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とある令嬢の日記
我々が不可解なものに魅力を感じるのは当然だ。
よほど精神が不活発でないかぎり、誰しも一度は、不思議な存在に胸をときめかせたことがあるだろう。
文明の発達が進みつつある我が国においても、いま見えているものが全てなどと思い込むのは愚かなことである。
この世界にはまだ解明されていない、月並みな言葉では到底語れない未知、それこそ未確認生物や飛行体、謎の大陸から、魔術、オーパーツ、幽霊や妖怪、妖精や精霊などといった不思議な存在が確かにある。
そして、そういったものは我々の身近なところにも存在しているのかもしれない……。
つまり、私の最後の願い。それは――――。
(十九世紀、とある貴族令嬢、二月二十九日付けの日記より一部抜粋)