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生まれたけど何か変なんですが6

 学園生活にも馴染んできた数ヵ月後

 伯爵家の令嬢アディリアは未だプラムを認めずに事あるごとに突っかかってくる

 もちろん私がいないときにだけど、私はスキルでずっと監視しているから無意味

 プラムに危害を加えようとするたびにスキル“転移”で目の前に現れたあげるの

 どこからともなくいきなり表れる私に恐れをなしたアディリアは最近ではめっきりプラムに絡むことはなくなったわね

 まったく、メイフォーンス家と言えば代々魔王家に仕えてきた優秀な血筋だと言うのに、アディリアの父親は忙しすぎて構ってあげられない娘を溺愛しているし、母親も甘やかしまくっているそうだし…

 まぁそれは私のとこもそうなんだけど、私の家では民は守るものとして物心ついたころからその心得を叩き込まれてきた

 私の家は三つある公爵家のうちの一つ。当然その重責もある

 恐らくアディリアは私のことをかなり嫌っているだろうけど、公爵家の一人娘に手を出せばどうなるかってことくらいよく理解しているんだろう。私に危害を加えることは一切なかった

 しかし魔法の授業ではいつも私の上を行こうとしているのが分かる

 毎回見る度に魔法の威力や質が向上して言ってるんだ

 この子本当は努力家なのかも

「アスティラ様! 今日こそあなたの魔法を超えて見せるわ! 見ていなさい!」

 どうやらプラムから私に標的を変えてくれたみたいで、危害は加えてこないけど勉強や戦闘術で私を超えようとしてるみたい

 これなら平和的に解決できそうなのでもちろんその勝負はいつも受けている

「ええ頑張ってねアディリア」

 そういうとアディリアは顔を赤くして黙り込んだ

「が、頑張るわもちろん…。頑張ってあなたに認めてもらって、それで」

 ゴニョゴニョと何か言ってるけど聞こえにくいな

 でもまあ勝負と行こうじゃない

 今日の魔法授業は火魔法の練習なのだが、私含め何人かはすでにこれを覚えている

 ちなみにフレアと幾人かは魔力がないので別の教室でより高度な勉強をしているらしい

 ともかくまあ火魔法を使って的に当てると言う簡単なものなのだけど、子供である私達にはまず魔力操作というスキルをとることが必須になる、それはまあ最初の授業で全員がこなしていた

 もともと魔族が魔法に特化した種族なので当然と言えば当然なのかな

 それにしても初めての魔法を使った授業、私には心配事がある

 私にはスキル“魔導の究極”なんてものがあるから、ただの初級魔法でも上級クラスの威力になってしまう

 “魔力操作”で全力で威力を抑えるしかないだろうね

「さぁ行くわよアスティラ様! 見ていなさい! これが今の私の全力! 初級火魔法“ファイアジャベリン”!」

 的に火の槍が突き刺さり、歓声が上がった

 ファイアジャベリンは初級魔法の中でも中級魔法に近く、子供が覚えれるようなものじゃない

 それはこの子の努力が相当なものだと象徴している

 それなら私も答えなきゃいけない

 ただ本気でやるとこの辺り一帯どころか街一つ二つ消し飛ばす威力があるので、かなーり抑えてね

「さぁアスティラ様の番よ! ファイアジャベリン以上の魔法を使えるかしら? (フフフ、私の努力は並大抵じゃないのよ。きっとアスティラ様も認めてくれて、お友達、いえ、それどころか恋人…。キャー何考えてるのかしら私!)」

 彼女にこたえるために私は魔力を練る。あまり練りすぎるとこの訓練所を壊しかねないので慎重に

「初級魔法、“ファイア”」

「フフ、やっぱりファイアしか使えないのね。それもそんなロウソクみたいな火。これは私の勝ちね」

 その指先に灯った火を的にぶつけると、大爆発を起こして的は粉々に砕け散った

「お、おいあの的、火魔法じゃ壊れないんじゃ?」

「そのはずだけど、しかも初級の初級“ファイア”で? どういうことだこれ」

 魔法訓練の担当官である先生たちがざわつき始めた

 まわりの生徒はアディリア含めて絶句し、何もしゃべれないでいた

 アディリアはその場にへたり込んでしまう

「そんな嘘よ、私、あんなに頑張ったのに、あんなにいっぱい練習してファイアジャベリンまで覚えたのに」

 涙目でショックを受けてるけど、私はアディリアに近づいた

「ひっ、あ、その、私」

「すごいですよアディリア! あなたの努力はしっかりと見せてもらいました。その手のマメ、相当な回数杖を振るっていたのですね」

 私はアディリアの小さな手にできたマメを初級治癒魔法“ディア”で回復させる

「え、アスティラ様?」

「アディリア、プラムも同じです。あなたと同じように努力してここまで来たのです。だから、お互いを認め合ってください」

「お互いを?」

「ええ、ほらプラム」

 プラムが私の横に歩いてくる

「ごめんねプラム、私、分かってなかった。あなたも努力してるってことを…」

 プラムを見るとニコリと微笑んでいる。この子はあれだけいじめられてもくじけず、アディリアを許した

「許して、くれるの?」

「いえ、許しません」

「え?」

「プ、プラム!?」

 何を言ってるんだプラムは、ここは許して仲良くなる流れでしょうが

「私とお友達になってください、そしたら許します」

「え、いいの? 今まであなたに酷いことしてきたのに」

 プラムは手を差し出してアディリアに差し伸べる

 アディリアはその手を取って二人は友達になった

 解決、かな?

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