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九つ目の世界1

 次に来たのは星も月も太陽もない真っ暗な世界で、周辺に生き物の気配もない世界

 一面真っ暗だから一寸先までも見えないくらい暗い

「今明かりをつけます」

 アルタイルが光り魔法で灯りを付けた

 よかった、この世界は魔法が使え・・・

 明かりによって照らされてようやく周囲が見えたけど、この景色は想定外だったわ

 洞窟内、その内部は巨大なゴキブリのような、フナムシのような生物が這いずり回っていた

 生き物の気配がないんじゃなくて、気配を消してたのね

 思わぬことに私は気が遠くなって地面に倒れそうになる。そこをアルタイルがすかさず支えてくれた

「ありがとうアルタイうひぃいいい!!」

 私の足の上をフナムシのような化け物が這った

 それで私は完全に気絶。情けなくもアルタイルに背負われて運ばれていった

 

 しばらくして目を覚ますとやや大きな空間で敷物の上に寝かされていた

 ここにはあの化け物はいないみたいで一安心。それにしても気持ちの悪いムシ?だったわ

「はぁ、私もあれは無理だわ。触りたくない」

「すみません私もです」

「フィリアは平気だよ! 美味しそうだったもん!」

「フィリア、お願いだからあれだけは食べないで」

「えー、うん分かった!お姉ちゃんが言うならやめとくね!」

 ふぅ、流石竜ね。あれが美味しそうに見えるなんて

 でもこの世界は何でいきなり洞窟の中だったのかしら

「ちょっと周りを調べてきます。ルニア、しっかりと警戒よろしくね」

「分かったわお姉ちゃん」

 サニア様はそう言うと洞窟の奥か入り口方面かは分からないけど、歩いて行ってしまった

 サニア様なら多分大丈夫だと思うけど少し心配

「落ち着いた?」

「ええごめんなさい」

 私達も何もしないでいるのは落ち着かないから、食料を収納袋から取り出して料理を始めた

 一応空気がちゃんと循環するように、風魔法でサニア様が向かった方向とは反対方向に焼いた時の煙をにがしておく

 料理は今までとった食べれる魔物のお肉を中心に、持って来てた野菜と一緒に炒めた簡単な野菜炒め

 香りづけにごま油を少々入れることで食欲をそそる香りがする

 一応探知でこの辺りに魔物がいないことは分かってるらしいから匂いが多少漏れても大丈夫よね?

 サニア様が戻ってくる前に私達は食べ終え、サニア様の分は冷めないよう収納にしまっておいた

 しばらくするとサニア様が戻って来た

「ここ、相当広いみたいですね。しかも別れ道があって入り組んでて思ったように進めません」

「あっちにはさっきのムシがいるから行きたくないです」

「じゃあお姉ちゃんが調べた方から重点的に調べた方が・・・、何かしら?変な音が聞こえるんだけど」

 ルニア様が言葉を遮って耳を澄ましてる

 私達も同じように耳を澄ますと、さっきムシがいた方向からドドドドという音が聞こえてきた

 これってもしかして、足音?

 ものすごい数の何かの足音が迫って来てる。考えたくないけど多分というか絶対十中八九

「来たわ! さっきのムシの群れ!」

 ルニア様が私とアルタイルを引っ張り、サニア様がフィリアを抱えて急いで逃げ出す

 多分料理のせいだ。結構離れてたみたいだからあそこまでは届かないと思ったのに・・・

「私のせいね、みんなごめん」

「そう言うのはいいから喋んないで! 舌噛むわよ!」

 ものすごい速さでグングンムシを引き離していく双子女神様、道は分からないけど今は逃げ切ることが先決

 走って走ってとにかく走って、目の前に眩しいほどの光が見えてきた

「出口!」

 光の扉のような出口に一気に飛び込むとムシたちはそれ以上追ってこなかった

 光に当たったムシは苦しんで焼け死んだんだもの

「これって・・・」

 目の前に広がる光景は死の土地と言っても差し支えない燃え盛る大地だった

 太陽がカンカンと言うのも優しいほどに照り付け大地を焼く光景

 いくら火に耐性があっても私達の体も焼かれそう

 平気なのは双子女神様くらい

「きっついわね。ほら、これで大丈夫?」

 ルニア様の結界のおかげでなんとか体が燃えるってことはなくなったけど、それでも熱い

 下着が汗でじんわりと湿って行く不快感

 でも湿度がほぼないに等しくて、あっという間に汗も干上がって行く

「こりゃ地上は人なんて住んでないわね。体が炎で出来てでもいない限り住めないわ。まぁそう言う風に進化してるかもしれないけど、探知に生命反応がない。戻るわよ」

 すでにムシたちは住処に戻って行ったようで洞窟入り口周辺には気配がない

 これなら戻っても大丈夫そうね

 私達は洞窟内に戻って結界を解いた

 地上との気温差は驚くほどあって、洞窟内はひんやりと涼しい

 仕方なく私達は洞窟の内部を探検することになった

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