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生まれたけど何か変なんですが17

 家に帰ると父様と母様が私を出迎え抱きしめた

 黒い巨人たちは暴れながら依然として学園を目指しているらしく、魔導騎士団もその対応に追われてるみたい

 お姉ちゃんも私を送り届けてすぐに現場へ走って行ってしまった

 母様に手を引かれて家に入り、落ち着いて事態の収束を待っていると、突如大きな揺れが起きて家の一部が壊れた

 驚いてその場所を見るとそこには件の黒い巨人が複数人立っていた

 そのうちの一人がなんとお姉ちゃんを握っているじゃないか!

 苦しそうなお姉ちゃんを見て私はとっさに駆けだしてしまった

 そいつらが私を狙っているとも知らずに

「お姉ちゃん!」

「来るなアスティラ! 逃げ、アグアアアア!」

 お姉ちゃんをギュッと握る巨人に怒った私はその腕を魔法で吹き飛ばしてお姉ちゃんを助け出した

 地面に着地してお姉ちゃんを父様に任せたその一瞬の隙をつかれ、私は巨人に掴まれた

「ぐぅ、あっあぎぃ!」

 メキメキと音を立て、ぐしゃっという生々しい音が響いて私の体が惜し潰れるのが分かった

 口から大量の血と、押し上げられた内臓が込み上げて吐き出される

「ぶぐぅ、うぶっ」

 さらに私を締め付け、私は父様と母様が叫ぶ声を聴きながら、再びあの場所へと戻って行った


「ふーむ、おかしいわね」

「何がですか女神様?」

「あんたを二度も殺した黒いやつら、こいつらのことよ」

「黒いスカルポーンに黒い巨人ですか?」

「そうそう、あいつら似てんのよ。昔私とお姉ちゃんで倒してたやつらに」

「え、どういう」

「とにかくそれはこっちで調べとく。分かったら教えるから」

「ちょ、それって死んでここに来いってことじゃ…」

「何言ってんのよ。あたしこれでも女神よ? 伝えるくらい、てか降臨もいくらでもしてあげるけど?」

「や、やめてください、何か世界が混乱しそうです」

「でしょ? だからあんたにだけ分かる形で伝えるから。あ、そうそう、あんたまた新しいスキル取得したから確認しておきなさい。もうすぐ蘇るから早めにね」

「は、はい!」

 女神様の言う通りに神スキルの方を確認してみると、“生命”と書かれてた

「あら、あんた引き強いじゃない。それ、さっき巨人に掴まれてた子に使ってみなさい」

「分かりました」

「ま、頑張りなさい。またね」

 手を振る女神様に手を振り返して私は戻った

 目が覚めると私は巨人たちの死体の横で布をかけられて寝かされていた

 その横で母様のむせび泣きが聞こえたので、私はゆっくりと手を伸ばして布をとって立ち上がった

「アスティラ!」

 母様は大泣きに泣きながら私を抱きしめる

「う、痛いです母様」

「アスティラ、アスティラ…。」

 巨人の死体の山から父様が現れる

「アスティラ!」

 父様が母様と同じように私を抱きしめて泣いている。私は安心させるように父様と母様の手を握った

 それはともかく、父様ってやっぱりものすごく強かったのね

 一人でこの数の巨人を倒している。と思ったら半分は母様が倒したらしい

 母様も昔は武闘派として名をはせていたそうで、今でもそれは衰えていないとのこと

 私が死んだと思った(実際は死んでるんだけどね)二人はそれはそれはもう修羅のように巨人を殲滅したと後からメイドのレッピィに聞いた

 ただ、問題なのがカルテアお姉ちゃんだ

 折れた肋骨が胸元から飛び出し、さらには肺を傷つけているようで呼吸がまともにできていない

 すぐに回復魔法をかけるけど、いくらレベルが最大であっても死の淵にある彼女を回復させるには至らなかった

 もう、死を待つばかりの状態で、私はがっくりと膝をついた

「い、いいん、だ、アス、ティラ、お前、が、無事、なら、それで、グフッガフッ」

 どっと血を吐き出す彼女を何とか助けようとあらゆる手を尽くしたけど、折れた腕を治す程度だった

 どんどん体温を失っていくお姉ちゃんを成すすべなく見ていると、女神様の言葉を思い出した

「それ、さっき巨人に掴まれてた子に使ってみなさい」

 その言葉の通りに先ほど手にいれた“生命”の力を使ってみる

 するとどういうわけかみるみるうちにお姉ちゃんの顔色が戻り、体温が戻り、突き抜けていた骨も元通りに戻った

 気を失っていはいるけど、もう大丈夫そう

 ただこの力を使った時に思いっきり体力が抜けていくのが分かって、私もお姉ちゃんに重なるようにして倒れ、そのまま眠ってしまった


「うーん、やっぱり似てるわ」

「ルニア、それって」

「ええお姉ちゃん、かつて闇が作り出した黒い魔物や人と波長が似てる。似てるどころかこれじゃまるで、そのもの?」

「でも闇は操られていただけで、無理やり作らされていたんじゃ」

「ええ、私達神と彼らは和解してるし、今闇人達と平和に暮らしてるのよ彼らは」

「じゃぁやっぱり違うんじゃ」

「そうね。波長が似てるだけ、それだけなら彼らとは言い切れないものね」

「とにかく、私も調べてみる。マキナ姉様にも話してみるわ」

「ありがとうお姉ちゃん」

 二人の女神は黒い巨人のデータを空中に浮かべて見ている

 その映像の横には過去の映像が再生されていた

 関連点を分かりやすくまとめたデータがその横に張られており、ルニアと呼ばれた女神はそれを見ながら画面をタッチしている

 うんうんと唸りながら女神は再び過去の映像を見直した

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