表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/130

生まれたけど何か変なんですが15

 アディリアの父上であるメイフォーンス伯爵は確かにその鎧をゴブリンに渡したらしいけど、それは商談が成立したからというまっとうな理由だった

 ただ、買ったのはその黒ゴブリンではなく、黒髪黒目の男で、ローブを頭からかぶっていたので顔は見えなかったけど、子供の誕生日プレゼントにその鎧を渡したいと言っていたそうだ

 つまり犯人像は金払いのいい男ってだけで他には何もわからないってことか

 まぁなんにせよ、犯人に繋がっていたのがメイフォーンス伯爵でなくてよかった

 それだとアディリアが可哀そうすぎる

 ただでさえ彼女は誘拐されたというトラウマものの過去があるのに、その上父上まで事件の犯人でしたではあまりにもだよ

 というわけでその魔族の男を父様含め魔導騎士団の面々といった多くの人出を出して探したんだけど、足取りはぱったりと消えてしまい、何の手掛かりもつかめなかった

 黒ゴブリンの死体についても同じで、特に変な魔力なんかもなく、筋肉が通常のゴブリンよりも少し発達していたくらい

 それ以外にはスキルが多かったことかな

 通常のゴブリンの三倍ほどスキルが多く、さらにはカンストしているスキルまであったって聞いた時は驚いた

 そこでなんだけど、種族について授業で習った時、それぞれの寿命も習った

 例えば人間族なら80年ほど、進化したハイヒューマンで200年、さらに進化した仙人で1000年以上、エルフやダークエルフで500年、ハイエルフやエルダーエルフなど上位のエルフに進化すると2000年…。何とも気が長くなりそうなほど長寿だね

 で、私達魔族は進化しない代わりに魔力によって寿命が決まる

 魔王様のように桁外れの魔力を持っていると万単位は行くんじゃないかな?

 そしてゴブリンのような弱い亜人種は精々長くて8年くらい

 そんなたった8年でスキルがカンストするなんてありえないんだよ

 私はともかく、この世界の住人ならそれが当たり前で、年月をかけてスキルを鍛えていくしかないんだ

 ゴブリンがカンストするには、それこそ進化を目指して寿命を延ばすしかない

 と、ここまでが私がスキル“千里眼”で読み取った一連の事件の経過報告

 ほとんど何もわかってないけど、魔王様の右腕たる自慢の父様が指揮してるんだから、きっとそのうち解決するって信じてる

 私の本分は勉強なんだから、今はそっちに集中しよう

 

 それから一月ほどが経過した

 特に何事もなく平和なんだけど、この領地の外、森や草原、荒野といった魔物が出没する領域に黒い魔物を見たって言う報告が増えてきてる

 討伐隊が出るほどの強さで、魔族の冒険者なんかもしょっちゅうそう言った依頼を受けてるそうで、とにかく強いその黒い魔物に苦戦してるみたい

 お姉ちゃんも授業どころじゃなくて、最近では別の先生が魔術の授業を担当してる

 とにかく私は勉強に精を出した

 これでも前世は結構勉強もできた方で、学ぶのも嫌いじゃない

 真面目に聞いてちゃんとそれなりの成績を残していたおかげで学年では1位か2位以内に必ず入っている

 私とトップをいつも争っているのはやっぱりアディリアで、それに次いでプラム、ソル君、ジュセリーナ、それから何人か間を開けてのフレア

 いずれもトップ10以内には入れている

 それにしてもジュセリーナってこんなによくできる子だったのか

 結構パワータイプのような印象があったから、その、ごめん

「さっすが私のアスティラ。でも次は負けないわ!」

「なんのこちらこそ!」

 とまあいつものやり取りをしていると、フレアが少し肩を落としてこちらに歩いてきた

「フレア、あなたもよく頑張ってるじゃない! 8位だったんでしょう?」

「うん、でもこれじゃあ士官になるのは難しいかも」

「そんなことないですよ。士官は成績だけでは決まらないってお姉ちゃんが言ってましたし」

「そうなの?」

「はい」

 フレアの成績は20人中の8位

 たった20人しかいないから真ん中より少し上なんだけど、それは人数が少ないからであって、成績は決して悪くない

 というか全員の成績がいいんだよね

 まぁみんな学ぶことが好きだからね

「アスティラ、今度私に剣術教えて欲しいの」

「いいですよ」

 そういえばフレアは剣が少し苦手だったっけ

 そう言うことならもちろんしっかりと指導しようじゃありませんか

 お姉ちゃん仕込みの剣を

 ってことで週末の休みに私達はみんなで剣の稽古をすることになった

 魔法の特別授業に次いで剣の特別授業ってことだね

 あそうそう、あの魔法の特別授業でやらかしたガルダ・ゼイオン君、無事復学して今では私の授業も真面目に受けてる

 すっかり人が変わっていて、魔法についてもほとんど魔導兵団の一兵と変わりないくらいに磨かれていた

 彼も剣術の特別授業を、受けたいとのことだったので喜んで受け入れた

「以前は本当に申し訳ないことを、俺は侯爵家という民を守る立場にあると言うのに、あのような馬鹿なことをした。だが改心したんだ。この力は、守るために振るうと誓おう」

「あ、はい、変わりましたねガルダ君」

「あ、え、あう」

 ガルダ君は顔を真っ赤にして私を見ている

 うーむ、中々に可愛い顔をしているじゃないか

 今の彼ならさぞかし女の子にモテるだろう

 その日から私は魔法の特別授業に加えて剣術の特別授業も行うことになった

 みんな真面目にやってくれるおかげでメキメキ上達していってる

 うんうん、教えがいがあるじゃない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ