生まれたけど何か変なんですが9
結局のところガルダは停学となった
父親も彼の行動に頭を痛めていたらしく、今回はいい薬になるだろうと本当は退学させようとしていたんだけど、停学明けにカルテアお姉ちゃんがみっちり指導するということで落ち着いた
正直お姉ちゃんのみっちり指導は彼女の部下のお兄さんたちに聞いたところ、たくさんのトラウマを植え付けられるらしいので、彼も立派な魔導騎士になれるんじゃないかな
え? 彼の意思? あれだけのことをしたんだから強制だよ
それはさておき今日は体術の授業だ
これはフレアちゃんたち魔力のない生徒たちも合同でやるんだよね
「あ、アスティラちゃん、次一緒だね。負けないよ! 私体術には自信があるの!」
「あら、私もよフレア、こう見えても我がメイフォーンス家は格闘技に関してプロフェッショナル、勝負よ!」
どうにもアディリアは勝負事が好きみたいだ
勉強にしてもそうだけど、かなりの努力家で将来は魔王様の幹部を目指しているんだとか
この子なら本当になれそうだ
そうそう、ここで私の友人たちの将来の夢を話しておこうと思う
まずアディリアは先にも言ったように魔王様の幹部
この幹部というのは現在8人で、それぞれが武勲に優れている
血気盛んな者もいるけど基本国民のことを考えて行動できる人達ばかりらしい
一度だけ父様の同僚ということで会った事はあったけど、あの時は赤ん坊だったからなぁ
そう、父様は魔王様の右腕で、幹部でもある。それが私の誇り
次にフレア、彼女は士官になりたいようで、戦いではなく頭で出世したいらしい
実は彼女の成績、プラムに次いで二位という非常に優秀な感じ
応援してるよ
そしてソル君
彼は特に何も考えてないらしい
のんびりした彼らしいと言えばらしい
まぁまだまだ子供の私達だ。決まっている方が珍しい
最後にプラムなんだけど、彼女は新しい作物を作るのが夢なんだとか
品種改良と言うやつかな? この世界にはまだない技術のため相当に難しいと思うけど、彼女はやる気に満ち溢れている
さて肝心の授業の方なんだけど、今回はカルテアお姉ちゃんじゃなくて、魔族杯格闘技大会という由緒ある大会で優勝したこともあるグーグ・ポインダイト先生が見てくれる
グーグ先生は顔に十字の傷がある見た目がまるで反社会的勢力のような顔をしている先生だけど、普段は気のいい優しいおじさんだ
子供が好きなので先生になったらしい
教え方はちょっと下手かな
というのも口数が少ないから要点だけを簡単に伝えてあとは見守るだけ
センスのいい子や呑み込みの早い子ならそれで十分だけど、プラムのように運動神経が悪い子は何が何やら分かってないみたい
まぁそういう子は私がもう少し詳しく教えることで要領を掴めるようになった
「では二人一組になって、今習ったこと、組手でやってみて」
グーグ先生の一言で二人一組になった
私はアディリアと、フレアはソル君と、プラムはジュセリーナ・ヌーロヴォイドというアディリアの取り巻きの女の子と組んだ
ジュセリーナについて少し説明しておくと、彼女は魔法が使えないんだけど、鬼人族の一種族である幽鬼族のハーフであるため幽力という力を使える
どういう力なのかわからないけどとにかく強いみたいだ
ちなみに私のスキルには“能力覚醒”というものがあって、これはこの世界に存在する全ての力を使えるようになるという優れものだ
その力とは幽力含め、仙力、気力、魔力、妖力などなどだ
まぁ使うかどうかは分からないけど、使えるにこした事はない
だって力があれば守れるものも増えるから
「じゃあいくよアスティラ様」
「ねぇアディリア、その様付けやめて欲しいんだけど」
「え、でも公爵様で幹部のあのガイア様の娘でしょう? それなら様付けしないと」
「でもここは学校だからそんなの関係ないわ」
「あ、そっか、でも…」
「いいから! 私がそう呼んでもらいたいの!」
「そ、そう? それなら、アスティラ…。 行くよ!」
「ええ!」
一時間ほど組手で攻撃と防御を繰り返したところで今日の授業は終わった
グーグ先生は満足そうに、そしてにこやかに笑っている
「よく頑張った。ほら、これを受け取って教室に帰りなさい」
グーグ先生が魔法の袋から取り出したのはキャンディだ
「わーい!」
やっぱり子供達は甘いものが好き。みんな大喜びでキャンディをもらって帰っていった
まぁグーグ先生のその姿がまるで人さらいに見えるけど微笑ましい光景には違いないと思う
初めての格闘技の授業は楽しかった
やっぱり新しいことを覚えるって言うのは、知識が増えるって言うのは楽しいね
さて、明日は剣術の授業がある
カルテアお姉ちゃんにみっちり教わっているからこの授業はかなり自信があるよ
正直楽しみなくらいだ




