生まれたけど何か変なんですが37
闘技場に五人が出そろう
私、アルタイル、ファルセポナちゃん、クレアさん、そしてウェイナードからはヴェナ・ウェイドーナというウェイドーナ学園長の孫娘が会場に立った
ヴェナさんは身長が高くて180センチくらいのモデル体型
髪型は他の生徒とやっぱり同じだけど、ところどころがメッシュ状にピンク色
角は耳の上あたりから上にまっすぐ二本伸びてるけど、片方が何かで斬られた様に途中で折れてる
あとで聞いた話だけど、彼女は魔族の角が金になると聞いた人間達に掴まって角を切り取られてしまったらしい
どうやら私が過去助け出した一人だったみたい
インセントのフォスフェルタさんと似たような境遇の彼女は、表情がずっと笑ってる感じ
角を切られるときに暴れないように使われた魔法薬の副作用で、笑うことしかできなくなったらしい
私の魔法合成、医学知識、薬剤調合のスキルなら何とかなるかも
フォスフェルタさんのことも含めて後で見てみよう
「準備は整ったようだな。まもなく開始する。各自位置につくように」
開始地点にそれぞれが付くと試合開始のラッパが鳴り響いた
一斉に動き出すとまず私を狙って全員が斬りかかって来た
ちなみにこの試合も相手を殺さないよう木製武器です
その攻撃を魔法の盾で受けると押し返した
「んあ! なんて怪力!」
「フヒヒヒヒ、やっぱり、ヒヒ、一筋縄じゃ、フヒ、行かないみたい、フヒヒヒヒ」
笑い狂うようにヴェナさんがぐいぐいと木剣をやたらめったら打ち付けて来る
この人相当腕力があって、魔法の盾を壊しちゃった
「よし、フヒ、剣技、フヒヒ、閃き雷光ぉおおおヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
大笑いしながら雷を纏った剣技を振り下ろしてくるけど、私雷無効なんだよね
多分受ければ受けるほど痺れて動けなくなるって感じなんだろうけど、効かなきゃ意味がない
「あれ? フヒャ、何で痺れ、キャッ!」
不思議に思って攻撃をやめた瞬間をアルタイルに狙われて脇腹辺りに剣が撃ち込まれる
でもその攻撃を恐ろしいほどの反応速度でそれを受けて雷を流し込んだ
「うわっと、これは厄介だね」
痺れた右手をぐっぱして確認してるアルタイル
すぐに剣を持ち直して他の人を攻撃し始めた
「そう簡単に、フヒャ、やられないよフヒヒヒ」
「ふん、それはどうかな!?」
ファルセポナちゃんが広範囲魔法を解き放って周囲を瞬間冷却する
さっむい!
「この氷のフィールドは我の力を極限まで高めてくれるのだよ。もはや我に負けはない」
「フヒャヒャ、そんな程度、フヒ、僕の雷で打ち砕くフヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
「・・・」
いつの間にかそんな二人の間にクレアさんが入り込んでて、槍を振るった
「槍術奥義、覇突」
地面に槍を突きさすと、土が盛り上がった爆ぜた
二人はそれによって大きく飛びのく
そこを私とアルタイルが足狩りの要領ですくって転ばせる
「んにゃ!」
でも転んだのはファルセポナちゃんだけで、ヴェナさんはなんと空中で身をよじって避けちゃった
転んだファルセポナちゃんにアルタイルの剣が首元につきつけられて彼女はしょぼんとした顔で敗北宣言
ここでいきなりのファルマの敗退
アルタイルはすぐにファルセポナちゃんから下がると、たった今いた場所にクレアさんの槍が振り下ろされた
巨体から繰り出される一撃は脅威そのもので、周囲が吹き飛んだ上に
「ひゃええええええ!」
それに巻き込まれちゃったファルセポナちゃんが悲鳴をあげながら飛んでいった
まぁ先生が上手くキャッチして大丈夫だったけどね
「なかなか、ヒャヒャヒャ、でも僕には勝てない、フヒャヒャ、フヒ」
槍を引き抜こうとしているクレアさんの胴を狙ってヴェナさんの剣が横なぎに繰り出される
それを右手で受けると、ゴキャッという音が響いて腕があらぬ方向を向いた
「くっ」
その腕をなんとクレアさんは治癒魔法で一瞬で治してしまった
この人もしかして神聖騎士?
聖騎士というのは騎士職のなかでも回復魔法に長けた騎士なんだけど、そのさらに上が神聖騎士と呼ばれるもので、回復魔法も超一流なんだけど、聖騎士のレベルを一定以上上げないと取得できな職
彼女はそれを17歳という歳で成し遂げていた
「フヒ? すごいすごい、フヒャヒャヒャ、もっともっとぉ」
回復してすぐのクレアさんにヴェナさんは剣を振り回す
めちゃくちゃな速度と強さ
おっと、私も見てる場合じゃない
アルタイルの剣をしゃがんで躱して足払い
それをジャンプしてよけながら剣を私に振り下ろしてきた
でも私は魔法盾で受けてすぐ立ち上がると立ち上がりざまに彼の顎辺りに剣を突き出した
彼は上体を少しそらしてその攻撃をかわす
二人とも体勢を立て直すために少し下がって、再び剣で撃ち合いを始める
「やっぱり、君は強いね」
「アルタイルこそ」
二人だけの世界に浸っていると、いきなり頭上に雷が落ちて来た
魔法盾で防いでそれを放った者を見る
ヴェナさんはクレアさんから離れてなぜかこちらを狙ったんだ
「フヒャ、ざーんねん、フヒヒヒ、漁夫の利とはいかないねぇフヒャヒャヒャヒャヒャ」
危なかった
もう少し反応が遅れてれば直撃してたかも
まぁ無効化しちゃうから私には効かないけど、衝撃はそのままこちらに通っちゃうから、あれほどの威力、下手したら気絶しちゃってたかも
一同一度一斉に離れて構え直した




