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生まれたけど何か変なんですが30

 アイちゃんは無事うちに住むことになったんだけど、この子結構不器用だったのね

 とりあえずはメイド修行の一環でレッピィに見てもらってるんだけど、レッピィの怒涛のマシンガントークでまず目を回して、その後は食器の片づけや掃除や洗濯の練習をしていたんだけど、案の定食器を割っちゃったり取り込んだ洗濯物を落として泥まみれにしたりと、レッピィがため息をつくほどだった

 それで私はふと思いついて聞いてみた

「アイちゃん、もうちょっと気を抜いていいんだよ? 緊張しないでほら、レッピィをお姉さんだと思えばいいの」

「そうそう、私妹というものにあこがれていまして、それこそアイちゃんを妹としてしっかり面倒見る所存にございますよ。それに一緒に寝たりお風呂に入ったりご飯を食べたりしたいですよねぇ。あ、アイちゃんはどんなことがしたいですかねぇ? やっぱり妹としてお姉ちゃんに何かしてほしいことがあると思うんですよぉ。でもあんまり変なことは、やめて下さいね。お姉ちゃん困っちゃいますからぁ」

「レッピィ、ちょっとお口チャック」

「あ、はい、すいませんちょっと興奮してしまいまして、いやぁアイちゃん可愛くてですねぇ、本当にいい子で、この蜘蛛の脚も美しくて大好きです」

「あ、あう、そんなこと言われたの、初めてです」

 アイちゃんは嬉しそうに顔を赤らめてる

 その感情に合わせているのか蜘蛛の脚がわさわさと動いてモジモジしてるのがまた可愛い

「とにかくね、緊張しないで、ここを本当の家だと思ってこれからを過ごしていけばいいの。レッピィや私をお姉さんだと思ってね」

「そうですそうです、もっと私を頼ってくれていいんですよ?」

「まぁレッピィを頼るとちょっと心配だから、他のメイドに色々聞くといいわ」

「そうそう、私なんかに頼ってると余計にドジっ子にってアスティラ様!」

「フフ、ごめんごめん、大丈夫よ、レッピィも昔ほど変なことはしないから」

「む、昔ほどって…」

 あれまぁ急に無口になりましたよレッピィさん

 でも彼女もかなり成長したなぁ

 昔はそれこそいろんなものをドジによって破壊していたのに、今ではそつなくこなしてる

 だからレッピィに習ってればアイちゃんもきっと立派なメイドに…

 まぁメイドになりたいかどうかはもう少し考えてもらうとして、とにかくようやくアイちゃんも家族になれたって感じかな?

 まだ少しぎこちないけどね


 それから数週間が経過した

 犠牲になった商隊の家族たちには魔王様から慰霊としてお金が支払われているらしい

 それで亡くなった人が帰ってくるわけじゃないけど、残された遺族がこの先困らないようにって言う配慮だ

 もちろんアイちゃんのことは隠して、その魔物は退治したってことにしてる

 あ、魔王様には一応報告してあるんだけど、アイちゃんをうちで引き取ることは了承してもらえた

 定期的に報告しなきゃいけないけど、それもアイちゃんなら大丈夫かな

 そして今は別の問題が出てきている

 アイちゃんの蜘蛛の脚の手入れについてだ

 これまでは人間の研究者たちがかなり堅い金属のような毛を剃ったり、甲殻部位を磨いたり、脚と人間の体の境目の部分の汚れを綺麗にしたりしてたらしいんだけど、ここではレッピィがお世話をしてる

 でも、やっぱり専門家じゃないから毛の剃り残しがあるし、甲殻部位と背中の境目に汚れが溜まって痒くなるみたい

 そこで私は細かい毛先の歯ブラシを作ることにした

 一応この世界にも歯ブラシはあるんだけど、これが固い植物の茎をほぐしたもので青臭い

 乾燥させちゃうとパリパリになるから仕方ないことなんだけど、それでもオエッてえずいちゃうくらい

 だから私は、ちゃんと磨ける青臭くない歯ブラシを作り出したのです

 材料は同じその植物の茎なんだけど、これを少しの間紅茶に浸けることで驚くほど青臭さが抜けたんだよね

 さらに言うと今までその茎先をほぐして使ってただけだから磨きにくかったんだけど、木を切ってそれに茎をほぐしたものをつけてしっかり磨けるようにした

 でね、この歯ブラシは硬くて背中を磨くのには適さないから、茎をさらにほぐして硬さを調節してみた

 アイちゃんに宛がってみるとくすぐったいのか笑ってる

 ここ最近は笑顔も良く見せてくれるから嬉しい

 で、レッピィにやってもらったんだけど、痒い所に手が届くのかアイちゃんは気持ちよさそう

「アスティラ様! いい感じですよこれ、凄く磨きやすいです」

「よかった、アイちゃんはどう?」

「き、気持ちいい、です」

「うんうん、ほら、これ使ってみて」

「こちらは?」

「アレナの花で香りづけした石鹸。アイちゃんこの花好きって言ってたから」

「すごく、いい匂い、です」

「花畑にいるかのようですねぇ」

 お風呂で気持ちよくなったアイちゃんはウトウトと舟をこぎ始めている

 今日も色々と習ったから疲れたんだろうね

 レッピィが拭いてあげて、服を着せてから寝室へ連れて行った

 ちなみにアイちゃんはレッピィと同じ部屋なんだよね

 毎日一緒に寝てて本当に仲良し姉妹みたい

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