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勇者2

 生まれてから5年ほどが経ったけど、勇者って何をすればいいのかしら?

 あ、男の子なのにいまだに女の子口調が抜けない

 まぁこれは以後気を付けるとして、とにかく勇者として何をなすべきなのかを考えないと

 それに、私に協力してくれるって言う人物にもまだ会えていない

 このまま平和にのうのうと暮らしてていいのか、少し不安になってくる

 お父様は相変わらず仕事であまり家にいないし、お母様は他の公爵家とのお茶会に行ってしまったし、はっきり言って暇ねー

 仕方がないから、スキル?っていうのを確認をしてみた

 私にあるのは固有スキルというものが一つだけで、その他には何もない

 えーっと、“点”? え、説明もない? これだけ? 何なのこれ

 意味が分からない

 スキルって確か、自分が使える技みたいなものよね?

 点って何かしら? 点、点…。点かぁ、点を打つ能力?

 なにそれ、あのメルカさんって人、圧倒的な力をって言ってたのに…

「点」

 つぶやくと、空中に点が浮かんだ

 アハハ、ほんとに点が出るだけ、なのか

 期待して損しちゃった

 でもこの様子じゃ勇者になるなんて無理なんじゃない?

 あああもう! どうしろって言うのよ!

 はぁはぁ、興奮すると女の子口調に戻るのは直さないと

 空中に浮かんだ点はそのままで固定されている

 触ってみると意外と固くて、ツンツンしてみると、急にその点が弾丸みたいに移動して壁に穴をあけた

「あわわわわ、なにこれ! ど、どうしよう、お部屋に穴が開いちゃった」

 結構大きな音がしたから、メイドさんが慌てて駆け付けた

「アルタイル様! いかがなさいましたか? ものすごい音がしましたが」

「な、何でもないよパール」

 必死で壁を隠しているとパールが私を抱っこしてどけて、後ろの壁を見た

「アルタイル様、この穴はなんですか? もしや部屋の中で魔法を使ったのではないでしょうね!?」

 うう、パールは17歳の若い私付きのメイドなんだけど、これが怒ると結構怖い

 まぁ私が無茶ばかりするのが心配って言うのもあるんだろうな

「ご、ごめんなさい」

「ふぅ、アルタイル様、私は旦那様よりあなたのお世話を仰せつかっているのです。魔法が習いたいなら私に言ってくださいまし」

「う、うん」

「では外で魔法の練習、しましょうか」

「え?」

「やらないのですか?」

「んーん、やるやる!」

 パールは魔法が結構すごいらしくて、魔導兵団からお声がかかったこともあるみたい

 魔導兵団って確かお父様が昔いた部隊で、そこでは親友と一緒に戦ってたらしい

 その親友さん、たまにうちに来るけど同じ公爵家なんだって

 話によると向こうにも同い年の娘さんがいるみたいだから、会ってみたいなぁ

 同じ日に生まれたって言うんだからなんだか運命的なものも感じるし

 なんて考えていたら裏庭に着いた

 パールが魔法について教えてくれるって言うのでしっかりと教えてもらおう


 準備の終わったパールが純白の手袋を装着しながら振り向く

 こうしてみると恐ろしいほどの美少女ね。男がほっとかないでしょうに

 そう思ったけど、私達の種族、魔族って言うのは誰も彼も美男美女ばかり

 かくいう私だってなかなかのイケメン少年じゃないかな?


「さてアルタイル様、まずは体内の魔力を感じることから始めましょう。基礎中の基礎です。これができればおのずと魔力の流れも読めるようになってきます。全てはそこからです」

「はい先生!」

「せ、先生とは、照れますねぇ。でも、悪くない気分です」

 比喩じゃなくて、パールは先生、つまり私の教育係も任されてる

 先生と呼ぶべくして呼んでる感じ

「では体の内側に意識を集中してください」

「はい!」

 目をつむって体内を感じる

 なんだか暖かいものが内側にあるのが分かった

「胸が暖かい」

「見つけたようですね。それが体内の魔力です。それを今度は外側に引き出すようイメージしてください」

「はい!」

 もう一度目をつむって、温かいものを引き出してみた

 すると目の前に光の球が浮かんだ

「何と! これは珍しいですね。アルタイル様は光の属性魔法を使えるようです! これは魔族の中でもかなり珍しいものでして、他の系統魔法が使えない代わりに、万能の光魔法と言う魔法を使えるのです」

 パールはものすごく興奮して、ぺらぺらと饒舌に光魔法について語ってくれた

 光魔法と言うのが使える魔族は本当にごく少数で、固有スキルという強力なスキルに匹敵するほどの力をてるらしい

 もしかしてそれがメルカさんの言っていた強力な力、なのかな?

 とにかく、私には何か特別なことができるって分かって少しウキウキしている私です

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