九つ目の世界3
トロッコは結構大きくて、ちゃんと屋根があってしかも電力で動いてる電車のようなものだった
数十年前に開通したらしくて、このトロッコが彼らの街同士を結ぶ生命線になっているようね
「すごーい!」
フィリアの喜びようがすごい
まぁ彼女はこういうのに乗ったことないんだろうし、ワクワクする気持ちもわかるわ
トロッコの内装もかなり凝っていて、椅子の細工なんかも綺麗
金で細工されてるのかしら? 彼らは結構手先が器用みたいね
「それでは掛けてください。それと揺れるのでこのベルトをつけておいてくださいね」
運転手兼車掌さんがそう言って運転席に歩いて行った
ずっとトンネルのようだけど明かりがついてるからよく見える
景色は単調だから特に見るものもないけど、フィリアが楽しそうにしてるから私も楽しい
「それにしても結構科学技術が進んだ世界なのね。さっき見たけど、電力は火力発電で賄ってるみたい。マントルまで続く電力供給システムが働いてたわ」
確かにすごい科学技術。トロッコだって揺れてはいるけどそこまで気になるものじゃないし、なにより速い
グングンスピードが上がって行って、見える景色があっという間に過ぎていく
まぁ景色といってもずっと岩肌なんだけどね
次の街はさっきいた街より十キロほど離れてて、歩いて行けばそれなりに時間はかかってたはず
トロッコって便利
そして街に着いた
この街はさっきいた街よりも広くてしかも発展してる
街街って言ってるけどこの辺りの街には名前がないのよ。住人たちはAとかBとか呼んでるみたいだけど、そのAも複数あったりして、なになにがあるA街とか、誰誰がいるB街とかって呼び合ってるみたいね
それでここは発電施設のあるB街って呼ばれてる
そう、マントルから火力発電でかなりの電力を賄っているのがこの街
そして入ったとたん歓迎する人々が目に映った
異世界からの旅人と知った彼らは私達に話を聞きたいと集まって来たらしい
トロッコを降りてからがさらにすごかった
まるで国賓待遇のようで、すぐに彼らがいつも集会をしている集会所に案内された
ここは客人を泊める施設にもなってるみたいで、そこの一室にはすでに歓迎用の料理が用意されていた
料理はあの虫じゃなくて、エビチリのようなものやスープやらチャーハンのような米料理もある
全体的に中華料理に似てるわね
「さぁどうぞ! 召し上がってください。そして旅のお話でも」
ご飯を食べながら旅の話を色々したわ
それにしてもこの料理すごくおいしいわね
「あのこれってエビですか? プリプリですごくおいしいです」
「ああそれはマシュパという甲殻類の肉でして、食感が病みつきになるでしょう? 私達の主食でもあるんです」
「主、食・・・」
てことはこれって、あの虫?
う、うん、あの姿は頭から消しておきましょうかこの際。大丈夫、これはエビ
美味しいエビです
とにかく料理に舌鼓を打ちつつ私達のことをたくさん話した
「苦労されているのですね。それに世界を救うという偉業。感銘いたしました」
ここの人達は娯楽というのが映画やドラマ、本などみたいで、私達の冒険譚も書籍化、映像化をしてくれるみたい
なんというか、結構恥ずかしいんだけど・・・
食事と話を終えた私達は真っ赤な体を持った子供について聞いてみた
ここからかなり離れたレドラの街という名前のついた街
そこはいわゆる首都で、始まりの街とも呼ばれてるみたい
だからこそ名前が付いてるのかしら
「あの街に行くなら特別特急トロッコをお出しします。それに乗れば三日ほどで着くはずですから」
「三、三日!?」
あのスピードでも三日もかかるって相当な距離が離れてるのね
でもその特別特急にはちゃんとお風呂やご飯を食べるところなんかもあって生活できるようになってる
「もう行かれるのですか?」
「いえ、一日滞在して明日に出ようと思います」
「そうですか! では是非ゆっくりとくつろいで行ってください」
とにかくすごい歓迎ね。ひっきりなしに私達の話を聞きたいって人が来るし
でも夜になるころには遠慮したのか誰も来なくなった
そして用意されたベッド(ものすごくフカフカで寝心地がいい)に寝ころんで、すぐに眠ってしまった
翌朝、私達は大勢に見送られながらトロッコに乗った




