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生まれたけど何か変なんですが28

「あ、また来た。ほら、これ読んで」

「あの女神様、こちらは?」

「一応調査報告。ただね、異変を起こしてるやつってのはかなり狡猾。こっちに全然尻尾を掴ませない」

「読んでも?」

「読んでって言ったでしょ」

 ギラっとにらむ女神様怖い。小っちゃい女の子なのにどうしたらこんな表情ができるんだろうか?

 ひとまず女神様の調査報告書に目を通してみると、どうやら別世界でも同じような事態が起きてるみたい

 そっちはそこにいる人たちで何とかなってるみたいね

 他には、黒い魔物を作り出している誰かについて

 これは正体は分からないみたいだけど、確実に何者かの暗躍があるらしい

 で、肝心のこの世界で起こっていることについては、人間族に何かが力を与えておかしくさせてるらしいってことが分かったみたい

 これで確実に何かが糸を引いてるって言うのは分かった

 ならそいつが出て来るように、私も強くならなきゃ

「で、あんた、あれどう思う?」

「はい?」

 女神様はモニターをこちらに見せてくれた

 どうやら私の死体と、それにすがっているアルタイルみたい

 見ているとアルタイルはおもむろに私の口に唇を重ねて…

「はわわわわあわわわ!」

「ほら早く行きなさい。心配してる人がいるんだから」

「は、はい!」

「あ、そうそう、今回手にいれたのは“地”の力。うわ、アイガル姉様の力だ…。地、つまり大地を自在に操る力よ。その力、強力だけど慣れないうちは使い処に気を付けて使いなさい」

「分かりました。ありがとうございました!」

 目をつむり、もう一度目を開けると、ウルミナさんとアルタイルが私の死体を燃やす燃やさないでもめていた

 慌てて私は起きあがると、二人とも信じられないと言った表情で私を見る

 直後にアルタイルはわんわん泣きながら私に抱き着いた

 あったかい。アルタイルはそれだけ心配してくれてたのね


 取り合えず落ち着いたから、これからウルミナさんの大事な妹と、里のダークエルフたちをこんな姿にした蜘蛛少女を探しに行くことになった

 ウルミナさんによると、里を東に蜘蛛少女は走って行ったそうで、そちらは森を出る道に繋がっているらしい

 その道は人間族の国と獣人族の国に繋がっていて、そのどちら方面に行ったかまでは分からないみたい

 でもあれだけ自分の所業を見せびらかすようにどろどろになった人達を放置していた相手のことだ

 きっと行く先々にその痕跡がまた残ってるはず

「アスティラ、体はもういいのかい?」

「ええ、すぐにでも追いかけましょう」

「すまない恩に着る。どうかこの通りだ。妹を、仲間を元に戻してくれ」

「任せてください!」

 

 アルタイルについて私も走り出す

 彼、かなり速いのね。私も“神速”のスキルを持ってなかったらついていけなかったと思う

 二人してかなりの速度で走って、その道に出た

 そしてすぐ蜘蛛少女の痕跡を見つけることができたの

 まるで隠す気なんてなくて、早く私を追って来いとばかりに挑発しているみたい

 痕跡は人間族の国の方面へ伸びている

 これは厄介。魔族である私達がおいそれと行ける訳もないし、今の戦争状態ならなおさら 

 困った…

「アスティラ、君って消えれなかったっけ?」

「そ、そうだよ! アルタイル、私と手を繋いで」

「あ、ああ」

 アルタイルの手を握る

 緊張が伝わってくるけど、こっちだって緊張してるんだからお互い様

 私のスキルで完全に気配と姿を消すと、痕跡を辿って走り出した


 数時間後、私達は人間の住む小さな町に到着していた

 姿は消してるし気配も断ってるから気づかれてはいないみたいね

 そこで気になったことがいくつかあった

 まず人間の町に近づくにつれて痕跡が少なくなったことと、人間達には被害が出ていないことね

 これはもうほぼその蜘蛛少女が人間族ってことで確定なんじゃないかな?

 とにかく姿を消したままの調査はやりにくいんだよね

 アルタイルと手を繋いでないと彼の姿はあらわになっちゃうし

「アスティラ、あそこ見て!」

 突然アルタイルが声をあげたのでそちらの方向を見てみると、明らかに妙にぶかぶかした服を着こんだ小柄な人影が見えた

 その人影はキョロキョロと何かに警戒しているみたいで、時折背中辺りがぐにょぐにょと動いている

「あやしいね」

「アスティラ、近づいてみよう」

「うん」

 ゆっくりと、相手に気づかれないよう、人にぶつからないようにその人影を追いかけていくと、それは一つの建物に入って行ってしまった

「扉かぁ、この扉以外に入れそうなところはないし、窓もないな。どうする? 入ってみようか」

「でもここで問題を起こせばたちまち人間族に囲まれて」

「そう、だね…。どうしたものかな」

「そうだ、偵察のスキルがあるのでそれで見てみれば」

「そうなの? それは助かるよ」

 私は胸元から小指くらいの虫のようなドローンを出して扉の隙間に忍び込ませた

「え? それは?」

「私が作ったドローンというカラクリ、とでもいえばいいのでしょうか」

 あ、やっぱりアルタイル分かってないみたい。口開けてキョトンとしてるもの

「まぁこれで中の偵察ができるようになります。ほら、この四角いもので中の様子が見えますよ」

 これらは私が“機械”という力で作り出したもので、この力を使うと思った通りの機械が生み出せれるという優れもの

 機械なんてこの世界にはないから見られちゃいけないんだけど、アルタイルなら大丈夫でしょ

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