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51話 アレはあれ、ソレはソレ
気がついたのは小学生の頃だった
「ねーえ、翔ー、
翔の好きな人のタイプ教えてー?」
「んーっと、
可愛くて料理できて
美人で綺麗で
胸でかくて
お嬢様で頭がいい人で
女子力高い人で
横を通るといい匂いがして
笑顔が可愛くて
取り敢えず完璧な人」
「最低だね」
「理想高すぎ」
「うん、分かった!」
なにが?
その日から美桜は変わった
化粧をするようになって
勉強も、料理もするようになって
家は元々金持ちで
翔の言う“理想”に
僕らの知る女子の中で一番近かった
「翔ー?どう思うー?
私のことー。女子力高いでしょー?」
「あ、俺。あの子好きかも」
「・・・」
翔は一度も美桜を見たことはなかった