生まれたけど何か変なんですが25
アルタイルが勇者であることが分かったことで人間族の勇者が偽物である、もしくはいない?ことが分かった
それは父様に話したことで魔王様にも話が通って会議が開かれることになったらしい
その会議には父様含めすべての幹部が集まると言う
私とアルタイルもその席に参列することになったんだけど、ともかく私達の今の状況も魔王様に説明しないとね
勇者は実はアルタイルだったってことを
数日後、私は父様に連れられて魔王様のいる魔王都を目指すことになったんだけど、そこには父様の親友のセレグレイト公爵とその息子、つまりアルタイルも一緒に行くんだ
アルタイルが一緒にいることで少しウキウキとした気分になり、父様に注意される
でもそれをベガさん、アルタイルのお父様がまぁまぁと制止してくれた
空馬車で魔王都に着くとすぐに会議室に案内されて飲み物を聞かれた
とりあえず果物のジュースを頼むとアルタイルはコーヒーを頼んでいて、砂糖だけつけてもらっていた
その様子を見ているとなんだか懐かしい気になってくる
前世でのこと、私は男なのにコーヒーが飲めず、ジュースを頼み、あの子はいつもコーヒーに砂糖だけ入れて飲んでいた
たまにはミルクも入れればいいのにって提案しても、あの子は「これが好きなの」と言ってコーヒーを美味しそうに飲んでいたっけ
その様子とアルタイルの姿が重なる
しぐさまでそっくりだ
「ん? どうしたんだアスティラ?」
「いえ、美味しそうにコーヒー飲んでるなって」
「アハハ、僕はコーヒーに砂糖だけ入れて飲むのが好きなんだ。アスティラも飲むかい?」
「ごめんなさい、私苦いの苦手で」
「ふふ、だからジュースか、可愛らしいね」
「う、アハハ」
和やかな雰囲気の中会議室にいる幹部たち全員に睨まれて二人でしゅんとする
父様とベガさんは笑ってるけどね
「しっ、魔王様がいらっしゃいましたよ」
幹部の確か、ウェリザーナ・ハイエスターさんだったかな?
魔法に関して物凄い才覚を持っていて、若くして魔法研究所のトップを務めている
数年前に先生として学園で教鞭も取ったことがある人だ
ウェリザーナさんに注意されて慌てて姿勢を正すと魔王様がいらっしゃった
私もアルタイルも合うのは初めてだけど、やっぱり何て言うのか、オーラがすごい
いかにも王者の風格を備えていて圧倒されるんだけど、それだけじゃなくて、全体的に優しい雰囲気も醸し出していた
そして魔王様が席に着くと会議が始まる
「諸君、集まってくれて感謝する。今回の戦いも、よくやってくれた。そしてすまない、犠牲者の家族には手厚く見舞いを出すと約束しよう」
なんだろう、一生懸命偉くふるまおうとしてる感じがする
「もーマナちゃん気負いすぎ~、いつも通りでいいんだよ~。それに何その恰好、尊大そうなのになよっとしててなんか変」
「ちょ、エイリアス、やめてよ。せっかくアスティラちゃんやアルタイル君にかっこいい魔王を見せたかったのにー」
「へ? え?」
私とアルタイルが混乱していると、魔王様の姿が突然煙に包まれて、そこから小さな女の子が現れた
「は? あれ? 魔王様は?」
「そこにいらっしゃるぞアスティラ」
父様が見ている方向、そこにはやっぱりちっちゃな女の子が座って足をパタパタさせてるだけ
その女の子はエヘンと胸を張っている。ちっちゃい…
「そちらの方が魔王のマナティ・ヴァルファレ様だ」
「「ええええええ!!」」
私とアルタイルは同時に驚愕の声をあげた
「やぁ君たち、これが本来の僕様の姿、僕様こそが魔王マナティちゃんなのだキラーン!」
あ、魔法でキラキラ出してたから気づくのが遅れたけど、自分でキーランって言ってる
この人本当に2千歳こえてるのかな? 言動も行動も子供っぽくてカワイイ
それにその横にいるエイリアスさん? 彼女は魔王様と同じ顔で髪の色が違う
魔王様は燃え上がるような赤なのに対してエイリアスさんは澄み切った清水のような青だ
あとで聞いたけど姉妹らしい
「それでアルタイル君、君の話を聞きたい。僕様に聞かせておくれよ」
「はい」
それからアルタイルは自分が勇者であること、人間族が何者かによって先導されている可能性が高いこと、私は勇者の仲間として共に戦いたいことなどを詳しく話した
「興味深い話だが、信憑性が無いですな。魔王様、仮にもし彼が勇者だとして、それは何故なのでしょう?」
「ふーむ、勇者は世界の調律者、人間族がおかしくなっている原因を取り除けと言うことなのかもね。どうコップス、僕様の推理は」
「はぁ…」
「はぁってなによはぁって。マナちゃん名推理じゃんよ!」
「しかし目付様、魔族の勇者など聞いたことが」
「あったまかったいなぁコップスぅ」
突拍子もないけどアルタイルが勇者って言うのは本当だし、人間族に異変が起きているのも女神様が言っていたから間違いないんだよね
会議は長引いたけど、結局は私の証言もあってアルタイルが勇者だと言うのは認められた




