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異世界子作り日記 〜知らぬ間に世界征服?〜  作者: ずんぺー
第一章 増えゆく家族
5/69

第5話 圧勝!

〜18日目〜


昨日はハッスルし過ぎてそのまま寝てしまったようだ。


「むーちゃん。なんでもいいから果物持ってき


「大変ニャ!」


睦月が飛びついてきた。


「あの子たちがまだ戻ってきてないんニャ!」


「え──な、なんだって!」


一瞬の間があって意識が覚醒する。


ステータス画面で2人の状態を確認しようとしたら、名前のところが赤くなっていた。

開くと2人ともHPが1割を切っている!


「やばい状況だ! むーちゃん、2人がどこに行ったかわかる?」


「匂いである程度ならわかるニャ!」


「なら行こう!」


「ご主人様もニャ?」


「当たり前だろ。あの子たちは俺の大事な娘! 俺が守ってやらなくちゃ!」


「格好いいニャア〜」


「あ、でも降りるときは抱っこしてね」


「 ⋯⋯ 格好悪いニャ」


いくらステータスが高くなったと言えども怖いんだもん。


地面に降り立つ。

改めて周囲を見回すがジャングルのようだ。


睦月が四つん這いになって地面の匂いを嗅ぐ。


「こっちニャ! ご主人様乗るニャ」


背負われた。


すごい速さでジャングル内を駆けていく。

途中うさぎやら狼、猪が目に入ったけど、睦月を見た途端怯えて逃げていったな。


かなり走った。

2人の姿はいまだ見えない。

奥の方まで行ってしまったようだ。


睦月が立ち止まる。

俺を背負ったまま地面に鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。


「まだ奥ニャね。行ったらダメって教えたニャに。帰ったらお仕置きニャ」


さらに奥へと向かう。


ここら辺になると睦月を見ても怯えない獣がちらほらと出てきた。


空から急降下攻撃をしてきた鷹。泥水から急に現れたワニ。枝に擬態し襲ってきた蛇。


恐ろしい存在ではあるが睦月が一撃の元に葬り食料となった。蛇なんか頭を切り落として丸かじりしてる。食べきれない分はポケットに収納。俺は巣に戻ってからあの子たちと一緒に焼いて食べようと思った。


「ん?」


「どうしたむーちゃん?」


「 ⋯⋯ 血の匂いニャ」


クンクン、と睦月の鼻が動く。


「複数の獣臭が混じってよくわからないニャ。森の主がいるかニャ? ちょっと行ってくるからご主人様はここにいてニャ」


下ろされる。


「1人で大丈夫なのか?」


「ニャはは。心配無用ニャ。むーは森の主より強いニャよ」


睦月が近くの木に登り枝から枝へと飛び去っていった。


あっという間に姿が見えなくなった。


残された俺は


あれ?

ここに1人でいるほうが危なくない?


ステータスがいくら高くなっても中身は喧嘩すらしたことのない男ですよ? 深夜のコンビニで不良に絡まれ震え上がるチキンですよ?


ガサガサガサガサガサ


ビクゥ!とする。


「ちょ、ちょっとむーちゃん待って! 俺も一緒に行く」


慌てて追いかけて行く。


「あいた!」


なにかに躓いて転けた。


なんだ?

石 ⋯⋯ じゃないな。

お地蔵さんっぽいな。


辺りをキョロキョロ。

祀ってる場所はなさそうだ。


とりあえず持っていくか。

汚れてる部分を綺麗に拭き取り、ポケットにしまい込むと再び走り出した。


しばらく行って気づく。

ここどこだろう?


睦月のように匂いからたどるなんてできないし、戻るにもどこから来たのかわからなくなった。俗に言う迷子だ。


困った。

誰かヘルプミー。


途方に暮れていると、


「 ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ァ!」


かすかに悲鳴が聞こえた。


あっちだ!


走る!

走る!!

走る!!!


目の前に開けた場所があった。


飛び出すと、血だらけの巨大な熊と獰猛そうな虎。少し離れて愛する我が子如月と弥生。こちらもところどころ傷を負っている。


睦月は──いた!

子供を守ろうと戦ったのだろう。頭から血を流し、近くの大木に身を預けぐったりしていた。気を失っているように見える。


そんな彼女に近付くピンク色の物体。

豚だ。


それも発情している!

おっきくなってる?

それを今にも睦月に突き刺そうとしてる!?


待て待て待てーい!


「人の嫁になにするつもりだー!」


ダッシュで駆け寄り豚の腹を思い切り蹴ってやった。


「ぎゃふー」


豚がサッカーボールのように飛んでいく。

バウンドしながら大木にぶつかるも勢い止まらず。それどころか何本も木々を折りながら飛んでいき、最終的に大岩にぶつかって花火みたく木っ端微塵に飛び散った。


「わーお」


呆然。

いくら本気で蹴ったって言ってもそんなことにはならないだろう?


不意に


『派生したスキルがあります』


なんだと?

ステータス画面を開くと子孫繁栄の下に『子はかすがい』というスキルができていた。


長押しする。

説明文が出てくる。


『赤色警告で示されている子・子孫が近くにいる場合、親の能力は10倍に跳ね上がる』


んなアホな!

どこまでチートなんだこのスキルは。

ま、今は助かったけど。


「パパ・・・」

「パパー!」


如月と弥生が泣きながら抱きついてきた。


おーよしよし。

怖かっただろうな。

パパが来たからにはもう安心だぞ。


「パパ様!」


なぜか熊と虎まで引っ付いてきた。

どういう状況だこれ?

というか虎は喋れたのか!


〜19日目〜


睦月が目を覚ますのを待ってたら日が変わってしまった。子供たちは俺の膝で熟睡中。奥様は俺の肩に頭を乗せて甘え中。


「あの、パパ様」


「お前がパパって呼ぶな! 隼人でいい」


「では隼人様。この度はまことにありがとうございました!」


虎と熊に頭を下げられた。


「いまいち状況が理解できてないから誰か説明して」


「その前に紹介しとくニャね。こっちが森の主で、あっちが眷属ニャ」


虎=森の主。

熊=虎の眷属。


「ん、あの豚は?」


「それは私から」


虎があぐらをかきながらも一歩前に出た。


「遅ればせながら虎種獣人ヘルガーです」


獣人だから話せたのか!

しかし睦月と違って完全虎だな。

出るとこは出てるのか?


「ご主人様、あれは雄だからニャ」


耳打ちする睦月。


「え、あ、あああ! 知ってた知ってたさ!」


「なにをですか?」


「いやいやなんでもない! で、あの豚がなんだって?」


「正確には豚ではありません。豚型モンスターのピンクオークです。お恥ずかしながら森の主を名乗りながらも、奴の強さにどうすることもできず死を待つばかりでした。そこに隼人様のお子様や奥様が助けに入ってくださったのです」


人(虎)助けをしたのか。

偉いぞお前たち。

寝てる2人の頭を優しく撫でる。

「えへへへ」「にゃは」

2人が微笑んだ。

天使だ。ここに天使がいる!


と親バカしてる時間じゃないな。


「そのピンクオークだっけ? あいつってそんなに強かったの?」


「ええ。私が2人いたとしても勝てる気がしません」


うん、わからないな。

その例えはあなたの強さを知らないからピンとこないよ。


「まあいいや。ああいうモンスターって前からここにいたわけ?」


「とんでもない。元来この森にはモンスターは1匹たりともいませんでしたよ。最近になって伍の国の勇者による討伐がひどくなりましてここまで逃げてくるモンスターがちらほらと現れるようになったんです」


「伍の国?」


「ご存知ありませんか?」


ありません。むしろこの世界の知識が何1つないです。


ヘルガーは優しく教えてくれた。


この世界は地球と違って丸くない。平面らしく、形は六角形をしているとのこと。


中央には浮島があり、その周りを海が囲んでいる。その島を壱の国と呼ぶ。


壱の国から6本の橋が出ている。

橋が国境線で右上から時計回りに弐の国参の国肆(ヨン)の国伍の国陸(ロク)国漆(ナナ)の国と名付けられている。


「ここは?」


「伍と漆に挟まれた陸の国です」


「中央はわかったけど世界の端にはなにがあるわけ?」


「光の壁があります。そこから先は誰も行ったことがないので謎に包まれたまま。一説によると女神様が住んでいるらしいですよ」


それって俺が1番最初に連れてこられたところじゃね?


ま、細かいことはどうでもいいか。俺は愛する家族と一緒にのんびり暮らすんだから。


「色々と情報ありがとう。んじゃ、そろそろ帰るとするよ」


「もう帰られるのですか!? ただいま宴の準備をしておりますのであと少しのご滞在をお願いします!」


「宴!? それって美味しい食べ物とか出る? 生は嫌なんだけど」


「虎種獣人の誇りに賭けて、お口に合う料理をお出ししましょう」


「じゃ待つ!」


「ありがとうございます。私たちは準備を手伝ってきますので、隼人様たちはここでしばしお休みください」


ヘルガーさんと熊たちが出ていった。


今日は色々あったな。


って、如月をどこに連れていくの?

あ、俺の膝が痺れちゃうからって。

奥に藁が敷いてたから寝かせてくるって。

優しいな、むーは。

弥生も?

お願いします。


おかえり。

足をマッサージしてくれるの?

ありが ⋯⋯ ってそこは足じゃないけど。


大きかったから間違えた?

大きくしたのはあんただ。

さては最初からそのつもりだったな。

いいだろう。

むしろ望むところだ。


この日、3人目ができた。

読んでくれてありがとうございます!


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