135話 嫌いだけれど、誤魔化されるのは辛い
梓SIDE
「ちょっとー!何でアンタが此処に居るのよー?!」
「それはこっちのセリフよ」
本当は、正義の味方の手助けなんかしたくなかったのだけれど
翔さんの役に立って
私を見てくれたら
なんて思って
先程、トランシーバーから聞こえた“理事長室”が気になって
其処に向かうと
認めたくないのだけれど、
最大のライバルが其処に居た
「・・・ここは一旦、休戦しましょう?」
翔さんの役に立ちたい者同士
ここで騒いでしまったら・・・
きっと彼は見向きもしてくれないはず
それは貴方も望んでいないはずでしょう?
なんて遠回しに伝えたら
本当に、嫌なんだけれど
彼女は嫌悪感を出しながら頷いた
嬉しくないような、嬉しいような
不思議な気分ね
理事長室を覗きこむ
・・・えっと?
ひょっとこ?
何でひょっとこが居るのよ
見事にふんどしで
見たくないものを見てしまったわ
暫く様子を伺っていると
不意に来客を知らせた
そして其処に居たのは、先程田宮くんが倒したはずの男の姿
「・・・あの男、何者なの?」
「・・・・・・あ、あははー。と、とりあえず、気にしなくてもいいと思うよー?」
瞳を泳がせる彼女に
何故かすっと真空状なものが広がった気がした




