「ええなんとか。お姉さ、キュレッソさん、これをみて下さい」

「なんだこれは、砂?」

「実は・・・」

 私達はそこであったことをすべて話した

「召喚された魔物だと? 生贄が必要ということは闇の召喚術だろうが、たかだかこの辺りのウルフ程度でそこまで強い魔物が呼び出せるはずがない」

「はい、私もそう思いましたが、現に奴は完全に体を消し飛ばさなければ無限に近いような再生能力を持っていました。勇者がバラバラに切り刻んでも恐るべき速さで体を再生させたんです」

「しかしそれが本当ならば恐ろしいことだ。奴らは何らかの方法でその召喚術を手にいれたということになるな…。よし分かった、この砂は私が責任を持って研究機関に渡すと約束しよう」

「お願いします」

 お姉さんに砂になった化け物の体を渡してその調査を任せた

 最短でも一週間はかかるみたいだから、それまでは他の依頼をこなすとしますか!

 そういえば消滅の力というとてつもない力を授かったけど、これは体内魔力と気力を大幅に消費しちゃうのよね

 それもあってか一日に一回、調子がよくて二回が限度だと思う

 機械の力とかはそこまで制限されないけど、やっぱり強力な力にはそれだけ負担がかかるってことなのね


 一週間普通に依頼をこなして調査結果を待ったけどまだ連絡は来ない

 とりあえず一週間毎日依頼をこなしてたから疲れちゃった

 アルタイルとも相談して少しお休みすることに

 休みは家族になった子供達を連れてちょっとしたバカンスに行くことにしたわ

 アイ、レナ、エヴァ、セラルタの三人と一柱はものすごく喜んでくれて私に一斉に抱き着いた

 エヴァとセラルタならともかくアイとレナはその体から結構重くて私は倒れ込んでしまった

「ご、ごめんなさい」

「ごめんなさーい」

 二人は必死に謝って来たけど怒ってない

「アハハ、大丈夫よ。ほら行きましょう」

 二人の手を引っ張って起こし、皆で馬車に乗り込んだ

 この馬車はうちの馬車で、すでにお母様は乗っていた

「あらあら、そんなに慌てなくても海は逃げませんよ」

 そう、これから行くのは我が公爵家の所有するプライベートビーチ

 私も小さい頃はちょくちょくお母様に連れられて行ったっけ

 最近は行ってなかったけどあそこは水もきれいだし景色もいい

 いい癒しになるのよね

 それも近海にイルカに似た動物が泳いでるからその子たちも可愛いくて癒される

 しかもかなり頭がよくて人懐っこい。あ、人じゃないから魔族なつっこい、かな?

 

 馬車がゆっくりと走り始めると、子供達四人はワクワクとし始めた

 楽しそうで何よりね

 ちなみにお父様は仕事、人間族の動向がおかしいからその会議ね

 楽しんでおいでって言ってたけど、本当はお父様も行きたかったに違いない

 いつか平和になったらきっとお父様も一緒に行けるようになるわね

 あ、もしかしたらその前に私がアルタイルに嫁いでアルタイルと行くようになるかもだけど

 ・・・

 ときどき思いだす

 もしも前世で私が彼女を助けられていたら、今みたいに幸せな家庭を築けたのかな?

 もう戻ってこない過去だけど、今世はアルタイルがいるもの

 彼ときっとお父様とお母様のような幸せな家庭を築いてみせる

 

 馬車に揺られること数時間、皆でカードゲームをしてたからあっという間だったわ

 窓から外を見ると青空と太陽に照らされた輝く海が見えた

 宝石箱を開けたかのような美しさに子供達もうっとりしてる

 やっぱり女の子、綺麗なものに目がないみたいね

 特に生まれたばかりのセラルタはらんらんと目を輝かせている

「すごい! すごいですよ! これが海、何と素晴らしいのでしょうか! ワタシ一度海と言うものを見てみたかったのです!」

 そういえばこの子は海水に浸かっても大丈夫なのかしら?

 その、錆びたりとかない?

「ねぇセラルタ、あなたの歯車って錆びたりは?」

「大丈夫です。ワタシのボディは精霊体、つまり精神生命体ですので錆びることはありません。この歯車も鉄などの金属ではないのです」

「そっか、それならみんなで泳げるね」

「はい!」

 可愛いわね本当に

 とりあえずまずは別荘に荷物を置いて(と言ってもメイドさんたちが運んでくれるんだけどね)、それから水着に着替えましょう

 この日のためにメイドさんたちが子供達の水着も作ってくれてるのよね~

 それぞれの姿に合うように作られてるから一度試着したときなんて可愛くて卒倒しそうになった

 

 馬車が別荘に到着して、荷物をメイドさんに任せて別荘に入った

 あれ? 子供達がついて来てない

 後ろを振り向くと皆メイドさんを手伝って荷物を運んでる

 アイとレナは持ち前の力で簡単に運んでるわね

 それにしてもなんていい子達なのかしら

 この子たちがこのまま純粋に育つ世界に早くなってほしいものね

 一所懸命に荷物を運んでくれた子供達の頭をなでなでしてから私の部屋に連れて行った

 ここで水着に着替えたらいざ海へ繰り出しましょう

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