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九つ目の世界2

 洞窟は暗くて怖い

 私はあんな虫がいる洞窟に再び入るのは嫌だったけど、外で焼け死ぬよりはましだから入ってる

 あれほどの群れはもういないけど、やっぱりところどころに這いずり回ってて気持ち悪いわね

「群れじゃなきゃ襲ってこないみたいね。それなら大丈夫そうね」

 ルニア様、もうこの状況に慣れてる

「パリパリムシャムシャ」

 ん?私の後ろで変な音がする

「ムシャァ・・・。ケプッ」

「フィ、フィリア、何食べて・・・」

「あ、食べちゃ駄目だったんだっけ。ごめんなさいお姉ちゃん」

「ぺっしなさい!ほらぺって!」

「でも美味しいのにぃ」

「まぁまぁアスティラ、体を壊すわけじゃないんだからちょっとくらいいいじゃないか」

「でも・・・。こんな気持ちの悪い蟲を」

 私はふぅとため息をついて仕方なく了承した

 フィリアは嬉しそうだし、うう、よし、気にしないようにしよう

 それからも後ろでパリパリゴリゴリといった咀嚼音が時々聞こえてきて寒気が走る

 フィリアが幸せなら看過しなきゃ

 しばらく薄明かりの中を進んで、先ほど出口に続いていた道とは違う道を進んでみた

 分かれ道の先はかなり広くなってて、ところどころにいる虫とは違った種類の魔物?のような生物がいる

 特に襲ってくる様子はなくて、サニア様が照らす灯りにちょっと驚いて逃げてるくらいおとなしい

 あとなんだか可愛い動物もいるわね

 毛が真っ白でモフモフとした小さな熊のような動物で、キュルルと鳴いてこっちを不思議そうに見てる

「どの動物も魔物もおとなしいですね」

「まぁ襲ってこないならそれに越したことはないわ」

 そのまま広くなっていく洞窟を進んでいく

 どうやら下へ下へと下って行ってるみたいで、洞窟もどんどん広くなる

「何処まで続いてるのかしら? まさか地獄の釜までってことはないでしょうけど、ここってマントルとかあるの?」

 ルニア様がそう疑問を口にしながらも周囲を探知してくれているおかげで安全に進めてる

 でもこの先に何があるかまではまだわからないみたいね

「あ、待って、生体反応。これはさっきみたいな動物や魔物や虫じゃないわね。もう少し大きい、人間?」

 急いでその生命体のいるところまで行ってみると、びっくり、なんと街があったのです

 街はちゃんと灯りが灯っていて、街灯なんかもあって結構発展してる

「すごい、地下帝国みたいじゃない!」

 街の人達はその声に一斉にこちらを見て驚いた

 まず姿が全然違うものね

 彼らは真っ白な肌に真っ白な髪、目まで白くて、体は白い鱗に覆われている

 さらに強靭そうな尻尾が生えてるわね

「竜人に似てるけど、リザードマン?にしては鱗が大きいわね」

 爬虫類系の人類ではあるんだろうけど、私達が知ってる竜人やリザードマンとは全く違う進化をしてきたみたい

 それにこの姿だと外では絶対暮らせないわね。いくら強靭な鱗があってもすぐに焼き尽くされるはず

「な、なんだ君たちは! 一体どこから来た? まさか、外から!?」

 特に敵意はないから話はできそう。すぐに私達は事情を説明した

「おお、なんと! 異なる世界から来たのか! なるほど、確かにかつて異世界から来た旅人の話が残っている。そうかそうか、よくぞ来なさった」

 街の人達は一気に歓迎ムードになって街の人達が共同で使う集会所に案内された

「この世界は地下に人の住む街が広がっている世界でして、街と街の交流はトロッコでなされています。トロッコとは言っても巨大なもので、人なら優に数百人は乗れます」

 興味深い話だけど、私は目の前に置かれた料理に仰天していた

 そう、あの虫が料理されて出てきたのです。しかも丸ごと

 この世界の人にとってあの虫は主食のような物で、栄養価もかなり高くておいしいらしい

 でも無理、中身だけ料理されて出されてるならまだしも、そのままの姿で出されてるんだもの

 これにはルニア様、サニア様も顔が引きつってた

 唯一食べてたのはフィリアちゃんで、それはもう美味しそうにむさぼるように食べてたわ

「それでちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 ルニア様が切り出す

「この世界に不思議な力、もしくは他とは違った力を持った人っていないかしら?」

「ふむ、そうですね・・・。あ、確かレドラの街に真っ赤な体を持った子供がいるとか。炎の神様の加護を受けてるといわれているようですな」

「なるほど、で、そのレドラの街ってどう行けばいいの?」

「トロッコがありますからそちらに乗って下され。すぐにつくはずですぞ。それとこちらからレドラには連絡しておきましょう。向こうも喜ぶはずです」

「ありがとう、助かるわ」

 この世界の人達が友好的でよかった。料理はともかくそれ以外はいい場所ね

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