勇者13
次のファルマの対戦相手はわが校、コープラストだ
こっちの先方はリゲル。早期決着をつけるつもりなんだろうか?
彼、リゲルは同級生の中で最も馬術での戦闘が得意だ
彼を相手にファルセポナちゃんがどれだけ善戦できるか見物だと思う
正直僕は彼ならインセントの生徒にも負けないだろうとふんでるんだ
「ふん、男が相手だろうと容赦しないぞ我は」
「あなたの実力は見させてもらいましたが、天才と言ってもいい。でも僕だって負けてられません。正々堂々言い勝負をしましょう」
「うむ、それについては同意見だ。いい勝負をしよう」
二人が位置についてラッパが鳴ると、同時に馬を走らせた
普通サイズの木剣を振るい、ファルマちゃんと打ち合うリゲル
ファルマちゃんもかなりうまく躱したり打ったりしていたんだけど、リゲルは剣をくるりと絡めて槍を弾き飛ばした
「む、これは…。得物を落とした時点で、我の負けだな…。お前、インセントの奴らより強いんじゃないか?」
「僕なんてまだまだですよ。それよりやはりあなたは強かった」
「ふん、謙遜だな。だがいい勝負、出来たんじゃないか? この歓声を聞いてみるがいい」
「たしかに、想像以上に盛り上がってしまいましたね」
お互いに握手を交わしてファルマちゃんは下がって行った
次なるポルクラちゃんも、ビートくんも、アイサランドちゃんも、三人供リゲルの技術に圧倒されて負けてしまった
リゲル、前に見たときよりもさらに強くなっているな
ファルマの次の相手はベイクルンバルだ
先方はアスティラの親友の一人、プラムちゃんか。あんなに緊張していて大丈夫なんだろうか?
お互いに位置に着く
「そんなに震えおってからに。それでこの我を打ち倒せるとでも? 我は平民であっても差別や区別はせんぞ? 全力で行かせてもらう」
「はい、わ、私も、全力で行きます!」
プラムちゃんは手に持ったロッドを構える
ラッパが鳴り、先にファルセポナちゃんが馬を走らせた
槍を突き出し、プラムちゃんのみぞおち辺りをいきなり穿った
「うぐっ」
「一撃目、ほら、もっと早く動かねば我には届かぬぞ」
「分かってます! えいっ!」
突き出された槍をロッドで受け流してその一瞬の隙をついてプラムちゃんはファルセポナちゃんの胴を撃つ
驚いたファルセポナちゃんはすぐに槍を戻し、プラムちゃんに向き直った
「ほほぉ、結構な研鑽を積んでいるようだな。この我に一撃を加えるとはな」
「私だって、アスティラちゃんの隣に並ぶために努力してきたんです。簡単にやられてあげるわけには、行きません!」
ロッドをくるくるとまわしてファルセポナちゃんに怒涛の攻撃を加えていく
プラムちゃんのあの性格から考えられないほどの攻撃だけど、ファルセポナちゃんはどうやらプラムちゃんの戦い方の癖を見抜いたらしく、受け流し逸らしながらその間間を縫って鎧に攻撃していく
その結果、プラムちゃんの敗北で試合は決した
「プラムとやら、お主はまだまだ伸びしろがあるぞ。四回攻撃した後に肘を引く癖を治せばお主の棒術はさらに高みを目指せる」
「…。ありがとうございました。指摘、感謝します。もっともっと練習して、きっと強くなって見せますよ私」
「うむ!」
プラムちゃんが下がり、次に出てきたのはカルタちゃん
まるで姫騎士のような格好で、ものすごく自信ありげな表情をしている
「ふっふーん! 貴方様を見事打ち倒し、プラムさんの敵をうちますの! ワタクシ様の強さを世間に見せつけてあげますのよ!」
「は、激しいやつだの…」
二人が位置に付き、試合開始
カルタちゃんが持つ武器は長槍で、それを素早く突き出していきなりファルセポナちゃんの兜を穿った
それによって脳震盪を起こしたのか、彼女は落馬してしまった
動かない。すぐに医療班によって運ばれていったけど、どうやら気絶しただけみたいだ
それにしてもカルタちゃんの槍捌き、何て速いんだろう
彼女も戦闘センスがずば抜けている気がする
「ふっふーん! どうですの!」
次いでポルクラちゃんが出てきた
「ふひゅ、やるねぇ君。そのたたずまい、ただものじゃないに」
「ええ、こう見えてワタクシ様は強いんですの。魔法こそそこまで得意ではありませんけど、格闘術、剣術、槍術はある程度スキルを持っていますのよ」
「ふひゅ、スキルを持ってるだけじゃそれだけの戦闘センスは磨けない」
「努力もしていますの。さぁ、打ち合いましょうですの!」
二人が位置について、試合が始まった直後のことだった
あっという間に間合いを詰めたカルタちゃんにポルクラちゃんは打ち倒された
馬から転がり落ちてまた医療班に運ばれていく
次も、そして最後も、その調子でファルマは負けてしまった
あの子、今後要注目だね
天才が努力するとああも強くなるのか。リゲルと同じか、それ以上の戦闘センスを感じた
ファルマの総当たりが終わり、次はインセントの総当たりか
インセント最初の試合はウェイドーナだ
女の子チーム同士の戦いに観客席は盛り上がる
まぁどっちもアイドルができるほどかわいい子が多いからね
あ、一人だけ顔が見えないんだった




