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中学卒業と自転車購入時々ダイヤ改正告知

それっぽくモデルはありますが、裏は取ってないという話ですね。

若葉……電車に揺れながら過去を振り返るとする……

________________________________


相沢若葉は三ツ境の実家の一つ下のお隣さんであり、いわゆる幼馴染ってところだ。俺が3歳くらいの時に実家に移り住んできた時に出会ったから大体20年くらいのお付き合いかな…… 初めましての挨拶回りの時にまだ言葉もうまく話せない若葉を見た時から勝手に俺がお兄ちゃんだと思っていたし、お隣さん同士仲良くやっていきましょうということもあり、若葉を引き連れて一緒に遊ぶことも多かったし、若葉自体も小さい頃は「お兄ちゃん」と呼んで親しんでくれたものだ。

 そんな若葉も俺が高校に入ることには「お兄ちゃん」ということは躊躇するようにはなったけど“渉”の文字をなぞって「わったー」とニックネームで呼ぶようになり、俺がリードする立場からリードされる立場になっていた。そして、中学では俺よりずっと優秀な成績を残して隣駅の“神奈川第一高等学校”にも受かるぞと言われていたのに周りの反対を押し切って俺が通う相鉄いずみ野線沿線の“梅陰高等学校”に入学した。

まあそれは俺自身もびっくりして「おい。平凡な俺と一緒の高校行くよりもっと上の高校行けばいいじゃん」っていうと「えへへ~ だってわったーとおんなじ高校がよかったんだもん」って言いながらはにかんだ笑顔で答えて俺はそれ以上嬉しくて何も言えなかった。


若葉が地元の中学を卒業した3月の夕方に俺が自宅に帰宅し、リビングに入ると「お帰りと」自宅のようにソファーにつくろいでゲームをしている若葉がいた。どうやら今日は中学を卒業して学校がないうえに若葉の両親がいなくてなんとなくおじいちゃん家(つまり俺んち)に転がり込んでいたようだ。まあ、実際にはニートしているだけでなく、セミロングの黒髪をポニーテールに結わき、黒に縁取った眼鏡を輝かせながら、掃除や洗濯と我が家の家政婦のようにテキパキとやってからだらんとしているもんだからこいつは策士である。

「若葉、卒業して友達とかと打ち上げってもういいのか?」

「え~、もう大方友達といったし、今度はわったーとどっか行きたいし」

照れながら、そう言ってくる姿に俺はぐっときながら

「そうか、ところで春から高校はどうやって通うんだ?」

すると、若葉はくつろいでいたソファーから急に立ち上がり

「わったーと同じで自転車通学がいいな! 来月から消費税も上がっちゃうし、新しい自転車ほしいから一緒にきて!」

「えっ? 今から?」

と俺が言うそばから黒髪のポニーテールを揺らしながら俺の手を引っ張って外に出て、隣の家から今使っている自転車を持ってきて、「早く早く!」とせかしていく。

仕方なく俺は自転車をこぎだして、さっき帰宅したルートを戻り、きつい坂を上り緩やかな坂を若葉の自転車を追いかけながら下って行った。


 三ツ境駅の駅舎を挟んだ向かい側の自転車屋さんに到着すると、慣れたように新しい自転車に買い替えたいと店員さんに伝え、ついでに俺の自転車のメンテナンスもお願いしていた。ほんとにできる幼馴染だと思う。うん。

一号館で色とりどりの自転車を見ながら、電動アシストが付いたピンクの自転車が気に入ったらしく、「これにします」と店員さんに伝え、お金を支払った(どうやら、もともと買う予定があったらしく、親からもらっていたらしい)

 そして、新しい自転車もメンテナンスする必要があるらしく、少し待ち時間が発生すると聞くと俺のYシャツの袖をつかみながら、「じゃあ、ライフで時間をつぶそうか」と提案するもんだから、有無も言わさず、三ツ境駅へと向かった。

 久しぶりに来た券売機をちらりと見ると、消費増税のお知らせとともに来月からダイヤの改正があることをお知らせする冊子があったもんだから、一部とり、そのまま若葉にせかされるようにお店へと入った。


「なあ、若葉?来月から相鉄線で特急が走るみたいだな」

「なにそれ?おいしいの?」

ポテトをつまみながら若葉が聞き返す。

「……。 いや、特急は美味しくないだろ…… てか、三ツ境駅も通過するようだし、どちらかといえば美味しくない話だろ……」

「へー」

まあ、こういう鉄道の話は無到着だろうな……まあ、ダイヤが変わったところで自転車通学になるし、強い雨が降れば三ツ境から高校最寄りまでバスが出ているから関係ないし……

「あー、でもこの裏表紙の猫? 狸? なんか不思議でかわいいね。」

「なになに?」

俺も気が付かなかったキャラクターに若葉が興味を示したらしく、俺は顔を冊子に近づける。すると


「…… わったー。顔が近い……」

「あっ…… ごめん」

若葉が急に顔を赤らめながら言うもんだから、俺も顔が火照ってきた。

そうね…… 若葉ってぐいぐい来るけど来られるのは苦手らしいんだよな。覚えとこ。


そう話していくうちに時間がたって、自転車ストアに戻り、若葉は新しい自転車、俺はメンテが終わった自転車を受け取ってまた、暗くなった家までの坂道を一緒に転がしながら登って行った。


____________________________________

そうだな、あの自転車を買った日がいつか俺と若葉の運命が変わる相鉄特急の運行告知であり、三ツ境通過を知った日だったな……


ー南北線は俺の通う大学最寄り駅へと滑り込んでいったー



若葉ちゃんこの後、裏表紙のキャラクターの相鉄線のキャラクターのファンになるそうですが、それはまた別のお話ですね。

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