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生まれたけど何か変なんですが3

 その女性はショートカットに鎧を着た魔族の女性で、耳は私達よりも長くこめかみ辺りから捻じれた羊のような角が生えている

 周囲が歪むような魔力の強さに私は思わず尻もちをついてしまった

「何をしに来たのかしらカルテア」

「奥様、お久しぶりです」

 そのカルテアと呼ばれた女性は母の手の甲に口づけをする

「私の子を怖がらせて、それ相応の理由があるのでしょうね?」

「申し訳ありません奥様、怖がらせるつもりはなかったのですが、歓喜のあまり魔力が漏れ出てしまったようです」

 カルテアはスッと魔力を抑えたようでもうあの恐ろしいほどの魔力は感じない

 それにしても誰なんだろう

「申し遅れましたお嬢様、僕は魔導兵団団長のカルテア・マキナウスです」

 カルテアは私の手の甲にも口づけをする

 なんだか恥ずかしいけれど少し安心した

「奥様、お嬢様を僕に託していただけないでしょうか? きっと立派な戦士に…」

「それ以上は冗談では済ませませんよ? 何を言っているのか分かっているのかしら?」

 母様が怒りに震えている。母様はいつも私を戦争には行かせたくないと言っている

 今は勇者不在のために冷戦状態で大規模な戦闘はないけれど、いずれ勇者が生まれて成長すれば戦争は再開される

 それがいつかは分からないけれど必ずやってくる未来

 私のように魔力の高い魔族なら生きているうちに必ず戦争は起きるだろう

 母様はそれが心配なんだ

「申し訳ありません、冗談が過ぎましたね。ですがお嬢様は素晴らしい魔力をお持ちです。まさかこの年で僕をはるかに超える魔力量を誇るなど前代未聞ですよ。ですから早めにその魔力を安定させ、操る術を身につけさせたいのです。いかがでしょうか?」

「…。そうねカルテア、貴方の言ううとおりだわ。アスティラはまだ魔力というものがどういうものかも分かっていないわ…。いいでしょうカルテア、あなたにはこの子の家庭教師をしてもらいたいの、主人の忠実な部下ですもの。でも、もしもこの子に何か危険なことが迫るようなら、守ってあげて頂戴」

「ええ、もちろんですとも奥様、この命に代えても」

 あとで聞いた話だが、カルテアは父様に命を救ってもらって以来父親のように慕っているらしい

 だから私のことも妹のように見ているのかもしれない。まあ赤ん坊の頃以来会ってないみたいだけど

 私が生まれたときはそれはもう大勢の人が屋敷を出入りしていたので私が覚えていないのも無理はない

 彼女もかなり忙しいようでこういったイベントの際に少し顔を出すくらいしかできないみたいだ


 無事?儀式も終えて数ヵ月後には私は学園に通うことになっているけれど、今現在この高すぎる魔力操作できるように翌日からカルテア先生(もしくは師匠)の指導の元魔力操作の練習をすることになった

 ただ一つ問題があるんだよねコレが

 私のスキルや魔法はその全てが上位であり、そのレベルすらもカンストと言う状態だ

 当然のように“魔力操作”、それどころかその上位プラス魔法スキルの“魔法作成”などというとんでもないスキルがある

 つまり習う必要が無いほどに私の魔力操作や魔法は洗礼されているってことになるんだ

 “魔導の究極”なんていう見るからに危なそうなものまであるから困る

 このスキルは説明によると魔法が強化されるだけではなく魔力消費量の大幅な軽減と敵の魔法耐性のある程度の無効化など魔法での戦闘をとことん優位にするようなスキルだった

 さらに言うと、剣術などの戦闘に関しても達人クラスと言えるカルテア先生だけど、そう言ったスキルまでもが最上位である私には、いくら達人の教えと言えど習えるようなことが無い

 とは思ったけど、ただスキルを持っているのと実際に戦闘するのとでは全く違う

 知識はあってもそれを使う知恵が無ければ宝の持ち腐れってことだな

 私はカルテア先生についてその知識だけでは得られない経験を積まないといけない

 大切な家族と、この領地の人々を人間達の侵略から守るために


 翌日、私は家の敷地内にある大きな庭にカルテア先生と立っていた

 忙しいはずだったんだけど、彼女は自分の全ての仕事を部下に押し付け、もとい任せて私を教えてくれることになったらしい。しかも住み込みでだ

「ではお嬢様、最初に魔力操作についての授業を行いましょう。お嬢様は大変高い魔力をお持ちですのでこれはかなり重要となります。もしこの魔力操作をきちんと体得していなければ、魔力は暴走し、体の内側から爆発します」

「ひっ」

「冗談です。ですが危険なのには変わりありません。お嬢様の魔力ともなるとこの辺り一帯が吹き飛ぶ可能性はありますね」

「じゃ、じゃぁ先生、よろしくお願いします。私、魔力操作をちゃんと覚えてそんなことにならないようにします」

「そうですその意気ですよ。大丈夫です、お嬢様はあのガイア様のご息女なのですから、あっという間に覚えてしまわれるでしょう」

「父様ってそんなにすごいの?」

「ええ、あの方は僕のあこがれで、目標でもあるのです」

 

 カルテア先生は少しだけ自分の過去を語ってくれた

 彼女はこの領地から少し離れた人間族の住む国境近くの村出身で、農作業の手伝いをして暮らしていたそうだ

 家族は魔族の父と鬼人の母である両親と上は男ばかり10人兄妹の末っ子で、唯一の女の子だったため非常に可愛がられて育った

 兄弟が多いのはハーフだったからなのか

 彼女の僕という一人称も男兄弟ばかりで育ったからみたいだな

 幸せだったらしいけど、ある日事件は起きた

 魔族を奴隷にしようと人間族が村を襲い、ほぼ皆殺しにされ、唯一の子供で女の子だったカルテア先生だけが生き残った

 両親も兄たちもカルテア先生の目の前で彼女を守ろうとして殺され、ショックで足がすくんで逃げれなくなった彼女はあっさりと人間族に捕らえられてしまった

 そしてマジックアイテムと呼ばれる魔道具で拘束されそうになったところ、私の父様が颯爽と兵を引き連れて助けてくれたそうだ

 父様はカルテア先生を抱きしめると「間に合わなくてすまない」と言い、この状況を嘆いた

 それ以来カルテア先生は父様に育てられて、その高い魔力と戦闘能力の高さを買われて魔導兵団団長まで上り詰めたらしい

 つまり彼女は、カルテア先生は私の義理のお姉さんと言うことになるじゃないか

「お姉ちゃんと呼んでいただいて構いませんよ? むしろ呼んでいただきたい!」

「じゃ、じゃあ、あの、その、お、お姉ちゃん、これからよろしくお願いします」

「こ、こ、これはぁああ! これですよ! ぼくの求めていたものです! ああなんて素晴らしいのでしょうか、今日は人生で二番目に素晴らしい日となりました! あ、一番はもちろんガイア様に出会った日です」

 大喜びしてくれるカルテア先生を治めてその日から私の訓練が始まった

 ちなみにその日のうちに魔力操作はマスターしました

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