144話 遠い記憶
「夜、夜のお母さんとお父さんに挨拶していい?」
「・・・いいよ」
翔が出て行ってから
皐月が真っ直ぐコチラを見ながら言った
・・・珍しいな、どうしたんだろう
「はい、」
ふすまを開けると
まだ朝に立てた線香の匂いがした
何か言いたそうにコチラを見た皐月に首を傾げつつ
奥へと案内する
「母さん、父さん、皐月が来たよ」
「こんにちは。夜のお父さん、お母さん」
写真に写る二人はニコニコとコチラを見ていた
父さんはほぼ全身真白で毎回笑いたくなるけれど
よく、普通に真面目な顔して見れるね
皐月は線香をあげて手を合わせて目をつぶり
暫くしてからコチラを見た
「まだ、靖洋さんの遺骨見つかってないの?」
「・・・うん」
「・・・・・・案外、梓の言っていた事が正しかったりしてね」
「それは笑う」
もし、そうだったとするなら
なんで父さんは僕に会いにこないんだろうね
まあ、組織のボスは居ないけれど
絶対に居ないと断言できる
だって、僕らが作ったのだから
無かった場所に、僕らが一から
そこに命令した人なんて居ないし
操られることも、ない
それだったら僕の能力が察知しているはずだから
・・・生まれた時から洗脳されていた場合は別だけれど
改めて父さんを見る
真白な髪に赤い目
どうやらそれは遺伝とかそういうのじゃなく能力が負担を掛け過ぎたから
そうなったらしいけれど
僕の場合は、どうなんだろう
全然思い出すこと出来ないや




