七つ目の世界2
「力の制御ができていない」
ルニア様に言われた
今まではそんなことはなかったのに、私の力が強くなるにつれてその力が私を飲み込んで行っているらしい
「取りあえずあんたは今のままだと私達にまで攻撃を加えかねないわ」
しょぼんとしているとアルタイルとフィエラが慰めるように私を撫でてくれた
アルタイルはともかく、フィエラは多分アルタイルの真似をしてなんだろうけど、私を元気づけようとしてくれたことは分かる
「力の制御は多分アルタイルの方が上手いわね。はぁ、お姉ちゃん、この子に制御の訓練をつけてあげて。お姉ちゃんなら強くなる力を制御する方法、いくらでも知ってるじゃない?」
「そうねルニア、アスティラ、あとで私が教えますから、今は戦わないで下さい」
「はい・・・」
私も戦いたけど、今のこの状況じゃみんなに迷惑かけちゃうだろうし、サニア様の教えをしっかりと聞いて力をちゃんと使えるようにならなくいちゃ
盗賊が全滅したことでこの辺りは多分平和になった
道に転がされていた女性冒険者の遺体と、奴らのアジトにあったその仲間の遺体を丁寧に葬って再び街を目指して歩き出す
盗賊の死体はもちろん野ざらし。野生動物の餌になるのがお似合いよ
しばらく進むと遠くの方に高い塔が見えてきた
多分街のシンボルのような塔だと思う
段々と近づく塔を見つつ周りも警戒しながら進んでいくと、街を覆うようにして強力な結界のような物が張られているのに気付いた
街を守るためにあるんだろうけど、この世界に魔法は無いはず。だったらこの結界はどうやって張っているのかしら?
「これは恐らく機械による力。マキナお姉様と同じような力を感じるわ」
電子の力を持つという女神マキナ様
サニア様によるとありとあらゆる電子や機械を生み出し、操る力を持ってるらしい
そんな結界がなんでこの技術がまだ発展していないせかいにあるのかしら?
「取りあえず街に入ってみましょう。何かわかるかもしれませんし」
街へはすんなり入れた
門近くにいた兵に話を聞くと、悪意のある人のみをはじくんだって
だから門兵もすんなり通してくれたのね
それにしても街の様子がすごかった
この世界は全然発展していないように見えてものすごく技術が進んでいるみたいで、近未来的な技術の結集のような街だわ
建物は自動ドアがあり、歩道は動く歩道、車のような乗り物も走ってる
ではなぜ外で車などの乗り物を使わないのか。それには理由があった
街の人の話だと、こういった街にしか機械力という力がないらしく、外で乗り物に乗っても動かないみたい
そうなの、この世界は機械力という力があって、それはスポットと呼ばれる場所のみに発生する
そこでは人知を超えた機械の力を使えるようになるらしく、自分の思うがままの機械を生み出せる
つまりここの技術は彼ら人間による思いが形になったもの
「なるほど、これはまた珍しい事象が起こった世界ね。マキナ姉様の力が根付いた世界? 興味深いわ」
電子や機械の力が根付いた世界
今までなかった世界みたいで、ルニア様も興味津々で周りを歩き回っていた
特にセラビシアちゃんとフィエラははしゃいでる
街を見て回っていると塔の下に来た
その塔がどうやら結界を張っているみたいで、内部を見学できるようになっていたので入ってみることに
「すごいわね、これが機械の力で創造されたものなの? マキナ姉様がこれを知ったら喜ぶに違いないわ」
そういえば私の中にある機械の力、これも機械を生み出す力だったわ
この世界の力と同じ力だからなんだか親近感が沸くわね
「この塔、これだけはなぜか最初からここにあったものみたいね。多分だけど力を安定させるために築かれたものだと思うわ。つまりこの世界は、誰かによって作られた世界」
「それって神様じゃないんですか?」
「いいえ、我々は世界そのものを作り出しまずが、ここは元々あった世界に手が咥えられています。悪意ではなく純粋な世界を創りたいという思いから作られているのです」
サニア様は塔に触れてその過去を読み取ったみたい
「この塔の開発者、まだ生きているわ・・・」
突然サニア様がそういった
「面白うそう、会いに行かないお姉ちゃん?」
「ええそうね、会ってみておいた方がいいわね」
というわけでその人の所へ行くことになったんだけど、場所はかなり遠い
街の人が言うには外は盗賊がかなりいるみたいなので、私達のような女の子が多いグループは狙われやすいって言ってる
何でこの世界は盗賊が多いのかというと、外を歩く人は物資を届ける人が多いからみたい
しかも機械に頼った生活をしている人は数で囲めばやすやすと物資を奪取できる
だから盗賊が増え、被害も増えて行ってる
機械の力はそれぞれの街にある塔付近でしか使えず、外で使うことができないため必然とその人自身の力がないと生き残れない
もし強かったとしても、盗賊の数はさっきみたいにあまりにも多い
数の暴力は個を超える。私達のような圧倒的な個ならまだしも、この世界の普通の人間には到底無理ね
まぁ何も無理に盗賊と戦いながら塔の製作者の元へ行く必要はないわ
だって私達、空飛べるもの




