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七つ目の世界3

 この世界に魔力は無いけど、潜在的な自分自身の魔力を使って飛べばいい

 そう思っていたらなんとフィエラが乗せてくれることになった

「任せてお姉ちゃん。フィエラ竜に戻ってお姉ちゃんたちを乗せるよ!」

 竜に戻ったフィリアちゃんは白銀の美しい竜だった

 キラキラと輝くその姿は伝説の神竜のよう、というか神竜だったみたい

「力は感じてたけど、ここまで強い神竜だとは思わなかったわ。それほど力があるなら自分で次元も超えれそうね」

 ルニア様によると次元を超えるためには強い力が必要で、もしただの人間なんかが扉をくぐろうものならただのエネルギーになって消えてしまうらしい

 私達のような魔力の塊、神様とかなら全く問題ないんだけどね

「さぁみんな、フィリアに乗って」

 この子の大きさは約二十メートルくらいかしら

 亡くなったお父さんとお母さんはもっと大きかったって言うから、フィリアも成長したら多分大怪獣のような迫力になるんじゃ・・・

 この子にはなるべく人間形態でいて欲しいかな。可愛いし、大きすぎると連れて歩けないから

 それにフィリア自身も人間形態の方が楽みたい

 何せ大きさを気にしてそこかしこに体をぶつける心配がないもの

「じゃあ飛ぶね」

 みんな乗り込んだところでフィリアは羽ばたき始めた

 それと同時にサニア様が私達を見えないように偽装の力で隠す

「すごいわフィリア。浮いてるわよ」

「そりゃ浮くわよ。竜って魔力使って浮いてるんだもの。こんな大きいのが重力のある世界で羽ばたくだけで飛べるわけないでしょ? だから魔力で補助してんの」

 なるほど、それでこんなに軽々浮いてるんだ

「お姉ちゃんたち、しっかり掴まっててね」

 フィリアが強く人羽ばたきすると、速度が一気に上がって風を切りを斬り始めた

 速い速い! 顔に当たる風が気持ちいいわ

「フィリア、そのまままっすぐ行って。そしたら塔が見えてくると思うから、その塔をさらに過ぎて、三個目の塔が見えたら教えて」

「わかったよルニアお姉ちゃん!」

 一個目の塔が見えた。ここも結界の役割を果たしてるみたい

 そこからさらに飛んであっという間に二個目の塔が見えた

 そして三個目の塔、ここはどうやら壊れた塔で、人がいる気配というものが全くない

 でもサニア様が視た映像では、塔を作った人物はこの塔に住んでるという

「おかしいわね。映像で見た時は人が住める環境だったはずなのに」

 サニア様はフィリアから飛び降りると、その塔に触れてサイコメトリーを始めた

 しばらくしてサニア様は慌てるようにこっちに戻ってくる

「大変! この塔を作った人が盗賊に攫われてるわ! 数日前のことよ。急がなければ命が危ないかもしれません!」

 サニア様が再びフィリアの背に飛び乗ったところでその人が攫われたという盗賊のアジトに急いだ

 ここからそう遠くはない森の奥地にある洞窟、そこが盗賊のアジトらしい

 そいつらはかなりの数で、千人以上の大所帯だって

 まぁ普通の人間だから私達にとっては取るに足らない存在

 でも塔の建築者が被害に遭っていたらと思うと気持ちが焦る

「急いでフィリアちゃん。攫われると気に彼女、左手を切り落とされてる。出血は焼いて止めてたみたいだけど、この衛生環境じゃ長く持たないかも!」

 唯一等の製作者の攫われた時の様子を視て知っているサニア様はとにかく急いていた

 フィリアもそれに答えてさらに速度を上げ、件の洞窟へほんの数分で着いたわ

「ここね。すぐ制圧するわよ」

「な、なんだお前ら! 男一人に、女と、なんだこのでかいトカゲ、は・・・」

 入口を見張っていた盗賊の男たちはフィリアを見て驚き一目散に洞窟内に逃げ込んだ

 確かにフィリアの大きさだとこのサイズの洞窟には入れそうもない

 でもこの子、人間形態になれるから意味ないのよね

「まったく、数だけはいっちょ前にそろえてるから厄介。それに塔を作った人が人質に取られたら戦いにくいわ。その前に彼女を救い出すわよ」

 ルニア様はサニア様と共に一瞬で目の前から消えた

 光の速度を超えるほどの速さで移動したんだと思うわ

 あれ? この二柱の女神で全部解決したんじゃない?

 それから数分立って二柱の女神は顔色が真っ青な女性を連れて出てきた

「あの、盗賊たちは?」

「殲滅したわ。まぁとは言ってもは向かってこなかった奴らは恐怖を与えただけだけどね。もう悪いことをしようなんて思いも起こらないでしょ」

 とにかく今は安全な場所でこの人の治療をしなきゃ

 亡くなった左手は焼きつぶされてかなり痛々しい感じ

 それにその傷から黴菌が入ったのか手は赤紫色にはれ上がってる

 フィリアに再び乗り込んであの崩れた塔に連れて戻ったわ

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