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生まれたけど何か変なんですが20

 マジックアイテムを作り出すのに精を出し、かなり安定したころのこと、魔族領と人間領との国境で十数年ぶりの大規模戦闘が起きた

 それによる魔族の犠牲者は数百に対して人間側は数十万に及んでいる

 おかしいのは相手方が連合軍ではなかったということと、そう簡単に攻められないにもかかわらず、それを無視して無理矢理侵攻してきたこと

 当然途中途中で魔物に襲われ、魔族との戦闘に入るころにはすでに相手方の人間族は五分の一ほどに減っていたと聞く

 つまり人間族のほとんどの被害が魔物によるものなんだよね

 何で人間族はそんな無謀なことをしたんだろう? それに他種族が関わっていないって言うのも気になるし

 そう言えばお姉ちゃんもこの戦いに加わっていたんだけど、敵はとてもちぐはぐな装備、大多数の人間が農民で、無理やり戦わされているような感じだったらしい

 だとしたら非戦闘員を戦わせる非道を行ったってことになるよね?

 本当に人間族は何を考えているんだろう?


 大規模な戦闘があってから数日後、捕虜となっていた人間族はその全員が故郷へと強制送還された

 犠牲となった魔族の魔導兵さんたちの弔いも終わったし、とりあえずは落ち着いたのかな?

 とにかく、今できうる限りの準備をしておこうと思うんだ

 いつ父様が治める領地、この地も戦場になるとも知れないんだもの

 それに最近どんどん黒い魔物も増えて行ってるし、あれから女神様の連絡もないしで少し不安だよ

 そうそう、私が放課後色々教えているからか、今やプラムまでもかなり戦えるようになった

 でも一番目を見張る成長を見せたのはあの元問題児のガルダ君だ

 もともと素質があったのか、私の教えたことをすんなりと吸収していって、子供ながらに大人を圧倒できるほど強くなっている

 アディリアがいつも挑んでるんだけど、軽くいなしていた

 でもまあ魔法を使った訓練ではアディリアには勝ててないんだけどね

 それと魔法で言うとプラムとソルくんの成長も目覚ましい

 段々とみんなが成長して言ってくれてるので頼もしい限りですよ


 さらに一週間がたったころ、またしても黒い魔物がこの領地に出現した

 お姉ちゃんも色々なところへ赴いて黒い魔物退治に明け暮れ、私達の先生をやっている暇もないくらい

 で、今回の黒い魔物退治のために久しぶりに私達の元へ帰って来たんだけど、なんだか疲れた顔をしていた

「うう、アスティラ、疲れたから癒しておくれ」

「はいはい、よしよし」

「ふはぁ、やっぱり持つべきはかわいい妹だねえ」

 私とお姉ちゃんは本当の姉妹ってわけじゃないけど、お姉ちゃんは父様の養子だから姉妹は姉妹なんだよね。もちろん本当の姉妹より仲がいい

 そんなお姉ちゃんが疲れ切っている。膝枕くらいいくらでもやってあげるよ

「で、今回出た魔物は黒いリザーディアだ。リィリア、今回ばかりは絶対に戦わないで欲しい」

「どうして?」

「リザーディアと言うのはね、致死性の猛毒をブレスのように吐き出すトカゲ型の魔物なんだ。私達でも危ないだろう。だから、あの黒い巨人の時あんなことがあって、私も、君の父上母上も心配なされる」

「…。分かった。でも、お姉ちゃんも気を付けて」

「ああ、私は何度もこの魔物と戦ったことがあるから大丈夫。きっと倒して帰ってくるさ」

 お姉ちゃんは私を心配させまいと笑顔でそう答えてくれた

 でも、私はなんだか胸騒ぎがしていたの

 だから内緒でついて行くことにしたわ


 討伐隊が結成され、お姉ちゃん率いる魔導兵団以外に魔族の冒険者たちも集まっていた

 その中に“変質”というスキルで姿を変えて魔族の冒険者として紛れてたんだけど、かなり緊迫した雰囲気だ

 その集団の中お姉ちゃんがちょっとした壇上に上がって話し始めた

「これより黒化リザーディアの討伐を行う。私率いる魔導兵団は回り込み後方から追い込む。冒険者諸君には追い立てられたリザーディアの討伐を頼みたい。まず弓部隊と魔法部隊に遠距離から攻撃してもらい数を減らしてもらいたい。その後魔法部隊は毒霧の浄化を、近接部隊は浄化が済み次第残ったリザーディアを殲滅してほしい」

 冒険者たちはうなずく

 魔法で浄化するとは言っても、直接喰らってしまえば治療する間もなく死んでしまうらしい。まあ吐き出すスピードは遅いから油断しなければ大丈夫みたいだけどね

 そして作戦開始が告げられ、それぞれが緊張の中戦いに繰り出した

 お姉ちゃんたち魔導兵団は、ブレイホルスという角が二本生えたような馬に乗ってあっという間に見えなくなってしまった

 ひとまず私も冒険者たちに加わって戦うことにした

 

 一時間ほどすると冒険者の先発隊からリザーディアが来たって報告が上がった

 私も魔法で迎撃するために構える

 そして魔法部隊と弓部隊の一斉攻撃が始まった

 私もそれに合わせて魔法で迎撃するんだけど、威力は抑え目で、中級までの魔法を使うことにした

 ここで上級魔法以上の魔法をバカバカ使うと、とんでもないやつがいるって注目されちゃう可能性もあるしね

 とにかく魔法と弓による攻撃はかなり有効だったみたいで、数百匹はいたであろう黒化リザーディアは数十体ほどに減っていた

 その後に魔法部隊が今しがた吐き出された毒霧を浄化

 そこからは魔法や弓を撃つと先頭に当たっちゃうから、あとは近接戦闘部隊が倒してくれると思う

 安心していると、魔導兵団からの報告があって、解毒魔法と転移を使える者を探していると慌てた様子

 話しを聞いて私は愕然とした

 お姉ちゃんが部下をかばって毒にあてられてしまったらしい

 致死性の猛毒、それを直撃されたみたいで、私は心配でいても立ってもいれなくて名乗りを上げ、そのまま転移でお姉ちゃんのすぐそばに移動した

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